新規登録

薬剤師が押さえておきたい健康トピックス(2018年7月前半)

2018年07月18日 10:00

7月1日~15日に各メディアで配信された健康情報のうち、「コレは押さえておきたい!」と考えたものを、独断と偏見でリストアップします。患者さんからの突然の質問に困らないよう、情報収集の一手として役立てていただけると幸いです。

バルサルタン錠に発がん性物質 あすか製薬が自主回収

https://www.asahi.com/articles/ASL765DC1L76ULFA025.html

【朝日新聞 7月6日】

バルサルタン錠「AA」に、発がん性があるとされるN-ニトロソジメチルアミンが混入していたことから、メーカーによる自主回収が行われています。この銘柄は2017年に既に販売中止されていますが、今回の報道を受けて、関係のない薬まで患者の自己判断で止めてしまうことがないよう注意が必要です。「だから後発医薬品は...」といった論調も見られますが、原薬の製造工程で混入が起きた今回の事例は、先発医薬品でも起こり得ることに留意すべきです。


(参考)
◆あすか製薬「製品の自主回収のお知らせとお詫び」
http://www.aska-pharma.co.jp/info_20180711.html

大幸薬品、正露丸でアニサキスの活動を抑えるという特許を取得

https://www.zaikei.co.jp/article/20180710/453168.html

【財経新聞 7月10日】

胃腸薬・正露丸の主成分に、寄生虫アニサキスの活動を抑える効果があるとして特許権が認められたニュースが話題になりました。確かに、正露丸の服用後に痛みが緩和されたという文献はありますが、比較対照のない2例の症例報告だけで、これによって「効能・効果」が認められたわけではありません。効果があると誤解されるような表現で販売すると薬機法に違反しますので、注意が必要です。


(参考)
◆Two cases of gastric Anisakiasis for which oral administration of a medicine containing wood creosote (Seirogan) was effective.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21937389

運動部のみんな、熱中症「無理」「もうダメだ」の勇気を

https://www.asahi.com/articles/ASL7G5H4GL7GUTQP03W.html

【朝日新聞 7月14日】

日本スポーツ協会は、熱中症予防指針で暑さの指標を設けており、WBGT(湿球黒球温度)が28℃以上の時は体温の激しい運動・持久走などを中止、31℃以上の時は運動自体を原則中止すべきとしています。炎天下の中で休息もとらずに行う運動は、極めて危険な行為です。本記事は生徒に向けた発信になっていますが、教師側・指導側の認識不足がそもそもの原因になっていることを認識しておかなければなりません。

※WBGT:気温(乾球温度)、湿度(湿球温度)と輻射熱(黒球温度)および気流の影響も反映された、総合的に暑さを評価できる温熱指標


(参考)

◆環境省「熱中症予防情報サイト」
http://www.wbgt.env.go.jp/heatillness_manual.php
◆日本スポーツ協会:熱中症予防運動指針
http://www.japan-sports.or.jp/medicine/heatstroke/tabid922.html

  

【コラムコンセプト】
TV・新聞・週刊誌・インターネット......毎日さまざまなメディアから大量の健康情報が配信されます。それを見た患者さんが「こんな情報を見たけれど、私の治療って大丈夫?」と聞いてきたらどうしますか?医療や薬に関する情報は、命に関わるもの。正確さ、専門性が求められます。薬剤師は薬の専門家として、患者さんの持ち込んだ情報が適切かどうかを判断し、対応しなければなりません。このコラムでは毎月、世間を賑わした健康情報をリストアップし、必要に応じて解説します。患者さんからの突然の質問に困らないよう、情報収集の一手として役立てて頂ければ幸いです。

fabf9fbe.jpg

【児島 悠史氏 プロフィール】
京都薬科大学大学院修了後、薬局薬剤師として活動。「誤解や偏見によって生まれる悲劇を、正しい情報提供と教育によって防ぎたい」という理念のもと、日々の服薬指導のほか、Webサイト「お薬Q&A~Fizz Drug Information」を運営。医学論文などを情報源とした信頼性のある医療情報や、国民の情報リテラシー向上を目的とする記事を配信。近著は、「薬局ですぐに役立つ薬の比較と使い分け100」。

トップに戻る