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薬剤師が押さえておきたい健康トピックス(2018年7月後半)

2018年08月02日 10:00

7月16日~30日に各メディアで配信された健康情報のうち、「コレは押さえておきたい!」と考えたものを、独断と偏見でリストアップします。患者さんからの突然の質問に困らないよう、情報収集の一手として役立てていただけると幸いです。

妊婦へのバイアグラ臨床試験を中止、新生児の死亡受け オランダ

https://www.cnn.co.jp/world/35123010.html

【CNNニュース 7月25日】

この臨床試験は、重度の胎児発育不全のため「そのままでは死産の可能性が高い」と診断された妊婦において、「シルデナフィル」が持つ血管拡張作用によって胎児の生存の可能性を高められないか、という仮説の検証のために行われたものです。「バイアグラ」という商品名のまま報道されているため色々な誤解が生じていますが、どういった人を対象に、何の目的で行われていた臨床試験だったかは、薬剤師としてきちんと把握しておくべきです。

運河にEM菌 「浄化裏付けない」研究者から指摘、批判

https://mainichi.jp/articles/20180731/ddm/041/010/072000c

【毎日新聞 7月30日】

環境副大臣が、EM菌(有用微生物群)の団子を愛知県の半田運河に投入したとSNSへ投稿したことに対し、専門家から多くの批判が集まりました。EM菌は水質改善などを目的に学校のプールに投入されている例もありますが、その有益性は示されておらず、むしろ排水によって環境・生態系に悪影響を及ぼすことが懸念されています。

学校薬剤師としてプールの水質検査に携わる際、不適切な状況があった場合には指導・助言を行う必要があります※1

※1 実際に、鹿児島県ではプールの藻の清掃時にEM菌を使用してよいかという問い合わせがあり、これに対して日本薬剤師会では、「EM菌を含んだプール水を排水する場合、河川の菌汚染の評価が不透明であるため使用しないとしている」と回答している。


(参考)
◆京都府薬剤師会 府がくやく便り「平成25年度学校薬剤師研修会報告」
http://kyotofu-gakuyaku.sakura.ne.jp/tayori/2013/2013-11-no6-h25-kensyu-houkoku.pdf

「今年の熱波は未体験ゾーン」 救急医学会が緊急提言

https://www.asahi.com/articles/ASL7N6422L7NULBJ012.html

【朝日新聞 7月20日】

連日の猛暑を受けて、日本救急医学会が熱中症予防に関する緊急提言を発表しています。その中で、小児や高齢者は体温調節機能が弱く、より注意が必要であることや、暑さ指数(WBGT※2)が31℃以上の時は原則として運動を控えることなどが言及されています。「水分補給」をしていれば熱中症にならない、と考えている人も少なくありません。「涼しい場所に移動する」ことが、根本的な予防方法であることも周知していく必要があります。

※2 WBGT:熱中症予防を目的に作られた指標で、湿度、輻射熱、気温の3つの外的要因を取り入れている。


(参考)

◆熱中症予防に関する緊急提言
http://www.jaam.jp/html/info/2018/pdf/info-20180720.pdf

アンサングシンデレラ~病院薬剤師 葵みどり

http://www.comic-zenon.jp/magazine/unsung.html

【コミックゼノン】

新人の病院薬剤師を主人公にした医療マンガが連載されています。無料で公開されている第1話では、喫煙とテオフィリンの相互作用(CYP1A2)をテーマに、薬剤師が陰ながら活躍する様子が描かれています。自らの仕事を漫画やドラマで見る機会の少ない薬剤師にとって、この漫画の読書体験はとても新鮮です。この漫画を通して、薬剤師という職業の実態や格好良さ、葛藤を世間に知ってもらえたらよいと思います。

  

【コラムコンセプト】
TV・新聞・週刊誌・インターネット......毎日さまざまなメディアから大量の健康情報が配信されます。それを見た患者さんが「こんな情報を見たけれど、私の治療って大丈夫?」と聞いてきたらどうしますか?医療や薬に関する情報は、命に関わるもの。正確さ、専門性が求められます。薬剤師は薬の専門家として、患者さんの持ち込んだ情報が適切かどうかを判断し、対応しなければなりません。このコラムでは毎月、世間を賑わした健康情報をリストアップし、必要に応じて解説します。患者さんからの突然の質問に困らないよう、情報収集の一手として役立てて頂ければ幸いです。

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【児島 悠史氏 プロフィール】
京都薬科大学大学院修了後、薬局薬剤師として活動。「誤解や偏見によって生まれる悲劇を、正しい情報提供と教育によって防ぎたい」という理念のもと、日々の服薬指導のほか、Webサイト「お薬Q&A~Fizz Drug Information」を運営。医学論文などを情報源とした信頼性のある医療情報や、国民の情報リテラシー向上を目的とする記事を配信。近著は、「薬局ですぐに役立つ薬の比較と使い分け100」。

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