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健康サポート薬局を評価する指標、QI

日豪共同ワークショップ:健康サポート薬局の質とは何か その2

2018年06月19日 14:17

健康サポート薬局を評価する指標、QI

藤田健二(シドニー大学大学院博士課程後期)

健康サポート薬局では、かかりつけ機能や健康サポート機能により地域住民の健康促進に貢献していくといった役割が期待されています。

ところで、こうした薬局、薬剤師の活動はどのようにして評価されるべきでしょうか?今回、健康サポート薬局の質評価をテーマにしたイベントを開催したのでレポートします。

この記事で伝えたいこと

  1. 薬局の質を計るものさし「QI」で健康サポート薬局を評価する
     1-1. QIとは?
     1-2. 健康サポート薬局のQI策定のためのワークショップ
     1-3. QI例:栄養指導を必要とする患者に対する栄養士の介入の有無

  2. 目標は、質の高い薬局が適切に評価される仕組みと、質の高い薬局サービスを日本のどこでも受けられる体制の確立

参加イベント:日豪共同ワークショップ:健康サポート薬局の質とは何か
開催日時:2018年3月21日
開催場所:昭和薬科大学
参加人数:約50名
本イベントは、シンポジウム(関連記事:健康サポート薬局の質の高さとは?)とワークショップの2部構成。この記事ではワークショップの内容を紹介します。

薬局の質を計るものさし「QI」で健康サポート薬局を評価する

健康サポート薬局の質を評価するためのQuality Indicator (QI)の開発を目的としたワークショップが開催されました(写真②)。

写真2.png
写真②ワークショップ参加者との集合写真

◆QIとは?

QIとは、特定の疾患または問題を抱えている患者に対して、提供されるべきケアが提供されたかどうかを評価するためのツールです。具体的には、QIは割合(%)で表されることが多く、分母を「特定の疾患または問題を抱えている患者数」、分子を「提供されるべきケアが提供された患者数」として、一定期間内(直近1カ月・3カ月など)に薬局を利用した患者を対象に計算します。

図1.jpg

病院や診療所の質評価指標として利用されることの多いQIですが、近年では、薬局サービスの質評価指標としても、複数の国で導入されはじめています。

◆健康サポート薬局のQIを策定

まずは、「健康サポート薬局として、誰に対してどのようなサービスを実施することが質の高いケアと言えるのか」という議題を掲げ、1グループ5~6名でディスカッションしながら、最終的に健康サポート薬局を評価するためのQIを参加者1人につき1つ作成しました。

続いて、ワールドカフェ※1の手法を用いて、参加者が作成した約50種類のQIの内容的妥当性と実行可能性を評価しました。内容的妥当性とは「QIスコアが高い=薬局の質が高い」といえるかどうか、実行可能性とは分母・分子の値を薬歴などから抽出することが可能かどうかを意味します。各参加者は、他の参加者が作成したQIに関する説明を聞いた後、3色(青・黄・赤)のシールのいずれかを用いて内容的妥当性と実行可能性について評価しました。参加者間の議論の過程で、分母・分子の表現を修正すべきと判断したQIは、記載内容を修正してブラッシュアップされていきます。こうした評価を合計3回繰り返して完成した約50種類のQIを本ワークショップの成果物としました。

※1 ワールドカフェ:テーマに関する気づきや理解を得ることを目的に、参加者がリラックスして自由に対話する中で意見を交換する、ファシリテーションの形式のひとつ。

◆QI例:栄養指導を必要とする患者に対する栄養士の介入の有無

例として、ワークショップ内で実際に作成されたQIを用いて妥当性と実行可能性について解説します(写真③)。

写真3.png

写真③QIシート例

「食事指導を必要とする患者に対する栄養士の介入の有無」を評価するQIです。

2図.jpg

ワークショップ参加者は、栄養士による栄養指導は専門性が高く、来局者の満足度も高いと、経験上認識しており、このQIの内容的妥当性は高い(青シール4つ)と評価されました。一方、QIスコアを算出するための分母と分子については、薬歴に自由な表現で記載している場合が多く、数値を抽出することが困難です。したがって、実行可能性は疑わしい(青・黄シール2つずつ)という評価を受けました。

作成した50のQIは専門委員会での再評価を経て実施へ

このようにして本ワークショップで作成・評価されたQIは、別途設置する専門委員会によって修正、再評価を受けます。

例えば、上記のQIにおいては、評価対象と計算式の分母がイコールになっていません。「食事指導を必要とする患者」が必ずしも「食事に関する質問をしているわけではない」からです。こういった点を専門委員会で修正してから、このQIの内容で薬局の質を評価することが適切かどうか、改めて検討します。

評価の結果、適切だと認められたQIを用いて、実用化に向けた予備試験を複数の薬局の協力を得て実施する予定です。

質の高い薬局が適切に評価される仕組みと、
質の高い薬局サービスを日本のどこでも受けられる体制の確立を目指す!

地域包括ケアシステムの中で、健康サポート薬局は、健康相談受付や受診勧奨などを通して、国民の病気の予防や健康サポートに貢献することが求められています。これらは決して新しいサービスではなく、従来から実施していたサービスを健康サポート機能の1つと位置づけたと捉える方が腑に落ちるのではないでしょうか。

大切なことは、質の高いサービスを提供する薬局が適切に評価されて、結果として質の高い薬局サービスを、日本中どこでも受けられる体制作りだと思います。そのためにも、今回紹介したようなQIの導入は、日本の薬局において今後重要になってくると考えています。

⇒シンポジウムの内容はこちらの記事でお読みいただけます

こちらの記事に関する問合せは「kfuj2522@uni.sydney.edu.au」まで。

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