新規登録

単回投与でインフル罹病期間が短縮、AもBも

新規抗インフル薬バロキサビルの第Ⅱ/Ⅲ相臨床試験CAPSTONE-1

2018年09月18日 14:10

ベッドで熱を測る女性GettyImages-884062668.jpg

(c)Getty Images ※画像はイメージです

 新規抗インフルエンザウイルス薬バロキサビルマルボキシル(以下、バロキサビル)の単回経口投与でA型またはB型インフルエンザ感染症の罹患期間が短縮する。合併症のないA型またはB型インフルエンザ感染症患者を対象とした第Ⅱ相/第Ⅲ相多施設共同二重盲検ランダム化比較試験CAPSTONE-1の結果を、米・University of VirginiaのFrederick G. Hayden氏らがN Engl J Med2018; 379: 913-923)に報告した。同薬は日本では成人および12歳以上の小児のA型およびB型インフルエンザを適応症として2018年2月に製造販売承認を取得、3月から販売されている。

インフルエンザ症状を約1日早く改善

 バロキサビルは、キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害作用という新規作用機序によりインフルエンザウイルスの増殖を抑制する抗インフルエンザウイルス薬。

 2016年に20〜64歳の成人インフルエンザ患者389例を対象として、バロキサビル10mg、20mg、40mg単回投与群とプラセボ群で有効性・安全性を比較検討する第Ⅱ相臨床試験が日本で実施された。

 その結果、インフルエンザ症状が消失するまでの期間(罹病期間)の中央値が、プラセボ群に比べバロキサビル群では23.4〜28.2時間、有意に短縮した(P<0.05)。

単回投与でオセルタミビル標準療法と同程度の効果

 第Ⅲ相臨床試験は2016〜17年のインフルエンザシーズンに米国と日本で行われた。12〜64歳の米国人および日本人のA型またはB型インフルエンザ〔84.8~88.1%がA(H3N2)型〕外来患者を、バロキサビル〔40mg(体重80kg未満)または80mg(同80kg以上)〕単回投与群とプラセボ群またはオセルタミビル(75mg 1日2回、5日間)投与群にランダムに割り付け、比較検討した。

 有効性の主要評価項目はインフルエンザ症状が消失するまでの期間(インフルエンザ罹患期間)とした。ウイルス学的評価項目は、投薬時からのウイルス力価の変化量、ウイルス排出期間などとした。

 1,064例を対象に有効性〔intention-to-treat(ITT)〕解析を行った結果、インフルエンザ罹病期間の中央値は、プラセボ群に比べてバロキサビル群で有意に短かった(80.2 時間 vs. 53.7時間、P<0.001)。一方、オセルタミビル群とバロキサビル群で罹病期間に有意差はなかった。

ウイルス力価が投与1日目から低下

 ウイルス学的評価項目としては、ウイルス力価がプラセボ群、オセルタミビル群に比べてバロキサビル群で投与開始1日目から著明に有意に低下した。また、ウイルス排出期間の中央値もバロキサビル群で有意に短縮した(P<0.001)。

 有害事象は、バロキサビル群20.7%、プラセボ群24.6%、オセルタミビル群24.8%で発現した。バロキサビル投与に関連すると考えられた重篤な有害事象は見られなかった。

米国でも年内にはFDAの優先審査が終了

 以上の結果から、バロキサビルは12歳以上の小児および成人のインフルエンザ患者において投与後早期からウイルス力価の低下効果を示し、インフルエンザ症状の罹病期間を短縮することが認められた。安全性に関しては、良好な忍容性に加えプラセボおよびオセルタミビルよりも低い有害事象の発現頻度を示した。

 この結果を受け、Hayden氏は「合併症のないインフルエンザ患者に対するバロキサビルの単回経口投与は、安全かつ顕著な抗ウイルス効果を示した。優れた抗ウイルス効果により、インフルエンザ関連合併症の発生やウイルスの伝播が抑制され、重篤化したインフルエンザ症状が改善する可能性がある。また、既存薬に耐性のインフルエンザウイルスを抑制する可能性もある」と述べている。

 バロキサビルは米食品医薬品局(FDA)により優先審査の対象に指定されており、2018年12月24日までに審査が終了する予定である。同氏は「FDAの承認が得られれば、インフルエンザに対する重要な治療選択肢になるだろう」と期待を示している。

 同薬は、重症化および合併症を起こしやすいリスク要因を有するインフルエンザ患者を対象とした第Ⅲ相臨床試験CAPSTONE-2においても良好な結果が得られており、予防に関する研究も計画されている。

(Medical Tribune Webより転載)

似たようなコンテンツ
薬剤師が押さえておきたい健康トピックス(2018年10月後半)

薬剤師が押さえておきたい健康トピックス(2018年10月後半)

【児島悠史氏】薬剤師が注目する健康トピックス
2018年11月01日

なぜ高齢者にインフルワクチンが必要か

なぜ高齢者にインフルワクチンが必要か

薬・医療ニュース
2018年10月29日

薬剤師必読!最新論文解説/インフルエンザ治療に革命は起きるか?

薬剤師必読!最新論文解説/インフルエンザ治療に革命は起きるか?

【医師による最新論文解説】ドクターズアイ
2018年10月10日

インフルワクチン、13歳以上は「1回注射」

インフルワクチン、13歳以上は「1回注射」

薬・医療ニュース
2018年09月18日

インフルエンザ過去最高記録を更新

インフルエンザ過去最高記録を更新

薬・医療ニュース
2018年02月05日

米小児のインフル関連死101例

米小児のインフル関連死101例

薬・医療ニュース
2017年08月02日

感染症対策 Vol.1 ドライブスルー調剤と感染症窓口編

感染症対策 Vol.1 ドライブスルー調剤と感染症窓口編

【薬剤師に学ぶ】わたしたちの○○対策
2016年12月09日

トップに戻る