新規登録

ポリファーマシー状態の高齢患者さんが入院!

ハロー薬局薬局長 町田和敏

2018年08月30日 10:00

皆さんいかがお過ごしでしょうか。釜石の薬剤師、町田でございます。

前回、プライマリ・ケアとは何か?というのを、一般的な定義や、私の考えについてお伝えしました。今回からは、私が経験した事例の紹介を数回に分け、事例の紹介や、私がどのように考え、行動したのかを書いていきたいと思います。

私の行動が正解だ、などと言うつもりはありませんが、「へぇ、こんな考えもあるんだ」とか、「変なことを考える人だなぁ」とか、いろいろと感じてもらえればと思います。事例を通して読者の皆さんと一緒に考える場所になれば、と考えております。

machidashi_3.JPGJR東日本が2014年から釜石線で運行しているSL銀河。
釜石線沿線を舞台に描かれた宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」を代表的なテーマとして、
列車全体をプロデュースしている。
東北の「文化・自然・風景」を感じることができる車内空間となっているという。

呼吸器系のお薬が入院後中止に

(以下の事例については、変更を加えております)

妻と娘の3人暮らしの80歳代男性のAさん。

薬局の近くに住んでいることもあり、奥様と共に、当薬局をかかりつけとしてくれています。自分の足で歩きながら、当薬局に通っていました。

Aさんは潰瘍性大腸炎とCOPD、緑内障の既往を持ち、当地域の基幹病院を受診しており、当然のごとく薬の種類も多い状態でした。

基幹病院の消化器科の処方は次の通りでした。

プレドニゾロン錠、メサラジン錠、ミヤBM細粒、ラベプラゾールNa錠、シタグリプチン錠、プロカテロール錠、エリスロマイシン錠、アンブロキソール塩酸塩錠、カルボシステイン錠、ツムラ五苓散エキス顆粒、スピリーバ吸入用カプセル

典型的なポリファーマシー状態といったところでしょうか。処方医が基幹病院の医師であること、潰瘍性大腸炎とCOPDの既往という背景が、ポリファーマシー状態の解決を難しいものにしていました。

もちろん、外来での毎回のお話の中では、体調チェックフローチャートを用いたチェックも実施しており、服用薬剤の生活への影響の度合いはそれほど大きくはない、といったところでした。

そんなAさんですが、あるとき苦しさを訴えて救急車を呼ぶこととなり、基幹病院に入院となったと奥様から聞きました。

その際は1週間ほどの入院期間であると聞いていましたが、退院時の処方箋を持ってきたのは入院からおよそ1カ月後。本人ではなく、奥様が処方箋を持って来局しました。

処方箋を見ると、エリスロマイシン錠、プロカテロール錠、アンブロキソール塩酸塩錠、カルボシステイン錠、スピリーバ吸入用カプセル、といった呼吸器系の薬が中止となっていました。

奥様にお話を聞くと、「少し歩くだけで苦しいと言って、外に出なくなってしまった」とのことでした。

--------------------

さて、皆さんはこの症例でどのように行動しますか?

もちろん正解などありませんし、これから私が数回に分けて、Aさんとのやり取りを伝えていきたいと思いますが、私の行動が良かったかどうかは未だにわかりません。ぜひ、読者の皆さんにも考えていただければ幸いです。

【連載コンセプト】
私たち薬剤師は、その存在意義について、多くの国民から懐疑的な目で見られています。薬剤師の存在価値とは何なのか、そんなことを考えながら、日々実践している活動の数々を紹介していきます。

また、実際に私自身が経験した事例を紹介し、そのときに考えたことも述べていきます。そして、なるべく読者の皆さんと一緒に考える場所にしたいとの思いから、『皆さんならこの場面でどう考えますか?』と投げかけた上で、次の回に私の行動を紹介するという構成で展開するつもりです。

と、ここまでコンセプトを書きながら、とても陳腐な文章になってしまいそうな予感がしますが、「へぇ、こんなことを考えている薬剤師がいるんだ」くらいの軽い気持ちで読んでいただければ幸いです。そして、読者の皆さんに何か少しでも感じていただければと思っています。

【プロフィール】

machidashi.jpg

大学入試4浪、国家試験1浪、と落ちこぼれ街道まっしぐら。昭和薬科大学へ入学し、サッカー部で自称監督として、七面鳥フォークソング部ではVocal&Bassとして、大学生活を謳歌する。卒業後、縁もゆかりもない釜石へ。浪人時代に思い描いた、ドイツに留学し、サッカーの指導者になる夢を叶えるため、保険薬局で働いて留学資金を貯めようと試み、有限会社中田薬局へ就職する。

東日本大震災を経験し、釜石でのさまざまな人々との出会いを経て、「この地域のために薬剤師として、人として、何ができるのか」と考え始めて今に至る。中田薬局・地域包括ケア担当者。ハロー薬局薬局長。ケアカフェかまいし支配人。有志の勉強会・釜石コンテント代表。

コメント

コメントの投稿はDISQUSもしくは各種SNSアカウントでログインするで必要があります。DISQUSの登録方法について

似たようなコンテンツ
薬剤師が患者さんのエンドオブライフを支えるために

薬剤師が患者さんのエンドオブライフを支えるために

地域医療実践日記
2018年10月23日

薬剤師だって、非薬物療法を考慮する

薬剤師だって、非薬物療法を考慮する

地域医療実践日記
2018年10月23日

服薬情報提供書の返事が来ない なぜ!?

服薬情報提供書の返事が来ない なぜ!?

地域医療実践日記
2018年09月27日

まずはプライマリ・ケアの理念を確認

まずはプライマリ・ケアの理念を確認

地域医療実践日記
2018年07月26日

縁もゆかりもない地域の薬局で働く理由

縁もゆかりもない地域の薬局で働く理由

地域医療実践日記
2018年06月28日

トップに戻る