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軟膏壺、ペンチ、絞り器の3点セット。ある患者さんのお宅へ向かう際の必需品です(写真)。

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ちょうど1年前に訪問を開始したこの患者さん。脳幹出血という大きな病気を乗り越え、独居で在宅生活を送っています。日常生活自立度の寝たきり度はA-2※1、認知度はⅠ※2、要介護3。右片麻痺、症候性てんかん、高血圧症、便秘、過活動膀胱、右緑内障、左閉瞼障害、眼球運動障害と、たくさんの病名がついています。

内服薬は多数出ていますが、一包化してそれぞれに日付を印字しカレンダーセットすることで、キッチリ服用されています。訪問開始からしばらくは、気になることはありませんでした。しかし、伺うようになって2か月が過ぎたころ、皮膚搔痒感に処方される塗布薬の処方量が多いなあと感じることがありました。「もしや1回の使用量が多いのでは?」と思い、改めて軟膏類の使用量の目安を具体的に説明してみました。

それでも使用量に変化はありません。お宅からの帰路、「何でかなあ~」と考えているうちに「ピ~ン!」ときたのが「手指に力が入らないから最後まで絞り出せないのでは?」ということでした。

早速、次回の訪問時に、先ほどの軟膏壺、ペンチ、絞り器の3点セットを持参し、「最後まで絞り切れず、残っている軟膏チューブはありませんか?」と質問したのです。患者さんはチューブを3本出してきました。見た感じ、中身は2割強残っていそうです。3点セットを使用して絞り出すと「こんなに残っとったんじゃね~!!!」と二人で感動しました(笑)それからはこの患者さん、家の引き出しのあちこちから出てくる『使いかけのチューブ』を大切に保管して、私の訪問を待って下さっています。

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気付いてしまえば当たり前なのに、なかなか気付かないこと、私は結構多いです。でも、ふとした瞬間に「そうか!」と気付くことがあり、何か工夫を試してみます。その工夫が成功すると、役立つアイテムやアイデアとして以降も活用する...。そうした積み重ねが次の依頼につながって、ここまで続けてこれたのかなあと考えています。

せっかく薬剤師が自宅を訪問するのだから、患者本人だけでなく、他職種からも「薬剤師さんに関わってもらって良かった」という評価を得たい。これまでもこれからも、患者さんの立場に立ちながら試行錯誤の日々が続きます。

※1 障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度) A-2 :屋内での生活は概ね自立しているが、介助なしには外出しないランクA(準寝たきり)のグループのうち、外出の頻度が少なく、日中も寝たり起きたりの生活をしている場合が該当する

※2 認知症高齢者の日常生活自立度 Ⅰ:何らかの認知症を有するが、日常生活は家庭内及び社会的にほぼ自立している場合が該当する

【コラムコンセプト】

ケアマネとしても薬剤師としても在宅活動を長く続けて筆者が、地域包括ケアの中でどのように薬剤師として貢献していくか、日々のエピソードとともに綴っていきます。

【角山美穂 プロフィール】

2009年11月、「在宅専門薬局」と言う想いでつぼみ薬局を開局。当初は、併設した「つぼみ薬局居宅介護支援事業所」の介護支援専門員として居宅を訪問したり、「つぼみ薬局」の訪問薬剤師として活動。現在は「街角相談薬局」という立ち位置で活動中。

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