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家族の想いに寄り添う、家での「看取り」

2018年07月17日 11:31

家族の想いに寄り添う、家での「看取り」

つぼみ薬局居宅介護支援事業所 
角山 美穂

在宅患者さんのお役に立ちたくて,在宅専門薬局を立ち上げたのが2009年11月。1人薬剤師 兼 ケアマネとして,24時間体制で頑張っています!

【PharmaTribune2012年3月号掲載】

ご家族は在宅で看取りを希望

 Aさんは80代男性。妻と、娘夫婦、孫娘との5人家族。要介護1。慢性呼吸不全、肺気腫。3年前に肺がん治療を行った後、在宅酸素療養をしておられました。

 このご家族との関わりが始まったのは、昨年7月末。以前、がん末期の別の患者さんへのケアマネ業務でご一緒した訪問看護ステーションの所長さんから、「ケアマネをやって」と依頼を受けて。月初めに体調を崩して入院したころに、前ケアマネと何か行き違いがあったとのこと。

 代役は荷が重いな〜(>_<)。 ご家族がお勤めのため、初回インテーク(面接)のご希望が日曜日ということも、少し憂鬱...(~_~;)。
 でも、「以前の関わりで、薬の調整もしてくださったし、とてもやりやすかったからお願いしたのよ!」と訪問看護師さんから言っていただき、「よし頑張らなくちゃ!」 と自らを奮い立たせて、初回訪問に向かいました。

 主介護者は奥様、キーパーソンは娘さん。心強いことに、孫娘さんは看護師さんでした。当初のアセスメントで伺ったご家族の希望は、「認知症で目が離せない状態にならなければ、在宅での看取りを希望」とのこと。

 ケアマネとして担当したものの、私は薬剤師です。ケアプランの管理と共に使用薬剤のご相談も併せて受けていました。 

 Aさんが、しんどさのあまり酸素の流量を自己調節していることを知って、「医師の指示通りの流量を守って下さい!呼吸苦に酸素を増やしてしまうとかえって二酸化炭素とのバランスが悪くなり症状の悪化も心配されます!」と指摘したり...。導入期には、薬のことを始め、気がかりなことはあれこれ指摘していましたっけ。つぼみ薬局も3年目になると、在宅酸素療養をしておられる患者様との関わりも多数となり、以前より自信を持って指導できるようになりました。

 導入期の一連の作業が落ち着いてからは、月1回の定時訪問のみで様子を見ていましたが、12月に入り、気胸が引き金でAさんは緊急入院しました。ところが、「家に帰る」と不穏になって、早々に退院。その後、褥瘡の兆候があると訪問看護師さんから連絡いただき「床づれ予防マット」を導入したり、「食べられない」とのご家族からの相談にメイバランス®(流動食)のサンプルを持参したり。それから、ADL(日常生活動作)が急に低下してしまったため、Pトイレ(ベッドの横や室内に置いて使用するポータブルトイレ)の導入、紙パンツのサンプルの持参、使用法の説明...と訪問看護師さんと連携を取りながら状況の変化に合わせて適宜必要なサービスが導入できたと思います。

 主治医とはAさんを介して初めて関わり、最初は恐る恐るの電話やFAXでしたが、心よく対応していただきました。その間に入ってくださった訪問看護師さんにも改めて感謝です!

 そんな中で、体調が少し良い日に、「お墓参りのついでに寄ってみた」とひょっこりご本人がつぼみ薬局に立ち寄ってくださったこともありました(^.^)

「今の状態で家で看るのは無理」と病院に言われたがーー

 しかし年末に状態が悪化し、ご家族から「車いす」の希望がありました。役所の閉まるギリギリの12月28日に「要介護認定の変更申請」をかけ、どこか落ち着かない気持ちのままの年越しです。

 明けて1月4日に出勤してみると、ご家族からFAXが届いており、大晦日に再入院したとありました。

 退院する前に住環境を再点検して...と、年明け早々あちこちへ連絡調整している最中、孫娘さんからお電話が──。

「病院から、今の状態で家で看るのは無理、どこか後方病院を当たるよう言われました。どうすれば家で看られるの?」

 私自身の不安な気持ちを抑えながら、「訪問看護師さんも既に入ってくださっているし、福祉用具はすぐに手配します。あとはご家族のご判断かと思います!」とお返事すると、この日のうちに退院してこられました。

 退院を受けて早速、再アセスメント。次は訪問看護師さんと同行訪問し、ご家族の想いを確認。そしてご自宅に介護関係者が集まってサービス担当者会議を開催し、必要な福祉用具を整えつつ、「薬の飲み込みが難しい」とご相談いただいて'ペースト状のオブラート'を持参したり...。何度もご自宅を訪問しました。

 緊急時の対応法も訪問看護師さんと再確認していましたが、1月下旬の日曜日の朝、奥様が様子を見られた際には既に呼吸がなかったそうです。私の方へは訪問看護ステーションの所長さん、担当看護師、娘さんから順にお電話いただきました。

 グリーフケアは、1週間後くらいを目安にお線香を持参してご家族の介護をねぎらうために行う、と決めています。今回は先に娘さんご夫婦が薬局へご挨拶に来てくださり、恐縮しました。日を改めて私から訪問させていただくと、「安らかな顔をして、眠っているようだった」「苦しんだ様子が全くなかったので良かった」「何も悔いはない」とおっしゃっていただき、安堵しました。

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 「在宅での看取り」を最初は希望するご家族も、途中で不安になって最期は入院することがほとんどで、家で実際に看取った方は、つぼみ薬局を始めてお2人目です。

 時に揺れる介護者の想いに寄り添いながらの2か月でしたが、完全燃焼して、心強い訪問看護師さんをはじめ地域のそれぞれの専門スタッフのおかげだと、ホッとした気持ちでいます。

 '望まれれば寄り添わせていただき、何かのお役に立てれば!' 慌ただしい日常業務の中で、改めて開局当初の想いを思い出させてくださった患者さんとご家族に心から感謝しています。

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