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健康サポート薬局の質の高さとは?

日豪共同ワークショップ:健康サポート薬局の質とは何か その1

2018年06月11日 14:17

健康サポート薬局の質の高さとは?

藤田健二(シドニー大学大学院博士課程後期)

薬局、薬剤師の地域における役割の重要性が高まっています。地域医療、介護の一翼を担うような体制づくりが求められており、そのひとつとして健康サポート薬局があります。

今回、健康サポート薬局の質評価をテーマにしたイベントを開催したのでレポートします。

この記事で伝えたいこと

  1. 健康サポート薬局は地域のニーズに合った継続的な活動と成果報告が大切

  2. 地域住民の健康促進活動に積極的なオーストラリアの薬局

  3. 薬局薬剤師による健康支援のエビデンス(日本での薬局研究の国際化)

  4. 8割が健康サポート薬局の届出により業務量が増えたが、モチベーションも向上した

参加イベント:日豪共同ワークショップ「健康サポート薬局の質とは何か」
開催日時:2018年3月21日
開催場所:昭和薬科大学
参加人数:約50名
このイベントは、シンポジウムとワークショップ(関連記事:健康サポート薬局を評価する指標、QI)の2部構成であり、シンポジウムでは4名のシンポジストが登壇頂しました。

1.健康サポート薬局は地域のニーズに合った継続的な活動と成果報告が大切

はじめに、勝山佳奈子先生(厚生労働省医薬・生活衛生局総務課課長補佐)が「健康サポート薬局に期待される役割」と題して講演しました。国民による主体的な健康の保持増進に向けて健康サポート薬局が取り組んでいる活動事例を紹介し、処方せん調剤業務以外の活動が重要であると強調されていました。

地域包括ケアシステムの中で、健康サポート薬局は多職種や関係機関と連携しながら、地域住民の相談役としての役割を果たすことが求められています。地域のニーズに合った継続的な活動と成果報告が今後益々大切になってくるということでした。

2. 地域住民の健康促進活動に積極的なオーストラリアの薬局

つづいて、Timothy Chen先生(シドニー大学薬学部教授)が登壇した。演題は、「Public Health & Health Promotion: the actual and potential contribution of Australian and Japanese Pharmacists」。オーストラリアの薬剤師が、地域住民の疾病予防・健康推進にどのように貢献しているかをお話されました(写真①)。

写真1.png
写真①シンポジウムの様子(演者:Timothy Chen先生)

慢性疾患の早期発見を目的としたスクリーニングや禁煙指導や予防接種など、オーストラリアの薬局は地域住民の健康増進活動に積極的に取り組んでいます。それを可能にするには、(1)システマティックな生涯教育システムの運用、(2)現場の薬剤師をサポートする職能団体の存在、(3)研究によるエビデンスの構築、(4)エビデンスに基づく政策決定の4つの要素が歯車のように機能し合うことが不可欠であり、そのためにはそれぞれの関係者の連携がカギとなるという趣旨の話でした。

3.薬局薬剤師による健康支援のエビデンス(日本での薬局研究の国際化)

3人目は岡田浩先生(アルバータ大学、京都大学、京都医療センター)です。「薬局薬剤師による健康支援のエビデンス」と題して講演しました。

海外では、慢性疾患患者に対する薬局薬剤師による介入研究が2000年ごろより実施されていました。たとえばアルバータ州では、薬剤師による処方や介入により2型糖尿病患者のHbA1cや高血圧患者の血圧が改善するなど、良好な結果が報告されているとのことでした。

(関連記事:カナダ・アルバータ州で、薬剤師が処方できるようになった経緯)

岡田先生は現在、カナダ・アルバータ州の薬局薬剤師による糖尿病患者支援研究:RxING Registry研究に携わっています(関連記事:カナダ・アルバータ州で、薬剤師が処方できるようになった経緯)。この度、日本でも同研究をスタートすると発表されました。そのほかに、ニュージーランドやアイルランドなど世界数か国で実施する計画も進められているということ。日本での薬局研究の国際化という点でも興味深い内容でした。

4. 8割が健康サポート薬局の届出により業務量が増えたが、モチベーションも向上した

最後に、佐藤朝子先生(株式会社マディア主席研究員)が「健康サポート薬局関連研究報告」を発表されました。2017年3月末までに健康サポート薬局の届け出を行った260薬局を対象としたアンケート調査によると、届け出後、業務量が増えたにもかかわらず、薬剤師の意識としてモチベーションが上がったとする回答が約80%もあったということです。佐藤先生は、「薬剤師の意識が"モノからヒト"にシフトしており、プライマリケアにおける薬局の役割として、薬局におけるトリアージが今後ますます重要になってくる」と締めくくりました。

⇒ワークショップの内容は6月19日に公開予定

こちらの記事に関する問合せは「kfuj2522@uni.sydney.edu.au」まで。

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