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飲まないと不安、無いと不安...

つぼみ薬局居宅介護支援事業所 
角山 美穂

在宅患者さんのお役に立ちたくて、在宅専門薬局を立ち上げたのが2009年11月。1人薬剤師 兼 ケアマネとして、24時間体制で頑張っています!

【PharmaTribune2012年5月号掲載】

薬の不足が不安な認知症患者さん

 薬剤師としては、患者さんの服薬管理をキチンとしたいもの。しかし、依頼のある在宅の患者さんには認知症のケースも多く、とりわけ独居の方の服薬管理は大変です。

 2012年2月から関わっている、認知症で独居の患者さん。ケアマネからの依頼で週1回訪問し、薬のカレンダー管理と服薬指導を行っています。この方は郊外の団地にお住まいで、ご近所との馴染みの関係は希薄なように感じます。

 ケアプランには、日曜日も含めて毎日何らかの介護サービスが入っており,私の訪問は毎週月曜日の15時と計画されています。ご本人は、薬が手元にないと不安という気持ちが大きい様子。2度目の訪問日には、朝から何度かお電話をいただきました。「今朝の薬がない」「いつ来るのか?」と...。これでは先が思いやられるな〜(/_;)と不安な気持ちになりましたが、お電話はこの日のみで、以来、コンプライアンスは良好です。

 私が入るまでは、訪問看護士さんが薬の管理をしていました。処方された薬を1週間分ずつ、ヒート包装のまま薬カレンダーへセットしていたとのこと。それを、毎日関わる介護スタッフが確認していました。しかし、認知症の患者さんは、「薬がなくなった」「誰かが私の薬を勝手に持ち帰り売ってしまった」などと言っては、朝に夕に主治医やケアマネと、相手かまわず電話をかけていたらしく、スタッフの皆さんはお手上げ状態。そのような事情での、薬剤師への依頼だったそうです。

 この主治医とはこのケースで初めて関わりましたが、ケアマネの計らいのおかげで「訪問依頼書」「処方箋のFAX」「事前の医師との面談」など、全てスムーズにいきました。
 処方内容は、下のとおり。

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 医師やケアマネからの訪問前の情報提供と、サービス開始前のインテーク(初回面接)で分かったのは、ご本人の薬への執着心が強いということ。調子が悪いと(主訴はめまいです)、「薬を飲まなくては!」という気持ちになり、余分に服用する。すると次に服用する薬がなくなって、あちこちに電話してしまう...という行動パターンがあるようです。

 これらを考慮し、アリセプト®5mgをリバスタッチ®パッチ4.5mgへ変更して様子を見ることを提案しましたこれまでに幻覚や興奮なども起きていたそうですが、これらはアリセプト®の過量摂取によるものではないかと疑ったわけです。貼り薬に変更して、毎日関わる介護サービス事業者(訪問看護師・ヘルパー・デイサービス)に貼り替えてもらうことで過量摂取を予防できるのではと、期待しました。

 関わり当初から、「服用している薬はめまいの薬なので、定期的に医師の処方通りに服用することが大切です。たくさん服用するとよく効くのではなく、副作用で症状が悪化してしまうかもしれません」と話しています。また、置き薬をあれこれ頓用していることも気がかりです。「風邪薬の中に入っている成分でめまいが悪化することもあります。調子が悪くなったら医師か訪問看護師さんか私にご連絡いただき、自己判断であれこれ服用しないように」と、訪問の度にお伝えしています。

 繰り返しお伝えしているこうした注意点をどのくらい認知してくださっているか、現時点では不明ですが、落ち着いてすごしている様子です。ケアマネは、「あちこちに、毎日のようにかけていた電話がなくなった!」と喜び、ご本人も「置き薬はやめた」と言っていました。(4月現在,リバスタッチ®パッチ9mgを使用中)。 

認知症×パーキンソンの老老介護では互いの確認を補助する

 老老介護で旦那様が認知症、奥様はパーキンソン病というご家庭があります。地域包括支援センターからの依頼で、お二人の薬の管理をしています。お2人の薬それぞれに記名して薬カレンダーにセットし、「お互いに確認し合ってください」と伝えています。担当ヘルパーにも協力してもらい、何とかキチンと服薬できているようです。まだ関わり始めたばかりですが、他県に在住の娘さんが「母の体調が良いみたい」と喜んでいるとのこと。ケアマネから聞いて、俄然やる気に!訪問が2週間ごとであるためか、旦那様には毎回「初めまして」と言われてしまうのですが(泣)。

認知症が主介護者は服薬管理が大変!

 一方、主介護者が認知症というケースも服薬管理がなかなか大変です。介護者は「私がキチンとしますよ」と言うものの、その「キチンと」を忘れてしまう...。その方のプライドを傷つけないように、忘れてしまっても見れば解決できるように...。基本は薬をセットするだけの薬カレンダーなのに、このお宅ではまるで掲示板のようです。あれこれメモ書きを貼付し、胸痛時のニトログリセリンは洗濯バサミでクリップ(^^ゞ 。ODP(一包化包装)へは日付を入れ、卓上カレンダーを横に置いて「日にちと曜日をしっかり確認して取りましょう」と注意書きを添えるなど...。

 体調不良により臨時処方があった時には、サービスに入っている訪問看護師から「先生から伺っていた散剤がないんですけど〜?」などとお電話をいただくこともしばしばです。認知症の患者様の服薬管理には、多職種協働がはずせません。いろいろな方が関わっているので,薬が変更になった際には皆さんにそれを知っていただき,協力していただく。薬剤師だけではコンプライアンスを向上させるのは難しい、だから皆さんに確認して協力していただこう!という思いで試行錯誤しています。

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