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知り合いがたくさんいる中で働くこと

田舎の薬剤師 地域医療への貢献を模索中!〜故郷を薬剤師として支えたい〜#2

2018年07月11日 08:00

 前回は、現在勤める病院への転職の経緯について書きましたが、今回からは、実際に働いて感じていることや行っている取り組みについて書いていきたいと思います。

 まず初めに、私が勤務しているJCHO若狭高浜病院の紹介をします。当院は病床数が一般病床40床、療養病床50床の計90床で、透析施設や付属の老健施設もございます。現在の薬剤師は5名(正職員2名、パート3名)です。

wakasatakahama_hp.jpgJCHO若狭高浜病院外観

 また、私が住み、働いております福井県高浜町についてですが、京都府との県境に位置する福井県の最西端にあり、人口は約1万人、高齢化率は約30%の町です。町内に病院は他になく、診療所が3カ所、保険調剤のできる薬局が2カ所あります。

fugu_icon_purple.jpg「私がオムツを替えてあげたんやで!」

 さて、本題へ。

 前回書いたような経緯で4年と少し前に、地元である高浜へ戻ってきたわけですが、待ち受けていたのは今までとは全く異なる仕事の環境でした。今までは縁もゆかりもない土地で働いておりましたので、知り合いはほとんどいなかったわけですが、こちらに帰ってきたら周りは知り合いだらけでした。小さい町なので、ほとんどの人が知り合いの知り合いの範疇に入るのではないかと思います。

 働き始める前に、今の職場に同級生が何人かいるのは知っており、一緒に働けるのを楽しみにしていたのですが、その他に誰がいるかは全然知りませんでした。

 勤務初日、各部署に挨拶に行くと見覚えのある顔が...「あっ、○○のオカン!しかも部長とは...」同級生の母親の職業なんて知りませんし、まさか今になって一緒に働くことになるとは思いませんでした。恥ずかしいような、何とも言えない気持ちでした(笑)。

 その他にも弟の同級生がいたり、親の同級生がいたり、親の営む店の元従業員の娘さんまで。「私がオムツを替えてあげたんやで!」とか言われ(笑)。親の知り合いまで入れるととんでもない数になりますし、私が知らなくても私のことを知っている人も多くいました。

kani_icon_redpurple.jpg院外の薬局も、患者さんも顔見知り

 さて、院外はといいますと、保険調剤可能な2軒の薬局のうち、片方は私が薬局実習をした薬局です。挨拶に行くと、管理薬剤師さんは覚えてくれていたようで、たいへんうれしかったです。ていうか、地元に戻る気もないのに、ふるさと実習をしていたことが今となっては驚きです。

 もう1つは門前薬局ですが、訪問してみると1つ上の地元の先輩が管理薬剤師として働いておられました。ほとんど話したことはありませんでしたが、すごく身近な気がしました。それから4年が経ちましたが、顔見知りということで好きなことを言わせてもらっています。ご迷惑をお掛けしているとは思いますが...本当にありがたいことですし、仕事はたいへんやりやすく感じています。

 そして患者さん。入院患者さんへの服薬指導で訪室すると、高確率で私がどこの誰だかがバレてしまいます。私の両親(昔は祖父母も)が商売をしていて、町内ではそれなりに有名な家庭なので、名字でバレてしまうようです。私のことを直接知らなくても、両親や、年代的には祖父母のことを知っている方も多いですね。服薬指導の傍ら、世間話で祖父母の昔話をしてくださる方もいて、なんだかうれしい気持ちになります。

 そういった意味では、両親や祖父母をはじめとする家族、親戚にはたいへん感謝しています。こんな機会でもないと、感謝することなんてなかったかもしれません。

takahama.jpgこれは高浜町の航空写真です。右奥に見えるのが、別名『若狭富士』と呼ばれる「青葉山」です。下の方に見えるのは、ビーチの国際環境認証『ブルーフラッグ』を日本(アジア)で初めて取得した「若狭和田ビーチ」です。このような豊かな自然に囲まれた小さな町です。

tai_icon_red.jpg自分に「近い」患者さん、役割は「大きい」

 子供の頃にお世話になった方と職場でお会いすることも時々ありますし、入院されてくることもあります。10年、20年ぶりにお会いしますので、その分、皆さん歳を取られておりますね。少しおこがましいですが、そういった方に成長した姿を見せることができたり、恩を返すことができるのは私にとってたいへん幸せなことのように感じています。

 でも、よくよく考えてみると、「ああ、この環境で働きたくなかったから地元には戻ってこなかったんだな」と思い出しました。常に監視されている気もしますし(おそらく自意識過剰です)、逆に言えば、変なことはできないという環境ですね。

 こういった環境がいいのか悪いのか、私にはよく分かりません。人によって感じ方は違うのかなと思います。正直なところ、私の性格としては周りを気にしますので、今の環境よりも、以前の誰も知っている人がいないような環境の方が思い切ったことができたような気がします。

 故郷に帰ってきて、働く環境はガラッと変わりました。もちろん、いいことばかりではありませんが、トータルで考えると帰ってきてよかったなと感じています。山口にいた時よりも患者さんが自分に「近い」存在ですし、小さな町なので自分の薬剤師として果たす役割はより「大きい」と感じています。微力ながらも地域を支えられているように感じていますし、何よりも、育ててもらった人や町に感謝しながら恩返しができているのではないかということが、そう思わせているのだと思います。

 

【コラムコンセプト】

たくさんある薬剤師としての働き方の中から選んだ、地域に根ざして働く病院薬剤師。地域に対して何ができるのだろうかと日々考えながら業務をしています。田舎はたいへんなことも多いけど、田舎ならではのおもしろいこともすごく多いです。何か目立つことをするわけではなく、地味に細々と活動している薬剤師がたくさんいることを知っていただき、同じような境遇で働く薬剤師を少しでも勇気づけることができれば幸いです。

【野田学氏プロフィール】

NodaManabu.jpgJCHO若狭高浜病院薬剤科所属。薬学部卒業後、7年間の山口県でのチェーン調剤薬局勤務を経て、地元である福井県の病院に勤めだして5年目。生まれ育った人口1万人ほどの自然豊かな小さな町にある唯一の病院で、のほほーんと勤めながら、薬剤師・医療者・地域住民として自分に何ができるのかを日々模索中。ブログで地域での活動の様子や日々の業務で考えたことなどを書いています。

ブログ:リンコ's diary 田舎の地域医療を志す薬剤師

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