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8月16日~31日に各メディアで配信された健康情報のうち、「コレは押さえておきたい!」と考えたものを、独断と偏見でリストアップします。患者さんからの突然の質問に困らないよう、情報収集の一手として役立てていただけると幸いです。

爽健美茶で流産?根も葉もない噂、コカ・コーラ社が否定「妊婦が飲んでも問題ない」

https://www.huffingtonpost.jp/2018/08/24/hatomugi-ninshin_a_23508421/

【HUFFPOST 8月24日】

「ハトムギ」を含む爽健美茶を飲むと流産するという、根拠のないツイートが拡散され、話題になりました。該当ツイートでは「ハトムギ(ヨクイニン)」を含む漢方薬の添付文書の記述を根拠に挙げていましたが、摂取量や期間、また他に配合されている別の生薬の存在などを無視した誤った推論であると、多くの専門家から指摘されていました。妊娠中は色々な不安を煽られやすい時期です。添付文書は誰でも読める資料ですが、誤った自己判断を強めてしまう場合もあることには注意しなければなりません。


(参考)

◆添付文書に「妊婦への投与は避けた方が望ましい」という注意喚起が記載されている生薬
 ダイオウ・ボタンピ・ブシ・トウニン・ゴシツ・ボウショウ

がんを正しく恐れること~がんは検診さえしておけばよいというのではない

https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20160613-OYTET50031/

【yomiDr. 2016年6月13日】

「ちびまる子ちゃん」で知られる漫画家さくらももこさんが、8月15日に乳がんのため亡くなっていたことが報道されました。著名人の訃報によって不安を感じる人は多く、今回も根拠のない予防法や、有益性の低い検診を無闇に勧めているような情報が飛び交っています。こうした情報に踊らされることは、患者にとっても健康な人にとっても害が大きいものです。患者向けに作られた「患者さんのための乳癌診療ガイドライン」などにも目を通し、正しく恐れることを伝えていく必要があります。


(参考)

◆日本乳癌学会「患者さんのための乳癌診療ガイドライン」
https://jbcs.gr.jp/guidline/p2016/guidline/

名大の臨床研究論文を撤回 ノバルティスファーマの降圧剤ディオバン使用、米科学誌

https://www.sankei.com/west/news/180824/wst1808240060-n1.html

【産経新聞 8月24日】

アメリカの心臓協会の学会誌「Hypertension」が、「Nagoya Heart Study」の撤回を発表しました。これで「バルサルタン」を用いた日本の5つの臨床試験の主論文は全て撤回されました。日本の研究の信頼性が失われたことや臨床試験の制約が増えたことなど、今後への影響が考えられます。この件では何が問題で、現場にどういった悪影響があったのか、薬剤師として改めて総括しておく必要があります。


(参考)

◆撤回された、「バルサルタン」を用いた臨床試験の主論文

  1. Jikei Heart Study:Lancet.369(9571):1431-9,(2007) PMID:17467513
  2. Kyoto Heart Study:Eur Heart J.30(20):2461-9,(2009) PMID:19723695
    ⇒血圧の値などで、データの不正操作があった
  3. SMART:Diabetes Care.30(6):1581-3,(2007) PMID:17363751
    ⇒不自然・恣意的と考えられるような、カルテのデータとの不一致が10.1%あった
  4. VART:Hypertens Res.34(1):62-9,(2011) PMID:20927112
    ⇒カルテデータと解析データに多くの相違があるなど、改ざんが疑われた
  5. Nagoya Heart Study:Hypertension.59(3):580-6,(2012) PMID:22232134
    ⇒心不全の定義が二重、入院していない患者を入院に含めるなど、妥当性を欠く点が多かった

 

【コラムコンセプト】
TV・新聞・週刊誌・インターネット......毎日さまざまなメディアから大量の健康情報が配信されます。それを見た患者さんが「こんな情報を見たけれど、私の治療って大丈夫?」と聞いてきたらどうしますか?医療や薬に関する情報は、命に関わるもの。正確さ、専門性が求められます。薬剤師は薬の専門家として、患者さんの持ち込んだ情報が適切かどうかを判断し、対応しなければなりません。このコラムでは毎月、世間を賑わした健康情報をリストアップし、必要に応じて解説します。患者さんからの突然の質問に困らないよう、情報収集の一手として役立てて頂ければ幸いです。

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【児島 悠史氏 プロフィール】
京都薬科大学大学院修了後、薬局薬剤師として活動。「誤解や偏見によって生まれる悲劇を、正しい情報提供と教育によって防ぎたい」という理念のもと、日々の服薬指導のほか、Webサイト「お薬Q&A~Fizz Drug Information」を運営。医学論文などを情報源とした信頼性のある医療情報や、国民の情報リテラシー向上を目的とする記事を配信。近著は、「薬局ですぐに役立つ薬の比較と使い分け100」。

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