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リウマチ新規薬剤、市販後調査の中間解析

新規・予期せぬリスクは認められず

2018年06月12日 10:00

 関節リウマチ(RA)を適応として日本で初めて承認されたヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬トファシチニブの市販後調査(PMS)の中間解析結果が、第62回日本リウマチ学会(4月26~28日)で公表された。約3,500例における安全性の解析結果を報告した東京女子医科大学膠原病リウマチ痛風センターリウマチ性疾患薬剤疫学研究部門特任教授の針谷正祥氏は、同薬で新たなもしくは予期せぬリスクの発生がなかったことを明らかにした。その一方で、適応外使用があったことを指摘し、同学会の抗リウマチ薬市販後調査小委員会として適正使用を強く求めた。

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3,508例で安全性を解析

 トファシチニブのPMSは、メトトレキサート(MTX)を3カ月以上使用しても効果不十分なRA患者に、トファシチニブを単独またはMTXと併用した場合の全有害事象の発現を3年間追跡するというもの。対照群としてMTX高用量群、生物学的製剤+MTX併用群などが設定されたが、今回はトファシチニブ投与群の解析結果のみ発表された。

 トファシチニブ群に登録された6,349例中、調査票が回収できたのは3,522例で、うち3,508例(186例は治験からの移行例)が中間解析の対象となった。患者背景は、平均年齢が62.7歳、女性が80.2%、平均罹病期間は11.7年、C反応性蛋白(CRP)と28関節による疾患活動性スコア(DAS28-CRP)は平均4.9、MTXとの併用は61.5%であった。

最も多い有害事象は感染症および寄生虫症

 投与中止となったのは22.9%(802例)で、主な理由は有害事象(316例)および効果不十分(296例)であった。

 有害事象(33.6%、3,508例中1,178例)で最も多かったのは、感染症および寄生虫症(12.7%)で、重篤な有害事象も同様であった(3.5%、)。

図. 重篤な有害事象〔器官別大分類(SOC)

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 重篤な感染症、好中球減少症、リンパ球減少症など、事前に設けられた10の重点調査項目のうち、副作用の発現が1%を超えたのは重篤な感染症(3.3%)と脂質増加および脂質異常症(1.7%)であり、その他はいずれも1%以下であった()。

表. 重点調査項目

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(図、表とも針谷正祥氏提供)

 なお、追跡6カ月時点における重篤な感染症は、肺炎(0.66%)、帯状疱疹(0.63%)、ニューモシスチス・イロベチイ肺炎(0.40%)などで、その他に蜂巣炎(0.26%)、胃腸炎(0.09%)、尿路感染症(0.09%)といった、RA患者で一般的に見られる感染症が含まれていた。

悪性腫瘍の発現はデータ蓄積が必要

 全追跡期間(3年間)における悪性腫瘍の発現は1.65%(58例66件)であり、うち血液悪性腫瘍はびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫0.11%(4例)、リンパ腫0.06%(2例)、リンパ増殖性疾患0.06%(2例)であった。悪性腫瘍の発現を経時的に見ると、100人・年当たり0.90~1.79であったが、各観察時点でばらつきがあったため、針谷氏は「まだ結論を出す段階ではない。さらなるデータの蓄積が必要である」と説明した。

 追跡6カ月時点で報告された死亡は21例(0.6%)で、死因の内訳は感染症(6例)、悪性腫瘍(5例)、間質性肺炎(4例)、脳心血管疾患(4例)、突然死・原因不明の死亡(2例)、その他(2例)であった(重複あり)。

 トファシチニブの特定使用成績調査(全例調査)に基づいて適正使用状況を見たところ、7,521例中21例で適応外使用(皮膚筋炎、成人発症スチル病、発疹、強皮症、高安動脈炎、脊椎炎、脱毛症)が認められ、うち5例(23.8%:皮膚筋炎患者、成人発症スチル病患者)で死亡が確認された。

 そのため、同氏は「トファシチニブを安全に使用するために、適応外使用は絶対にあってはならない」と指摘。これは同学会抗リウマチ薬市販後調査小委員会としての見解であることを強調し、同薬の適正使用の徹底を求めた。

Medical Tribune Webより転載

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