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薬剤師の卵 見学に来る

2018年06月04日 13:49

薬剤師の卵  見学に来る

つぼみ薬局居宅介護支援事業所 
角山 美穂

在宅患者さんのお役に立ちたくて、在宅専門薬局を立ち上げたのが2009年11月。1人薬剤師 兼 ケアマネとして、24時間体制で頑張っています!

【PharmaTribune2011年9月号掲載】

薬剤師の卵 見学に来る

つぼみ薬局の同区内の大学に5年前(2011年掲載当時)に薬学部ができました。その影響もあってか、今年(掲載当時)の7月は、実務実習項目の在宅医療のセクションのみ、5名の薬剤師の卵をお預かりしました。

往診医から処方があるだろうと思われる日をあらかじめ挙げておき、その中で実習先のカリキュラムと合う日で調整していただいて、13時からその日の外回り業務終了までというお約束で預かりました。しかし、日によっては終了時間が18時を過ぎてしまったり、早い日には15時だったりとまちまちになってしまいました。

学生の来局時には調剤は終わっていることがほとんど。それにガッカリする学生さんもいたりして、「薬に触りたい」と進んでODP鑑査を買って出てくれましたっけ(^^ゞ

実務実習の流れと用意した教材

研修は、自己紹介 → 薬局内見学 → 在庫薬品の見学 → あらかじめのお話 → 患者さん宅訪問という流れで進めました。

教材には、独自に作成した介護保険・在宅医療の概要の説明資料と、必要書類のサンプルを1部ずつ、それに『広島市 介護保険制度の案内』を使用しました。

薬局内の見学を終えると在庫薬品の見学へ。「経管栄養剤のエンシュア®・ラコール®は知っているけれどツインライン®・エレンタール®を見るのは初めて」という声もありました。麻薬類を実際に見るのも初めてだったようで、麻薬帳簿を手にとって興味深そうに見ておられました(^.^)

実習生との訪問前にあらかじめ話しておいたこと

患者さん訪問に先立って、介護保険制度の概要など、あらかじめ話しておくことがありました。私は実習生たちがどのくらいの予備知識を持って実習に来たのか興味があったので、時々質問を交えながら、居宅療養管理指導を算定するまでの一連の流れを以下の順に説明しました。
・医師からの依頼書 ・計画書・重要事項説明書 ・契約書 ・調剤
・介護保険証の確認(有無・記号番号・使用期限等)・服薬指導 ・報告書(医師・ケアマネ等)

それから、その日に訪問する患者さんの「訪問計画書」を一緒に確認。医師からの「訪問依頼書」に基づいてあらかじめ作成しておいたものです。その処方内容や病気についての質問なども受けました。

実習生と居宅訪問

いよいよ居宅を訪問です。患者さん宅では「どこの大学か?」「どこから来たのか?」「何で薬剤師になろうと思ったのか?」など、逆に質問攻めにあう学生も...。「せっかく実習に来たのだから」と患者さんが気遣ってくださったのでしょうか。

在宅業務では、ODPした薬やヒートのままの臨時処方の抗生剤など、薬カレンダーへ2週間分私がセットしたものを一緒に確認してもらいました。また、在宅酸素療法をしておられる方が多いので、ネブライザー吸入に使用する薬液の調製法(ビソルボン®吸入液+パルミコート®吸入液+メプチン®吸入液+生食)を確認してもらいました。インスリン注射液の使用法の再確認等は、薬局窓口の服薬指導業務と同じですが、実際に使用する所を見られるのは在宅ならではと感じたようでした。

また、7月は「健康食品・サプリメントの使用状況を把握する」ことを計画に位置づけている患者さんが多くいました。「何か飲んでいますか?」と伺うと、家の奥から高価なサプリを持って来てくださるというような場面に遭遇した学生は大変驚いていました。薬局では服薬指導時に質問しても「何も飲んでいない」とおっしゃる方が多いからでしょうか。

実習生それぞれに違う姿勢

中でも面白かったのが、「私に取材に来たの?」と言いたくなる程の、学生さんからの質問の嵐。メモを見ながら質問するので、予め何を聞こうか考えて来たのでしょう。熱意は感じましたけれど、「在宅だけで経営は成り立つのか?」「胃瘻からの薬剤の注入に苦味は感じないのか?」なんて、「え〜!!!」と思う質問も(>_<)

その反面、「介護保険制度については大学で習った?」と聞くと「大丈夫です」。「簡易懸濁法は知ってる?」「はい、知っています」と、「あなたから学ぶことは何もありません」オーラを出している学生さんもいましたっけ...(苦笑)

また別の学生さんは、「在宅では薬剤師が求められている!これからの分野ですよね」なんて言うので、「いえいえ、全然必要とされていないのよ。薬の管理は訪問看護師に任せて!と在宅医療では訪問看護さんはなくてならない存在だけど、薬剤師はカンファレンスにも呼んでいただけない現実が...」と現場で感じていることを少し言っても、サッパリ理解してもらえない様子も見受けられました(~_~;)

来局時には、無口で緊張の面持ちだった学生さん。訪問中に、尿意を催した患者さんのおしっこを介護者の奥様が尿器で取ったり、肝性脳症のために分からないことをおっしゃるのを聞いたりした帰りの車で、「在宅介護って大変ですね」と声を詰まらせ...。何か特別に高い技術が必要なことはしていない私の日常業務を見て、私が感じてほしいことをしっかり肌で感じてくれたな!と思い、嬉しい達成感がありました。

その他に、月初にお受けした学生さんは、地域包括支援センターから委託された「要支援」認定者の実績を持参するのにも同行してもらったり、区役所への書類提出にも一緒に行ったり。ケアマネとしての訪問も一緒に行いました。「先生は毎日こんなにあちこち行っているの?」「顔が広いのにビックリです」なんて言う方も(*^_^*)

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私がこの実習で、学生たちに感じてほしいのは、在宅分野でのひたむきな仕事ぶり、患者様・介護者・他職種の方々からの信頼を得るための努力、多職種協働の心地よさ、「営利」や「報酬」でなく医療従事者としての「誇り」など。5人目の実習が終わった時点で分かってくれた学生は1人しかいませんでした。そんな無念さを夫に愚痴ると、教師をしている彼は「何を感じてほしいか予め言ってあげないと無理よね(笑)」と...。

私もよい勉強をさせていただきました(;´Д`A ```

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