薬剤師目線で考える 今月、世間を賑わした健康情報

5月前半の押さえておきたい健康情報

  •  2018年05月17日 10:00

5月1日~15日に各メディアで配信された健康情報のうち、「コレは押さえておきたい!」と考えたものを、独断と偏見でリストアップします。患者さんからの突然の質問に困らないよう、情報収集の一手として役立てていただけると幸いです。

日本臨床薬理学会、TBSドラマ「ブラックペアン」に抗議 実在のCRCへの「侮辱」

https://www.daily.co.jp/gossip/2018/05/04/0011224787.shtml

【デイリースポーツ 5月4日】

TVドラマ「ブラックペアン」(TBS系)で、CRC(Clinical Research Coordinator:治験コーディネーター)の業務を「医師を高級レストランで接待する」、「医師個人にお金を渡す」、「患者へ300万円の小切手を手渡す」といった、現実と著しく乖離した演出で描いていることについて、日本臨床薬理学会が番組あてに抗議文を提出しています。「フィクションだから」という意見もありますが、治験というものに対して誤解や偏見・不信感を植え付けることは、医療従事者や被験者の名誉を傷つけ、新薬の研究開発にも悪影響を及ぼす恐れがあり、軽視はできません。


(参考)
◆日本臨床薬理学会の抗議文
https://www.jscpt.jp/press/2018/180507press_release.html

HPVワクチン「有効」 26件の試験評価、深刻な副反応なし 英民間組織

https://mainichi.jp/articles/20180509/dde/041/040/041000c

【毎日新聞 5月9日】

過去8年間に日本や海外で行われた26件の比較試験を検証した結果、HPVワクチンには子宮頸がん前段階の予防に高い確実性が確認され、また深刻な副作用を起こす証拠は見られなかったことが、「Cochrane」から発表されました(原著)。医療や健康に対して個人の感情・価値観を尊重することは大切ですが、その前提として、現段階で明らかになっている事実や科学的な見解を、薬剤師として正確に知っておく必要があります。

※The Cochrane Collaboration(コクラン共同計画):イギリスで設立された民間組織(国際的な非営利団体)で、医療に関する意思決定をより良いものにすることを目的に、優れた科学的根拠の収集・要約を行っている機構。


(参考)
◆厚生労働省が、ワクチン接種後に何らかの症状が現れた際の相談窓口を設置しています。患者が不適切な情報に振り回されたり、政治活動に利用されたりすることのないよう、相談された際は適切な支援を紹介してください。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou28/madoguchi/index.html

「モーラステープ」の光線過敏症がSNSで話題に

【5月上旬、Twitter/Facebookで 話題に】

モーラステープで副作用を起こした方のブログをきっかけに、SNS上でケトプロフェン製剤の光線過敏症が話題になりました。光線過敏症は、家族・兄弟・知人間での使い回しや、剥がした後の注意を忘れてしまうこともリスク要因になります。薄着になるこの時期から増える傾向にあるため、残薬の扱いや紫外線対策に対し、改めて注意喚起していく必要があります。

※光線過敏症は、インドメタシンやフェルビナク等の類似薬でも同程度で起こります(参考資料)。


(参考)
◆医薬品・医療機器等安全性情報 No.276 (2011)
http://www1.mhlw.go.jp/kinkyu/iyaku_j/iyaku_j/anzenseijyouhou/276-1.pdf

  

【コラムコンセプト】
TV・新聞・週刊誌・インターネット......毎日さまざまなメディアから大量の健康情報が配信されます。それを見た患者さんが「こんな情報を見たけれど、私の治療って大丈夫?」と聞いてきたらどうしますか?医療や薬に関する情報は、命に関わるもの。正確さ、専門性が求められます。薬剤師は薬の専門家として、患者さんの持ち込んだ情報が適切かどうかを判断し、対応しなければなりません。このコラムでは毎月、世間を賑わした健康情報をリストアップし、必要に応じて解説します。患者さんからの突然の質問に困らないよう、情報収集の一手として役立てて頂ければ幸いです。

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【児島 悠史氏 プロフィール】
京都薬科大学大学院修了後、薬局薬剤師として活動。「誤解や偏見によって生まれる悲劇を、正しい情報提供と教育によって防ぎたい」という理念のもと、日々の服薬指導のほか、Webサイト「お薬Q&A~Fizz Drug Information」を運営。医学論文などを情報源とした信頼性のある医療情報や、国民の情報リテラシー向上を目的とする記事を配信。近著は、「薬局ですぐに役立つ薬の比較と使い分け100」。