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衝撃の訪問、胃瘻患者に食品配達 

2018年07月02日 14:09

衝撃の訪問、胃瘻患者に食品配達 

つぼみ薬局居宅介護支援事業所 
角山 美穂

在宅患者さんのお役に立ちたくて、在宅専門薬局を立ち上げたのが2009年11月。1人薬剤師 兼 ケアマネとして、24時間体制で頑張っています!

【PharmaTribune2011年11月号掲載】

肺炎予防、経済面、看護者の手間... 兼ね合いは難しい

「テルミール®PGソフト®」という半固形栄養剤があります。医薬品ではなく、食品に分類された栄養剤です。この配達依頼が担当ケアマネよりつぼみ薬局にありました。お届け先は、胃瘻造設のために入院し、退院時にテルミール®を処方された在宅患者さん。

 いつからか、何が原因だったかは不明の寝たきりの方で、高齢の夫が介護しておられます。

 胃瘻の造設は「誤嚥を繰り返すから食べられないでしょ。このままでは死んでしまいますよ」と言われて、仕方なしの決断だったようです。ケアマネからの依頼は当初「服薬管理の必要はない!ただ、保険診療外のテルミール®のみを1週間毎に持って行ってもらえればよい」とのことでした。

 はじめはあまり気が進みませんでしたが、ケアマネさんに「病院内で誰に相談しても『これは、つぼみさんでしょ』って言われたんです」なんて言われてその気になってしまいました。なので「配達料は?」「いらないですよ」...^^♪

 もともと8年前から訪問看護師さんが関わり、医師も週1回往診を行っていたようですが、血液検査などの検査は行わず、定期薬もないとのことでした...(積極的な治療を行わないのは、本人の希望とケアマネより伺いました)。

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 初回訪問前、往診医の医院にて、医師・ケアマネ・訪問看護師・薬剤師(私)でカンファレンスを行いました。その際の情報によると、入院前には栄養剤はエンシュアが出されていたようですし、私もできれば経済的な問題や介護者の手間を考慮して、「エンシュア®」か「ラコール®」でいきたいと伝えました。

 エンシュア®やラコール®などの経管栄養剤は、入院時には食事扱いとなり保険請求できず、自己負担となりますが、在宅では「医薬品」としての扱いになります。この方の場合、重度障害の手帳をお持ちなのでラコール®やエンシュア®にすると自己負担がなくなります。一方、テルミール®だと、400kcalを1日2回朝夕に注入という退院時の指示なので、6,300円/9日が必要となり、年金暮らしの方には荷が重く長続きしないのでは...。現に、1か月分まとめて 持参しようかと相談すると、6,300円×3=18,900円 はきついので、1箱ずつでお願いしたいと(^^ゞ

 テルミール®の注入手技を訪問看護師さんに伺うと、まず水を200mL専用ボトルチューブで落とし、その後テルミール®を一旦注入器で吸い上げ、何度かに分けて注入するという一連の作業が必要とのこと。一方、ラコール®の400mL入はそのまま胃瘻チューブにつないでおけばよい。ラコール®の方が、高齢の介護者には負担がないのでは...と考えました。

 胃瘻への栄養剤注入に必要な注入器やボトル・チューブの費用は、自己負担では1,000円/月かかります。テルミールからラコールへ変更し、注入器などの費用を、医師の「在宅成分栄養経管栄養法指導管理料」として算定、負担していただけないかとお願いしました。卸さんにいただいた「医科の診療報酬点数表」を持参して提案してみると、一度は点数の大きさ(2,500点)に栄養剤の切り替えを考慮してくださいましたが、訪問看護師とケアマネに反対され(半固形状の方が誤嚥性肺炎や胃瘻口よりの逆流が起こりにくいとの理由より)、結局、当初ご希望のテルミール®を持参しての訪問となりました。

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 そして、初訪問。行ってビックリ!!!こんなに廃用・拘縮のひどい方がおられるんだ(/_;)...と驚くような、要介護5の方でした。

 このとき、オムツ交換を見せていただきましたが、関節の拘縮がひどく、可動域に制限があるため、ご本人は「痛い!痛い!」を連呼していました。介護者の夫も大変です。これでは、栄養剤注入時のファーラー位(半座位)にすることは困難でしょう。

 医師と介護者のやり取りを聞いていると、驚くような発言も。
医師「薬はどうやって入れてるん?」
介護者「栄養剤の前に注入器内に水を入れて溶かして」(ほ〜簡易懸濁法を入院中に習ったんですね〜)
医師「(薬を)栄養剤に混ぜて入れてもよいよ

...え!それはだめです!

 処方薬にはガスモチン®錠があります。胃腸機能調整作用を期待しているのだから、そこはやはり薬・栄養剤注入の順番にしてほしい(>_<)。それに、混ぜると胃瘻チューブの詰まりが怖い!!薬剤によっては栄養剤と混ぜることによって固まってしまったり、栄養剤注入の間(1時間位)に薬剤が変質してしまう可能性もあり、危険です。

 胃瘻チューブは患者様のお口です大事にしないと。万一詰まったり、劣化してしまったりすると大変です。ましてや、今回の栄養剤は半固形状のため、詰まってしまう恐れ大!ですし(~_~;)

 往診医は院内調剤らしく、ここでの投薬もご自分でされました。退院時に一包化されていたガスモチン®錠は同じものを、ガスポート®D錠20㎎はファモスタジン®D錠10㎎×2Tに、ミヤBM®細粒はビオフェルミンR®錠 に変更しています。薬袋もなく、これらはヒート包装のままで手渡し。同じ整腸剤でもRが付いたものでは「抗生剤投与時の腸内細菌叢の異常による諸症状」。効能・効果が異なるのだから、抗生剤が処方されていないと保険上切られてしまう可能性大かもしれませんよ...(~_~;)

 違う時代にタイムスリップしたような、衝撃を受けた初訪問でした。これから1週間毎にテルミール®を持って行くのが楽しみな(泣)、事例です。

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