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まずやってみる、それが次のチャンスを生む

私のターニングポイント vol.1 株式会社アイセイ薬局代表取締役社長 藤井江美さん

2018年07月19日 10:40

 健康サポート薬局や地域包括ケアなど、活躍の幅が広がる薬剤師の仕事。その中でも、ユニークな経歴を持つ薬剤師に、転機や困難を乗り越えた経験を伺う企画「私のターニングポイント」がスタート!

 第1回は、全国に354店舗(2018年7月現在)の調剤薬局を展開し、地域に根差した健康イベントの主催や介護施設の運営なども手がける、株式会社アイセイ薬局の代表取締役社長の藤井江美さんにご登場いただきました。薬剤師や薬学生が自分らしいキャリアを目指し、実現するための、勇気の出る言葉が詰まっています。

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株式会社アイセイ薬局代表取締役社長 藤井江美さん

【藤井江美さんプロフィール】

大学卒業後、個人薬局で調剤などの業務を経験した後、株式会社アイセイ薬局に薬剤師として入社。店長、首都圏営業部マネジャー、人事部、学術研修部、内部監査室・室長、人材開発部・部長、人材本部本部長、取締役、代表取締役副社長を経て、2015年より現職。

働いてみて気付いた、仕事が好きという気持ち

―薬剤師として働き始め、現在は代表取締役社長を務められています。これまで、どのようなキャリアを積まれたのですか?

藤井:大学卒業後、それまでアルバイトをしていた個人経営のドラッグストアから、「卒業後もやってみない?」と声をかけていただき、入社しました。その後、調剤も経験したくて個人薬局に転職しましたが、1年ほど働いて、もう少し幅広い診療科目に携わりたいと思うようになりました。

そんなとき、アイセイ薬局が八柱店(千葉県松戸市)を開局することになり、薬剤師の募集をしているのを見つけたんです。店舗の立ち上げに関われることはあまりないと思い、アイセイ薬局に一薬剤師として入社しました。それから当時のスタッフの退職などもあって同店店長を経て、下総中山店(千葉県船橋市)の立ち上げに当たり、店長として異動しました。そのころ、会社には薬剤師のマネジャーを強化したいという考えがあり、次に「マネジャーをやってみないか」と言われて、本社に移りました。本社異動後は、結婚、出産とプライベートでも変化がありましたね。

―そもそも薬剤師という職業を選ばれたのは、なぜですか?

藤井:母が薬剤師だったんです。母の兄が医師で診療所を開いていて、母もそこに手伝いに行っていました。母が患者さんに薬の説明をしたり調剤したりする姿を見ていたので、身近な職業で、小学生くらいから自分も薬剤師になるのかなと、なんとなく思っていましたね。母からも「薬剤師がいいんじゃないの?」と言われるうちに、「目指してみようかな」と。

―お母様も子育てをしながら薬剤師をされていたのですね。藤井さんは働きだしたとき、ご自身のライフプランと照らし合わせ、どのような働き方をしていこうと思われましたか?

藤井:薬剤師として長く働きたいとは考えていましたが、「結婚、出産をしたら、ずっと正社員でいることは難しいだろう。だから子育て中はパート、落ち着いたらまた正社員として働こう」と考えていました。でも、働き始めたら、自分は仕事をすることが好きだと気付いたんです。

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今でも年に一度、店舗に立つという藤井さん。
「患者さんに笑顔で帰っていただけたときは、何物にも替え難いうれしさがあります」

仕事も家庭も、周囲と助け合いながらやっていこう

―そして出産をされ、育休が明けるとすぐフルタイム勤務をされましたね。

藤井:育休中も、子供といるのは楽しいけれど、働いてもう少し生活にめりはりをつけたいとは感じていました。育休明けですぐマネジャー職に戻るのは厳しいと思っていたら、会社が店舗に戻っていいと言ってくれました。シフトなどを調整しやすい店舗勤務ならフルタイムでも戻れると思い、育休を半年ほど取った後、店舗で半年ほど勤務しました。

―医薬業界は情報の更新が早いですが、育休中に知識のブラッシュアップなどはされていましたか?

藤井:医薬系の雑誌を定期購読したり、インターネットで情報を集めたりしていました。今、当社では中途採用の方で業務にブランクのある薬剤師に、現場ですぐに役立つ力を付けてもらう研修などを行っています。また、育休中の社員が受講できる、インターネット研修もあります。スマートフォンから受講することもできます。私にも育休を取得した経験があるからこそ、社員にこういったものを利用して知識を高めてほしいと考え、会社を挙げてサポートしています。

―復職後もキャリアアップをされていく過程で、ワークライフバランスに対する考えに変化はありましたか?

藤井:それまで120%仕事をしていると自負していたので(笑)、復職後は50%ぐらいのパフォーマンスしか出せていない気がしていました。育児に対しても育休中よりは関われる時間が減り、やはり50%ぐらいしか力を出せていない感覚。でもあるとき、仕事と育児50%ずつの力が、今の自分の100%だと思うようにしました。「今の自分の100%をやっているなら、自分で認めてあげてもいいかな」と。すると、以前は自分だけでこなそうとしていた業務を人にどう任せていくか、という意識に変わり、チームの仕事は助け合いながらやるべきだと思えるようになりました。

子育ても、夫とどう分担していくか考えられるようになりました。けんかしながらですけど(笑)。フルタイムで働くと、どうしても家庭にしわ寄せがいくと思うんです。いろいろなことが起こる中、家族で話し合ってやっています。

やり切る努力が仕事の幅を広げてくれる

―数々のキャリアを積まれた中で、特に転機になったことはなんですか?

藤井:1つは、マネジャー職をやらせてもらったことです。薬局の外に出て店舗を管轄する立場になり、自分がやってきた工夫、あるいは他店が行っている工夫を、自分が担当している店舗に伝えられ、仕事の幅が広がりました。

もう1つは、内部監査室の業務です。薬局の店舗に限らず企業全体を網羅的に監査する仕事で、あらゆる企業活動の部門を見ることができ、企業人として幅が広がりました。これは、今の自分の基礎になっています。

―これからの目標を教えてください。

藤井:地域の薬局として何ができるか、原点に戻って考えなくてはいけないと思います。昔の町の薬局のように、患者さんから地域のお話を伺いながら、病気の予防や介護、食事療法や運動療法に関する情報提供など、薬に限らず健康をサポートできる存在になるのが、私たちが目指すべき姿ではないかと思っています。在宅患者さんのケアにも、より重点的に取り組みたいですね。

それから、遠隔服薬指導について議論されていますが、服薬指導だけでなく、多職種と連携しながら、遠隔技術を使って患者さんの健康に対してできることを考えていきたいです。

―お話から、いろいろな方に声をかけられキャリアを重ねていった印象を受けます。どうしたらチャンスをつかんでいけるでしょうか?

藤井さん:自分ではよく分からないですけど(笑)、「まずはやってみる」ことです。何か頼まれたとき、最初に「無理」と言ってしまうと、なかなか次のチャンスは回ってきません。また、引き受けた以上は一生懸命やろうと思っていました。

マネジャーになるときは、さすがにまだ若く、経験もなかったのでお断りしたのですが、尊敬する上司から「薬剤師はその能力・知識を最大限に活用して、さまざまな仕事に携わり、地域のために還元しなければならない。不安があっても、まずやってみなさい。それでどうしても無理なら、店長に戻っていいから」と背中を押してもらいました。

やり切れないこともあるかもしれませんが、せっかくチャンスがあるのなら、まずはやり切る努力をしてみる。それが次のキャリアにつながっていくと思います。

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