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大井川マラソンに薬局ブースを出店

地元イベントはスポーツファーマシストの活路!

2018年08月02日 08:00

 

 みなさま、こんにちは。みどりや薬局の清水です。 098599.png

 今回は、地元、静岡県島田市の町を上げてのスポーツイベント「しまだ大井川マラソンinリバティ」(以下大井川マラソン)で2015年から出店している、アンチ・ドーピング啓発ブースについて紹介します。スポーツイベントでのブース設営は、スポーツファーマシストとしての活動の機会をなかなか得られない方でも始めやすい活動の一つですので、この記事をヒントに、各地域で実践していただければと思います。

2016大井川マラソン.JPG

 

098599.pngきっかけは、勢いで応じた地域からの依頼

 前回は、スポーツファーマシストとして実業団アスリートなどから相談を受け始めたことについて書きました(関連記事:「もう飲んじゃったけど、大丈夫ですか?」)。大井川マラソンへの出店を決めたのはちょうどその頃。2015年の春です。

 災害医療体制について島田市職員や関係団体の方々と会合した際に「マラソン大会中、救護所以外にも医療従事者がいれば心強いのに...。清水さん、ブース出せませんか?」と聞かれ、「もちろんできます!」と勢いで応じたのがきっかけでした。

お茶アイコン.png アンチ・ドーピング啓発と調査をやってみよう!

 さっそく、大井川マラソンの地元事業所向け出店枠へ申し込みました。ブースではアンチ・ドーピング活動の啓発と、ドーピングやスポーツファーマシストの認知に関する実態調査を行うほか、少しでも出場ランナーの助けになればと、プロテインやアミノ酸などのサプリメントや飲料を販売することにしました。

 当時、アンチ・ドーピング活動はようやく認知され始めたばかりです。実態調査のアンケート内容は、医薬品やサプリメントの使用状況とスポーツファーマシストの認知度、ドーピングへの関心や知識、東京五輪ボランティアへの関心など。目標の回答数を決めたいものの、どの程度の人がブースを訪れるか予想がつきません。とりあえず、50名から回答を得ることを目標にしました。

 また、ブース内では、ドーピングや完走後のケアなど、ランナーの役に立つ情報を掲示し、個別の相談スペースなども作ることに。使用する資料や看板は、家族やパートの事務さんなどに手伝ってもらって完成させました。

お茶アイコン.png2015年、はじめてのブース出店

 いよいよ、2015年10月25日。大井川マラソンの開催日です。アンチ・ドーピング啓発ブースを設置するのは、会場ゴール付近にあるアスリートケアエリア。市街地の交通規制が始まる前の早朝に、慌ただしく物品の搬入を行いました。

2015年ほとんど手作りブース.JPGほとんどが手作り品のブース。垂れ幕でスポーツファーマシストをアピール

 ブース開設後、しばらくは人もまばらでしたが、正午を過ぎてランナーが続々とゴールし始めると、私たちのいるエリアにもランナーや来場者が増えてきました。

 アンチ・ドーピング啓発ブースへの呼び込みがぎこちないためか、最初はなかなか立ち寄ってくれる方がいませんでしたが、その内にコツをつかみ、終わってみれば目標を大きく上回る97名もの方がアンケートに協力してくれました。

※アンケートの回答者は97名(アスリート及び大会関係者)。医薬品の使用有りが18名、サプリメントの使用ありが54名でした。ドーピング、うっかりドーピングに関しては「大体知っている」と回答した人が46名、「詳しく知っている」と回答した人が15名で、スポーツファーマシストに関しては「知らない」が82名でした。うっかりドーピングに関する責任の所在に関する質問では、「アスリート自身にある」と回答した人は24名、「トレーナー」との回答が56名、「チームドクター」との回答が4名。東京五輪ボランティア参加に関しては、「参加したい」が22名、「どちらかと言えば参加したい」が15名、「参加したくない」が15名、「わからない」が45名でした。

2015年ぎこちなくもドーピング&ケア相談.jpgぎこちなくも、ドーピングや完走後のケアの相談に対応する

アスリートへの緊急対応に医療従事者としての自覚を再認識098599.png

 10月とは思えないくらい、気温が高い日でした。スポーツドリンクなどの需要が多く、用意したものが全てなくなるほど...。

 そのような中、ランナーがブースを訪れて言いました。

「薬剤師さんですか?あっちで気分悪くて動けなさそうな方がいるのですが」

 行ってみると、完走後のランナーらしき方が芝生の上で横になっています。声をかけると吐き気、だるさがあるとのこと。うつろな目をして大量の発汗をしています。熱中症のような症状が出ていると判断し、日陰に誘導して付近にいた大会ボランティアに救護所への搬送を依頼しました。その方は後ほど、「調子が良くなった」と、ブースに立ち寄ってくれました。災害医療在宅活動の経験、それから趣味の登山のために学んだ臨床推論緊急対応が役に立ったと感じた瞬間です。その後、同様の相談が3件ありました。

 薬剤師は医療従事者なのだ。急な対応をお願いされることも十分にあり得る...と再認識しました。これをきっかけに緊急対応について学び直すことにしました。

098599.png2回目、前年度の経験を生かした準備で啓発活動は上々

 この経験からブース出店の意義を感じたので、翌年も迷うことなく出店を決めました。前回の反省点を活かし、ブース内の動線を意識した配置を心がけました。さらに集客の秘密兵器に当時2歳の姪を投入したことで、ブースへの訪問者が前年よりも増えました。

2016年姪を投入集客力が凄い.JPG姪を投入したら集客力がすごい!

 こうした工夫のおかげか、啓発活動とアンケート調査は前回よりもスムーズに行えました。さらには、ブース運営の効率化によって余裕が生まれ、訪れた方とアンチ・ドーピングや薬剤師の仕事についてじっくりお話することができました。

 2016年も出店することになったとき、大会関係者から「救護所に来る軽症者やこむら返りの方に対して、薬局ブースで湿布や芍薬甘草湯を提供していただけるとありがたい」との依頼がありましたが、薬機法等に抵触する懸念があるため、辞退しました。それでも「できることはしたい!」と、前年度に悩まされた暑さを思い出し、スポーツドリンクや経口補水液などを多めに用意しました。

 ところが、2016年の大井川マラソンはまさかの寒さ!熱中症の心配どころか、温かい飲み物を求められ、結局は、多くのドリンク類の在庫が薬局に積み上げられることとなりました。

2016年大井川マラソン寒さが厳しくブース内に休憩用テント.JPGあまりに寒さが厳しいため、ブース内に休憩用テントを設置

お茶アイコン.png3回目、まさかの台風で掲示物の大半を喪失
・・・したものの、来訪者と温かい島田茶を飲んだ良い思い出

 3回目、2017年のしまだ大井川マラソンは、まさかの台風の中の開催。この時ばかりはさすがに、アンチ・ドーピング啓発や調査どころではない状況でした。私たちのブースも、風雨をしのぐための避難所のような状態だったことを覚えています。

 ブースで用意したおもてなし用の温かい島田茶が、訪問者にとても喜ばれたのが2017年の良い思い出です。

 ただ、これまでに大井川マラソン用に作成した看板や掲示物の大部分を風雨で失ってしまいました。

2017年台風で出展者もまばら.JPG台風で出店者もまばら

お茶アイコン.png ブース出店してよかったこと、ベスト3!

◆よかったこと1

大井川マラソンは、島田市を挙げてのイベントです。多くの市民がランナーや大会ボランティアとして参加しているため、ブース出店によって地域との関わりをより強固にできました

◆よかったこと2

もともと活動の機会が多いとはいえない地方在住のスポーツファーマシスト。その活路を見出せました。地元のスポーツイベントでの活動は、アンチ・ドーピング啓発と地域貢献を同時にこなすことができます。

◆よかったこと3

これらの活動が研究発表につながったことも、また大きな収穫です。2015年と16年の大井川マラソンにおけるアンチ・ドーピング意識調査は、どちらも日本薬剤師会学術大会にてポスター発表をしました。

お茶アイコン.png

地域への貢献度に満足できたが、
アンチ・ドーピング啓発活動には課題が残る

 大井川マラソンでのアンチ・ドーピング啓発活動として、(1)ドーピング及び健康相談と(2)ドーピング教育資料の配布及び掲示、(3)アンケートを実施しました。しかし、ブースの相談窓口には体調不良の方が数名来られるくらい。ドーピング教育コーナーに興味を持つ方はあまりいませんでした。アンケートなどをきっかけに話せば、ドーピングに興味を抱く方もいるのですが、そこに割ける時間も十分にはありません。啓発活動としては課題が残りました。

 そこで、今年の大井川マラソンでは、私たちがつくったうっかりドーピング防止カードゲーム「ドーピング・ガーディアン」を利用して、体験型のアンチ・ドーピング啓発ブースを設営する予定です。ドーピング・ガーディアンの教育啓発効果と、スポーツファーマシストの可能性を試したいと思っています。

※編集部注:清水さんが作ったというカードゲーム「ドーピング・ガーディアン」の実用性やゲームとしての娯楽性はいかに!?...ということで、編集部で遊んでみました。コチラの記事でお読みいただけます。
(関連記事)薬剤師が考えたカードゲームで遊んでみたら、思いのほか面白かった。

【コラムコンセプト】

みどりや薬局はごくごく普通の家族経営の薬局。周りの薬局とちょっと違うのが、健康サポートに力を入れていること。特に最近はスポーツファーマシストとしての活動からの健康サポートに励んでいます。数多くの失敗を経験しながら、スポーツファーマシストとしての地域への貢献を試行錯誤する奔走気!

【清水雅之氏プロフィール】みどりや薬局様2枚目.jpg

1984年生まれ。お茶と大井川とSLのまち島田市で家族経営の薬局みどりや薬局を営む。生まれ育った島田市を健康サポート薬局として支えるため、日々奮闘中。少年時代に出場したレスリングの全国大会に多くのオリンピアンがいることを知り、アスリート支援に興味をもちJADA公認スポーツファーマシストを取得。スポーツファーマシストとして活動する中、発明&実験好きの血が暴走してしまいうっかりドーピング防止カードゲーム「ドーピングガーディアン」を開発。スポーツファーマシストや薬剤師の新たな可能性を探索しています。

みどりや薬局
 https://www.facebook.com/midoriya.m2020/

ドーピングガーディアン
 https://www.doping-guardian.com/

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