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フェブキソスタットに腎イベント抑制効果

多施設共同ランダム化比較試験FREED

2018年09月07日 14:30

高尿酸血症治療薬フェブキソスタットの脳心腎血管関連イベント発現の抑制効果を検証するために、川崎医科大学総合内科学3教授の小島淳氏らが実施した多施設共同ランダム化比較試験(RCT)FREEDの結果が、欧州心臓病学会(ESC 2018、8月25~29日、ミュンヘン)のHot Line Sessionで報告された。同氏は、フェブキソスタットが脳心腎血管の複合イベントの発生を約25%有意に抑制し、中でも特に腎イベントの発生を強く抑制したと発表した。高尿酸血症治療薬を用いた1,000例規模のRCTにおいて、イベント抑制のエビデンスが示されたのは今回が初めて。

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脳心腎血管疾患リスクを有する高齢者が対象

 高尿酸血症は痛風の原因として広く知られているが、腎疾患や脳心血管疾患の発症や進行、死亡とも関連することが観察研究で確認されており、高尿酸血症治療薬を用いて尿酸値を下げることにより、これらの合併症を予防できないか期待されている。

 フェブキソスタットは2011年にわが国で承認。アロプリノールを対照薬としてフェブキソスタットの心血管安全性を検討した多施設二重盲検非劣性試験CARESの結果、主要評価項目である心血管複合イベントにおいてフェブキソスタットの安全性が証明されたものの、アロプリノール群と比較しフェブキソスタット群で全死亡率および心血管死亡率が高かったことが2018年3月に報告されている。(関連記事:「フェブキソスタットはアロプリノールに非劣性」)

 今回、小島氏らはフェブキソスタットの高尿酸血症患者における脳心腎血管関連イベント発現の抑制効果を明らかにするため、FREED試験を実施した。

 同試験の対象は、脳心腎血管疾患リスクを有する65歳以上の高尿酸血症患者(平均年齢76歳、血清尿酸値7.0mg/dL超9.0mg/dL以下)。具体的には①高血圧症の既往または合併②2型糖尿病の既往または合併③腎機能障害〔推算糸球体濾過量(eGFR)30mL/分/1.73㎡以上60mL/分/1.73㎡未満〕④脳心血管疾患(脳卒中、冠動脈疾患、血管疾患、心不全)の既往―のいずれかに該当する者とした。

 2013年11月~14年10月に対象患者1,070例を登録し、フェブキソスタット投与群(537例、1日1回10mgで投与開始、4週時に同20mgへ増量、8週時に同40mgへ増量を目標とし、血清尿酸値2.0mg/dL以上を維持)とフェブキソスタット非投与群(533例、血清尿酸値上昇に対して主治医によるアロプリノール100mg投与を検討)にランダムに割り付け、3年間追跡した。

 主要評価項目は脳心腎血管関連イベント(脳心腎血管疾患による死亡、新規発症および再発の脳血管疾患、新規発症および再発の非致死性冠動脈疾患、入院を要する心不全、治療を要する動脈硬化性疾患、腎機能障害、新規発生の心房細動、脳心腎血管疾患以外による死亡の複合エンドポイント)、副次評価項目は脳心腎血管関連イベントの各項目とした。

脳心腎血管関連イベント発生率は投与群で25%低い

 検討の結果、試験期間中の平均血清尿酸値はフェブキソスタット投与群で有意に低く、エンドポイントにおける平均血清尿酸値はフェブキソスタット投与群で4.50±1.52mg/dL、非投与群では6.76±1.45mg/dLであった(P<0.001)。

 主要評価項目である複合イベントの発生率は、フェブキソスタット投与群で23.3%、非投与群で28.7%と、フェブキソスタット投与群で25%有意に低かった(、ハザード比0.750、95%CI 0.592~0.950、P=0.017)。

図. 脳心腎血管関連イベントの発生率

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 副次評価項目のうち、両群で有意差が出たのは腎機能障害の発生で、フェブキソスタット投与群では87例(16.2%)、非投与群では109例(20.5%)と、フェブキソスタット投与群で25.5%有意に低かった(ハザード比0.745、95%CI 0.562~0.987、P=0.041)。その他の脳心血管イベントの評価項目では有意差が認められなかった()。

表. 副次評価項目の結果

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 (図、表とも小島淳氏提供)

 以上の結果を踏まえ、小島氏は「フェブキソスタットには腎疾患の発生と進行の抑制効果が期待される一方で、脳心血管疾患の抑制効果については有意差が認められなかったものの、今回の試験に関してはパワー不足が否めない」と結論。さらに「FREED試験では両群でハードエンドポイントに有意差がつかなかったことから、CARES試験でフェブキソスタットに不利な結果が出た一因として、アロプリノールによるベネフィシャルな側面が出たのではないか」と述べた。

 ディスカッサントである米・ハーバード大学のPaul M Ridker氏は「高尿酸血症治療薬を用いてイベント抑制を示した世界初の研究」と高く評価した。

小島淳氏と一問一答

―対象を高齢者に絞った理由は

 今回の対象には一次(初発)予防、二次(再発)予防の両者が含まれているが、高齢者で高血圧や糖尿病などリスクを持った症例において、予後改善が期待しやすいと思われたためだ。

―腎イベント発生率がフェブキソスタット群で25%低かったことについての見解は

 やはり尿酸ができる段階で生じる酸化ストレスを減少させたことが一番かと思う。今回の試験では酸化ストレスは測定していない。

―今後、尿酸降下療法の目的を積極的に腎障害治療に置いても良いか

 以前から高尿酸血症は腎機能障害と関係があることはいわれていたが、今回の試験の結果で尿酸値を低下させることで腎機能障害の進行を抑制できる可能性が出てきたと考えられる。この点についてはさらなるサブ解析を進めていく予定である。

(Medical Tribune Webより転載)

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