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スポーツ栄養の知識を地域に生かす

スポーツファーマシスト、そしてアスリートフードマイスターとして

2018年07月03日 10:25

 

スポーツへの関心が高じて取得したスポーツファーマシストの認定を生かしながら、地域に根ざす薬剤師としての活動を模索する薬剤師がいます。

埼玉県川口市の室田陽右さん(アイセイ薬局川口前川店)は、スポーツファーマシストだけでなく、アスリートフードマイスターの資格も取り、アスリートや地域住民を薬と栄養、2つの側面から支えています。薬と栄養をリンクさせて2つの柱でスポーツ選手を支える取り組みについて、伺いました(スポーツファーマシストとしてのアンチ・ドーピングに関する取り組みはこちら)。

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 室田陽右氏(アイセイ薬局 川口前川店)

アスリートフードマイスター編
薬と栄養、2つの柱でスポーツ選手を支える

  1. 栄養管理ができれば、ドーピングリスクは低下する!
  2. スポーツ栄養の知識は一般患者にも生かせる
  3. スポーツ選手が気にするたんぱく質とプロテイン
  4. アンチ・ドーピングと栄養、そして今後はリスク管理にも取り組みたい

栄養管理ができれば、ドーピングリスクは低下する!

スポーツ少年だった室田氏が就職してから夢中になったのが、ストリートダンスだ。仕事を持ちながらも練習に打ち込んでいると、体調を崩すことがあった。いつしか、スポーツにおける体調管理の重要性に強い意識を持つようになった。

「練習や試合などを日常的にこなすスポーツ選手は、生活活動強度※1が高いです。ストレスも相当強いため胃を悪くしたり、風邪を引いたり、けがをしたりもします。だから、食事習慣を見直して体調管理をすれば、"薬やサプリを飲む機会が減る=禁止物質の心配がなくなる"と考えました。スポーツファーマシストとスポーツ栄養への取り組みをリンクさせる。これがアスリートフードマイスター取得のきっかけです」。室田氏は力強く語った。

なるべく薬やサプリに頼らない身体づくりを、栄養面でサポートする。食事の話だと切り出しやすいのでは、とも考えた。

スポーツ栄養の知識は一般患者にも活かせる

そして、アスリートフードマイスター講座を受講した。スポーツ栄養といっても、結局は栄養学の話。一般の患者に対する栄養指導にも、十分活かせることに気が付いた。現在、患者対応には必要に応じて栄養指導を取り入れているが、基本的にアスリートと一般の患者の間で伝える内容に線引きはしていないという。

同氏の掲げる栄養指導の到達目標は、「患者さんが自分で考えて食事習慣を改善すること」。そのために基本的な栄養学を指導していくが、前提として「好き嫌いをしない(偏食をなくす)。よく噛む。そして、食事を楽しむ」というアドバイスから話を始めるという。

※1 生活活動強度:日常的な生活動作、作業によるエネルギーの代謝量が、安静時の何倍にあたるかを示す指標。日常の生活活動では、座位での読書など安静が多いほど生活活動強度は低く、ハードなトレーニングを行っていたり、農繁期に農耕作業を行うなど、活動的なほど生活活動強度は高くなる。生活活動強度により、1日に必要な総カロリーなどを計算する。

スポーツ選手が気にするたんぱく質とプロテイン

一方、スポーツ選手に特有なアドバイスもある。たとえば、たんぱく質の摂取について。

たんぱく質は一般的に、体重1kg当たり1日1gの摂取が目安である。しかし、活動強度が高い人ではその必要量が増える。必要量を摂取できないと、体を作る材料が不足する。スポーツ選手では、筋肉の修復に影響が出てしまう点に注意が必要である。おにぎりやパンだけで済ませると、たんぱく質の量がその日の練習強度に足りなかったり、特にジュニア選手では体の成長に対して不足してしまう。逆に主食(お米などの糖質)が不足すると、糖質に代わってたんぱく質がにエネルギー産生のために燃焼され、「からだを作る」という本来の働きをしなくなってしまうという(ただ、腎臓疾患の患者等は、たんぱく制限があるので別に考慮する)。

また、たんぱく質は摂取量だけではなく、摂り方も大切だ。「一般に、朝昼夕の3食の中でも夕食に肉や魚などの摂取が多くなり、朝は少なくなってしまいがちです。しかし、ばらつきをなくし、朝もなるべく摂るようにしてほしいと考えています。ジュニアは成長につながり、スポーツ選手は身体の回復につながります(室田氏)」。

プロテインについては、何らかの事情で食事が摂れない時に応急的に使用することは良いが、それがメインになってしまわないように気をつけるべきだという。必要な栄養は、できる限り日常生活の3食で摂ってほしいと同氏は主張する。

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「お肉・魚・大豆製品だけではなく、炭水化物や野菜にも少しずつたんぱく質が含まれているので、しっかりと食事を摂れば、意外と十分な量のたんぱく質が摂れるんですよ」

アンチ・ドーピングと栄養、そして今後はリスク管理にも取り組みたい

アスリートフードマイスターの資格を取得後、栄養指導にも力を入れている室田氏。必ずしもアドバイスが成果につながっているかどうかの確認はできない。しかし、患者から「教えてもらった栄養の摂り方を実践しているよ。続けられそう」との声を聞くと、嬉しくなる。

もっと自分の専門性をアピールしたいとも考えているが、今は来局した患者に、「部活は何をやっているんですか?」などと気軽に話しかけて情報収集に努めているという。

調剤薬局で働いて14年目。「スポーツファーマシストとアスリートフードマイスターの資格に出会ったことが、キャリアにおけるターニングポイントだった」と、室田氏は振り返る。「アンチ・ドーピングとスポーツ栄養は切っても切れない関係。患者のニーズに合った情報を同時に提供していきたい。さらに、今後は食中毒など、リスク管理などにも結び付けて話をできるようになりたい」と語った。

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アスリートフードマイスター(左)とスポーツファーマシスト(右)の認定証

アスリートフードマイスターとは?
http://athlete-food.jp/
アスリートのパフォーマンスを最大限に引き出すために、自分自身で身体づくりや食事管理ができるようにサポートする、スポーツのための食事学の専門家。株式会社アスリートフードマイスター主催。開講は2010年。1~3級がある。3級では、食品の栄養素やアスリートに必要な食事の摂り方、食事計画の立て方、献立の立て方などスポーツ栄養の基礎について学ぶ。2級、1級と進むにつれてプロのアスリートをサポートする応用編となる。

【取材日2018年5月16日】

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