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結節性硬化症の皮膚症状に世界初の治療薬

ラパリムス®ゲル0.2% ノーベルファーマ株式会社プレスセミナー

2018年07月06日 10:15

 指定難病である結節性硬化症(tuberous sclerosis complex:TSC)は、さまざまな症状が全身に現れることで知られているが、特に現れやすいものの1つが皮膚症状である。

 2018年6月6日にノーベルファーマ株式会社から発売されたラパリムス®ゲル0.2%(シロリムス外用ゲル剤)は、TSCに伴う皮膚病変に対しての世界初の治療薬で、先駆け審査指定制度対象品目に指定されて注目を集めている。この度行われたプレスセミナー(6月20日)で、金田眞理氏(大阪大学大学院医学系研究科情報統合医学講座 皮膚科学教室講師)が講演した。

ラパリムス®ゲル0.2%の効能・効果
結節性硬化症に伴う皮膚病変
<効能・効果に関連する使用上の注意>
白斑、シャグリンパッチ及び爪線維腫に対する本剤の有効性は確認されていない。

※先駆け審査指定を受ける医薬品は、(1)治療薬の画期性、(2)対象疾患の重篤性、(3)対象疾患に係る極めて高い有効性、(4)世界に先駆けて日本で早期開発・申請する意思―の4つ全ての要件を満たす必要がある。

そもそも結節性硬化症(TSC)とは?

 TSCは有病率0.014%程度で、人種差や地域差はないとされている。TSC1またはTCS2遺伝子の異常により、mTOR(mammalian target of rapamycin)が活性化されることでタンパク質の合成・細胞増殖の亢進、アポトーシスが抑制されることで、全身の過誤腫が生じると考えられている。

 以前は精神発達遅滞、てんかん、顔面血管線維腫が3主徴とされていたが、それ以外にも白斑、脳腫瘍、腎臓腫瘍、リンパ脈管筋腫症など、さまざまな症状が患者の年齢に応じて現れることが分かっている。

 これらの症状の中で、あらゆる年齢層で特に現れやすいのが顔面血管線維腫だという。とても目立つ上に引っ搔くと出血しやすく、患者のQOLを著しく下げるこの症状は、今までは外科的な処置しか対処法がなかった。しかし、外科処置には全身麻酔が必要で、小児や発達障害のある患者には行えないケースが多いという。

安全に、短期間で効果を示す外用薬

 腎移植患者の拒絶反応予防目的でシロリムスを服用していたTSC患者の血管線維腫が劇的に改善したという報告1があるなど、シロリムスやエベロリムスの経口薬は、TSCの皮膚病変に適応はないものの、症状を改善させることが知られていた。しかし、経口薬でTSCの皮膚症状を改善するには長期間の服用が必要で、副作用が問題になってくる。

 今回発売されたラパリムス®ゲル0.2%は、内服薬に比べ短期間で効果が現れ、小児にも使用しやすい点が画期的だ。臨床試験のデータを挙げると、TSCに伴う皮膚病変を対象とした検証試験(第Ⅲ相試験)で、血管線維腫や線維性頭部局面に対し、投与後12週間で改善を認めた。また、改善率の推移を見ても全体および成人では投与開始4、8、12週後、小児では8、12週後においてラパリムスゲル群の改善率がプラセボ群に比べて有意に高値だった(図)。

 長期投与試験(第Ⅲ相試験)では、52週の投与において97.9%の患者が中止に至らず、75.4%の患者の血管線維腫が改善している。

図 投与12週後の改善度(全体、主要評価項目)および改善率の推移

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 ただし、本剤の使用で改善した皮膚症状は、数週間後には再燃することが分かっている。「外用薬の使用をいつ開始するのか、いつまで続けるのか、5~10年という長期の安全性はどうなのかなどは、今後解決していく課題だ」と同氏は述べる。現時点では、再燃しても薬の効きが悪くなる、あるいは症状が以前より悪化するというデータがないこともあり、症状が改善したら使用をいったん中止し、再燃したら使用を再開するよう患者に伝えているという。

薬剤師には光線過敏症の注意喚起や使用上の工夫を伝えてほしい

 薬剤師から患者に伝えてほしいことを聞くと、金田氏はまっさきに光線過敏症への注意喚起を挙げた。ラパリムス®ゲル0.2%では光線過敏症が発現するおそれがあるので、日よけのために日焼け止めを塗る、長袖やつばのある帽子、日傘の利用が勧められるという。

 他にも、副作用である皮膚の乾燥が気になる患者には、同剤を塗布した上から保湿剤を塗ることが勧められるという。ラパリムス®ゲル0.2%にはエタノールが含まれており、目の周りや傷がある部位への塗布には気を付けることや、どうしても皮膚刺激が気になる場合には、有効性が若干落ちる可能性があるとしつつも、ワセリンをあらかじめ塗布した上で使用することも考えられると述べた。

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