新規登録

日本大学のスケールメリットを生かしたアンチ・ドーピング研究

スポーツファーマシストの活躍を探る!Vol.2 中島 理恵氏(日本大学薬学部)

2018年10月12日 12:00

 日本大学薬学部の中島理恵氏は、自身のスポーツファーマシストの活動を通じて、「若手のアスリートは、ドーピングを恐れるあまりにセルフメディケーションに及び腰になっている」との仮説にたどり着いた。これを検証し、アスリートの抱える問題点やニーズを把握することを目的とした研究が、現在取り組んでいる「製薬会社と薬剤師によるアスリートへのセルフメディケーション支援強化に向けた研究」だ(関連記事)。中島氏は研究の結果、トップアスリートのすぐ下にいるような若手アスリートや学生選手におけるアンチ・ドーピング教育が重要であることが明らかになったとし、その教育活動においては、薬剤師とスポーツ栄養士などの連携が必須であると語った。

nakajima_rie_1.jpg 中島理恵氏(日本大学薬学部

日本大学のスケールメリットを生かしたアンチ・ドーピング研究

――中島先生は、「製薬会社と薬剤師によるアスリートへのセルフメディケーション支援強化に向けた研究」の他、「スポーツ日大によるアンチ・ドーピング教育研究拠点確立とポストオリンピックへの展開」という事業にも関わっていますね。

中島 この研究には、私の勤務先である日本大学のブランディング事業として取り組んでいます。本学はもともとスポーツが盛んです。大学グループとしては、幼稚園から大学までの縦のつながりがある一方で、大学は様々な学部を有しており横のつながりもある。そこで、大学グループを挙げて、アスリートに効果的な教育を提供するための教育研究拠点をつくろうという目的で、この事業を展開しています。

 その中で、私たちの研究室では、アンチ・ドーピング教育をテーマに取り組んでいます。他の研究室では、巧妙化するドーピングに対する検査方法確立をテーマにするなど、教育に限らず、アンチ・ドーピング問題に関するさまざまな課題に対して、大学一丸となって取り組んでいます。

――先生の研究室ではアンチ・ドーピング教育がテーマということですが、具体的にはどのような活動をしているのでしょうか。

中島 トップレベルの一歩手前にいる選手たちや、中学、高校の学生アスリート、さらにその下の小学生を対象に、正しい栄養とか運動の大切さとか、アンチ・ドーピングの一段階手前の知識を得られるような健康教育の仕組みをつくっていきたいと考えています。教材づくりも行っています。

――日大に所属するアスリートにも教育をしているのですか?

中島 トップアスリートには、所属団体による教育が行われていますので、まずは若手アスリートを対象に教育を実施しました。高校生だと、国体レベルの子も多いので、ここにアンチ・ドーピング教育のニーズがあります。昨年は、日本大学三島高校の柔道部で講義をしました。

nakajima_rie_2.jpg日本大学三島高校柔道部での講義の様子

――講義では何を教えるのですか。

中島 高校生の部活動の選手に対しては、ドーピングの話に特化して講義します。服薬してはいけない薬とか、けがをしたり病気になったときに、自分がアスリートであると誰に伝えるべきかという話をします。

 何より、ドーピングで責任を負うのは選手であるという自覚を持ってもらうことが重要です。先日ニュースになりましたが、駅伝の選手のドーピング違反が話題になりました。医療従事者に自身がアスリートだと伝えておらず、禁止薬をうっかり服薬してしまったということです。こうしたニュースなどを紹介しながら、医療従事者に必ず伝えることの大切さとか、治療で薬を服用する場合にどういう手続きが必要かということを、具体的に伝えています。

次の記事では、アンチ・ドーピングを教育するための、学校薬剤師としての取り組みを紹介します。
「学校薬剤師として、アンチ・ドーピングを教育する――地域のグループへの入り方は在宅活動と同じ!」(後日公開)

中島先生の他のインタビューもチェック
アスリートはセルフメディケーションが怖い
アンチ・ドーピングを教育することの意義――どうしても勝ちたければ、幼稚園児と戦えば?でもそれで楽しい?(後日公開)

1 2 3 4
トップに戻る