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「スポーツファーマシストって本当に必要ですか?」

2018年07月05日 08:00

 

 みなさま、はじめまして。みどりや薬局の清水です。 098599.png

 いきなりですが、東京オリンピックが開催される2020年を控え、良くも悪くも世間のドーピングへの注目は増していますね。薬剤師の中でもスポーツファーマシストへの関心は高まり、全国には約8,000人(2018年4月現在)のスポーツファーマシストがいます。

 ところが、認定を取得したものの、活動の機会に恵まれず、悩んでいる薬剤師も少なくないのではないでしょうか。

 このコラムでは、スポーツファーマシストとして地域に貢献することを目指している私が、数多くの失敗を経験しながら、試行錯誤する様子を紹介していきます。みなさんと共に、スポーツファーマシストとしての活動や、健康サポート薬局の未来を考えていけたらと思います。よろしくお願いいたします。

 

098599.png平均的な県の平均的な市の普通な薬剤師

 私が住む島田市は、静岡県のほぼ中心部にある人口9万9千人ほどの都市です。お茶大井川SLが街の特色です。のどかで、住んでいる人たちは温かく、住みやすく働きやすい環境です。

牧之原から島田市街地.jpg日本最大級のお茶畑、牧の原台地から見渡す島田市街地

 

 そんな街にある私たちの薬局は、最近では少し珍しくなってきた、家族経営の薬局です。薬剤師である私と嫁と母の3名とパート薬剤師3名、パート事務員4名でやりくりしています。すぐ近くの眼科クリニックの処方をメインに、市民病院や近隣医院の処方やOTC販売を行っています。ごく普通の薬局ですが、近隣の他の薬局と違うことといえば、健康サポート薬局としてさまざまな地域活動を熱心にやっていることです。

 健康サポートの取り組みの1つとして、現在はスポーツファーマシスト活動に力を入れています。例えば、次のようなことを行っています。

  • アスリートとのアンチ・ドーピング相談
  • 学校、スポーツチームでのアンチ・ドーピング講座
  • 中高年スポーツクラブでのお薬とスポーツ講座
  • スポーツイベントでのアンチ・ドーピング啓発活動
  • アンチ・ドーピングツールの開発
しまだ大井川マラソンドーピング啓発ブース.jpg
島田市を流れる大井川沿いを走る大井川マラソンで
ドーピング啓発ブースを出展しました

アンチ・ドーピングへの関心は薬剤師になる前から098599.png

 アンチ・ドーピングに興味を持つきっかけは私がまだ、薬剤師にすらなっていない2003年です。その年、静岡では国体が開催され、国体初のドーピング検査が導入されました。静岡県薬剤師会がアンチ・ドーピング活動を始め、うちの薬局にもドーピングに関わる資料や案内が届いていました。

 当時薬学生になったばかりの私は、薬剤師がスポーツの現場で活躍できる可能性を感じ、薬剤師の未来に期待したことを覚えています。しかしながら、大きなイベントが過ぎてしまうと、そんな期待やアンチ・ドーピングのことなど忘れてしまいました...。

 その後、薬剤師となった私は、薬局に来るこんな患者さんたちに出会います。

  • スポーツ外傷を抱える患者さん
  • 疾患や服薬によるパフォーマンス低下に悩む患者さん
  • 疾病を抱えながらも、スポーツを楽しみたい中高年の患者さん

 彼らの悩みを聞きながら、なにか手助けはできないかと考えていました。

 同時期に実家の整理をしていると、小学生時代に出場したレスリング大会のトーナメント表が出てきました。そこには、現在メダリストとして活躍しているアスリートの名前がちらほらと見られます。意外なところでトップアスリートとのつながりを感じた私は、薬剤師として、アスリート支援などといった形で本格的にスポーツに関わることができないかと、検討をはじめました。そんなとき、目に入ったのがJADA公認スポーツファーマシストです。

098599.pngスポーツファーマシストって本当に必要ですか?

 認定取得のためのアンチ・ドーピングの勉強は、普段、治療目的のために行うものと少し違っていました。世界アンチ・ドーピング規程(World Anti-Doping Code)を通しての薬物使用や、アスリートのとるべき行動についてなど、とても新鮮でした。学ぶほど興味が強まり、認定申請時には、すでにアスリート相手に活動をしたい気持ちが高まっていました。

 認定を取得した私は早速、認定シールを薬局に貼り、スポーツファーマシスト検索ページにも登録をしました。家族に「これから少しドーピング相談とかで忙しくなるからよろしくね!」なんて言って、やる気満々でした。

 ...ところが。

 いくら待っても、アスリートからの相談はありません。考えてみると、島田市にはプロスポーツチームや大学、実業団などのチームがありません。つまり、ドーピングに関係があるアスリートはあまりいるとは思えないのでした。

 そこで、スポーツファーマシストのもう1つの役割である学校教育を行おうと、地域の学校へ足を運びました。

 これまで学校薬剤師の経験はありましたが、薬局や医療介護関係者としか接してこなかった私にとっては、ほぼ初めての営業活動。とても緊張したことを覚えています。

 アンチ・ドーピング啓発とスポーツファーマシストの活動について、一生懸命説明しましたが、経験の少ない私には、活動の場を得るだけの提案はできませんでした。

 認定を取得して1年目は、待てど暮らせどドーピング相談は来ず、学校へ行っても必要とされず...。早くも、「スポーツファーマシストって本当に必要ですか?」と思い始めていました。

 さて、このようにスタートした活動ですが、いよいよ、待ちに待ったアスリートが相談に来ます。次回は、その話を紹介したいと思います。

最初に飛び込みで行った島田高校.JPG最初の飛び込みで行った島田高校

【コラムコンセプト】

みどりや薬局はごくごく普通の家族経営の薬局。周りの薬局とちょっと違うのが、健康サポートに力を入れていること。特に最近はスポーツファーマシストとしての活動からの健康サポートに励んでいます。数多くの失敗を経験しながら、スポーツファーマシストとしての地域への貢献を試行錯誤する奔走気!

【清水雅之氏プロフィール】みどりや薬局様2枚目.jpg

1984年生まれ。お茶と大井川とSLのまち島田市で家族経営の薬局みどりや薬局を営む。生まれ育った島田市を健康サポート薬局として支えるため、日々奮闘中。少年時代に出場したレスリングの全国大会に多くのオリンピアンがいることを知り、アスリート支援に興味をもちJADA公認スポーツファーマシストを取得。スポーツファーマシストとして活動する中、発明&実験好きの血が暴走してしまいうっかりドーピング防止カードゲーム「ドーピングガーディアン」を開発。スポーツファーマシストや薬剤師の新たな可能性を探索しています。

みどりや薬局
 https://www.facebook.com/midoriya.m2020/

ドーピングガーディアン
 https://www.doping-guardian.com/

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