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リウマチ患者が薬剤師にお願いする5つの配慮

2018年07月24日 12:00

リウマチ患者が薬剤師にお願いする5つの配慮

 夫の赴任先のイギリスで、肩の痛みから関節リウマチを疑われたA氏(薬剤師)。"不治の病"、"関節変形"など負のイメージが頭に広がり、闇に突き落とされた気持ちになったという。帰国後に治療を受け、現在は寛解を維持している。今はMTXや生物学的製剤の使用で、関節変形に進むことは稀で、痛みは十分にコントロールできると実感している。

 ここでは、A氏が患者として見えてきたことや、薬剤師として患者にどのような対応や配慮ができるかといったポイントを紹介する。

ある日突然、四十肩? ──X年 11月

 ある日の朝、起き上がると、右肩を少し動かしただけで強い痛みが走った。洋服の袖に手を通せない、包丁も握れない。痛みを堪えて身支度し、当時住んでいたロンドンの日本人診療所へ駆け込んだ。医師から「四十肩かな。念のためリウマチの検査もしてみましょう」と言われ、血液検査とX線撮影を受けた。思いがけない"リウマチ"という言葉に耳を疑った。

流れる痛み ──X年 12月

 1週間後に送られてきた検査結果には「RF(リウマチ因子)17 IU/mL(カットオフ値 15 IU/mL)。ESR、CRP軽度上昇。リウマチの疑いがあるので精密検査を受けてください」と書かれていた。「朝の手のこわばりもないし、まだ38歳なのになぜ...」。現実を受け入れられず、痛みが治まることを期待して様子を見ることにした。

 リウマチを否定したい気持ちとは裏腹に、いくつかの関節に痛みが出始めた。リウマチの語源が「流れる(rheuma)」だと知り、妙に納得した。痛む関節が日によって、膝から右手首に、そして足のくるぶしにと変わっていく。痛む関節は少し赤みを帯びてプクっと腫れる。押すと痛い。さらに痛みから疲れが出て体がだるい。ロンドンの冬空と同じくどんよりとして憂鬱な毎日を送ることに...。

 それから3カ月後、日本へ帰国となった。ロンドンでは精密検査を受けなかったため、今度は覚悟を決めて整形外科へ足を運んだ。

寛解を目指して ──X+1年 3月

 日本で改めて血液検査とX線撮影を受け、リウマチの確定診断のための抗CCP抗体も測定した。結果は、RF 70 IU/mL、CRP 3.42mg/dL(≦0.3)、抗CCP抗体陽性で、リウマチとの診断。

 医師から「初期の段階で治療を始めると治癒も見込めます。絶対に痛みを取るので心配しないでください。今は良い薬があるので、以前のように関節変形に進むことは稀です」と力強く言われ、ようやく気持ちが軽くなった。

 病気は一人で抱え込むと辛いもの。医師に励まされ、気持ちを共有してくれる誰かがいると、治療に前向きになれることを実感した

痛みが消えた!──X+1年 7月

 医師からの詳しい説明と病院独自の説明書で、不安だった副作用も早期に気付いて対処をすれば大事に至らないことがわかり、安心して服薬を始めることができた。幸い副作用は現れず、3週間ほどで痛みは消えていった。6週間後に受診したときの血液検査では、RF 44 IU/mLと高値を示すもCRPは0.06mg/dLと下がっていた。

 その後、MTXを少しずつ減量し、1年半で服薬を中止。今は薬を飲まなくても痛みがない寛解状態を保っている。ただ、季節の変わり目や疲れ・ストレスが溜まったときなどに関節が疼くことがあり、その時は休養をとるようにしている。リウマチとは一生の付き合いになるが、心身のバロメーターとして、自らの生活を振り返る機会と捉えることにしている。

薬剤師にはこんな対応・配慮をしてほしい!

  • 薬が効いていない段階では痛みが激しい。くるぶしや膝が痛いとカウンターまで歩くのもやっと。歩き方が辛そうだったら、座っている所まで来て欲しい。
  • MTXは長期間服用するので副作用のチェックは欠かせない。特に風邪だと思っても肺炎の起こり始めのことがあるので、注意喚起は必須です。
  • MTXの6週間の処方となると支払いは高額になる。周りから注目された苦い経験があるので、聞こえる最低限の声で伝えてほしい。
  • 処方薬の鎮痛薬が切れてしまったときに痛みが出た場合、OTC薬でも抗炎症作用のあるイブプロフェンやロキソプロフェンナトリウムなどで痛みを抑えられる。受診するまでのお守りとして持っておけば安心と伝えるとよいだろう。
  • 「お気の毒ですね」と薬局で言われ、このまま痛みが取れないのでは...と不安な気持ちになり、落ち込んだことがある。寛解に向けて希望を持って治療を続けている患者の気持ちを理解して接して欲しい。
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〔PharmaTribune 2015年10月号掲載〕

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