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「もうあの生活には戻れない!」

小笠原でのひとり薬剤師業務を振り返って思うこと

2018年07月06日 10:45

先日、PharmaTribuneウェブでの連載が終了した「Ph.リトーひとり薬剤部from小笠原」。小笠原村診療所は本州からの移動手段が週に1本の船のみ、しかも乗船時間は24時間という離島にあります。そこでたった1人しかいない薬剤師が小西良典さんでした。2018年3月に小西さんは同診療所を退職し、今は後任の薬剤師が勤めています。

今回、小西さんが上京の予定に会わせて編集部に来てくれました!そこで、インタビューを行い、小笠原での業務を振り返っていただきました。

IMG_7768.JPG

ちょうど1年前にお会いした時に比べると、日に焼けて"ギョーカイジン"ぽさが薄れた小西さん

(関連記事)
離島発信の人気コラムは超速で書かれていた
ひとり薬剤師 できる できないは経験の差

マニュアルを残し、後任と都内で引き継ぎ

ーー小笠原診療所で「ひとり薬剤師」としてのお仕事、おつかれさまでした。在庫管理ひとつをとっても、離島だからこそのご苦労があったようですね。当時を振り返ると、どのように感じますか?
アイコン小西さん.JPG業務を代わってくれる人がいない中で、1人でよくやっていたなぁと思います(笑)。

とりわけ、週に1回の船でしか薬が届かない中で、必要最低限の在庫を置いておくということには苦労しました。赴任して始めての年は、不足や欠品が数え切れないくらいありました。そのたびに患者さんに取りに来てもらって...。でも、そのうち、各薬剤が週にどれくらい出るのかということが見えてきたので、在庫すべき量を計算しました。その後は、不足や欠品が一気に減りましたね。
ーー在庫量の計算は、離島の薬剤師として小西さんが取り組んだ功績のひとつですね。その他にも、新たな取り組みがありましたね。 
アイコン小西さん.JPG 院外処方の場合は、都内にある院外薬局に依頼しますが、当初1件のみしかなかった依頼先を数箇所に分散しました。それから、老人ホーム業務を始めました。それから、父島と母島での医薬品統一を行いました。これは、それぞれでの欠品時の対応にも貢献し、母島での薬剤数を減らしたことで無駄な在庫の削減もできたと思っています。
ーーこうした小笠原での業務を、次の薬剤師に引き継ぐために、マニュアルを作成していましたね。
アイコン小西さん.JPG 離島で1人で薬剤師となると、万が一自分に事故があったときなどに業務内容を伝える手段がなくなります。そのリスクを考えて、赴任後しばらくしてから、少しずつマニュアルを作成していきました。後任の方との引継ぎは小笠原ではなく、都内に戻ってからだったのですが、マニュアルを役立ててもらえていると信じています。

向こうの生活に適応したつもりだったが...

ーー他に、小笠原で着手しておきたかった業務などはありますか?
アイコン小西さん.JPG 学校薬剤師業務です。診療所があって手が回らなかったので、都内の薬剤師に学校薬剤師業務を委託していましたが、本来であれば島の薬剤師がやるべきところ...。私の代ではそこまでいきませんでした。

また、母島業務も。在庫の整理はひととおり行いましたが、なかなか自由に行き来できるわけではなかったので、もっと取り組みたいと思っていました。
ーー退職されて2ヶ月ほどたちましたが、当時をどのように振り返りますか?
アイコン小西さん.JPG 島にいたときは、適応していたつもりでしたが、こうして本州に出てくると、もう、向こうの生活には戻れないなって思いますね(笑)。こちらではスーパーが日が変わるまで開いている!向こうでは、1週間に1回の定期便で届く生鮮食品を楽しみにしていたわけですからね...。
ーー1年半にわたる連載では、小笠原での1人薬剤師業務をご紹介いただき、ありがとうございました。読者からは「機会があれば離島で働いてみたい」といった感想なども寄せられ、まさにPharmaTribuneの顔とも言えるような人気連載でした。次の職場でのご活躍を期待しています。

小西さんの"変わった"キャリアを教えてください!

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小西さんのキャリアは、一般的な薬剤師からみるとちょっと変わっている!?そのキャリアパスや、現在の働き方を決定付けるターニングポイントについて伺いました。
インタビュー記事「ひとつの場所に留まらないという働き方」は後日公開予定!
...薬の専門知識を生かしつつも、薬剤師という職業にこだわらないスタイルを紹介します。

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【コラムコンセプト】
僻地や離島の薬剤師業務って、給料は高いだろうけど、周りに何にもない不便な所で大変そうなイメージがある。それに不便な地で「生活」もしていかなければいけないから結構な覚悟が必要そうだ。......けど実際のところはどうなの?そんな興味と疑問を併せ持つ薬剤師のために、日本で最も行きにくい離島で働く薬剤師が送るコラム連載。良い面悪い面全てを含め、離島におけるありのままの薬剤師業務や生活を、面白おかしくお伝えしていけたらと考える。堅苦しい薬の記事の合間にここを読めば、「私は都会でないと無理だ...」と思っている人も、(保証はできないが)案外すんなり僻地でもやっていけるかもしれない。

【小西良典氏 プロフィール】
大学卒業後薬学部ではなく理学部の大学院に進学。博士課程を中退。その後、ドラッグストアなどで働きながら全国を旅する生活を続けて8年あまりのある日、旅行先の小笠原村が薬剤師を募集していることを知り、勢いで出願。見事採用され、以後、父島の診療所に勤務。旅行経験から、全国どこの街でも道に迷わない自信がある。趣味は工作、パソコン、料理、ロシア語など多数。最近は、毎日録画をしている昼の映画や海外ドラマを片付けるだけで週末が終わっていく。

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