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仕事を楽しんでいる薬剤師が行っていることとは?

患者との会話や医師への対応に積極的に関わり、薬剤師業務の価値を自己認識する!

2018年10月17日 10:00

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カナダで働く薬剤師 青山慎平

葉っぱのアイコン (1).png楽しみながら働く薬剤師のロールモデル

 隣のデスクから、薬局長のジョージが楽しそうに話をしている声が聞こえてくる。

 私は、カナダの田舎、Fraser Lakeにある小さな薬局で仕事をしています(薬局長のジョージとの出会いについては前回の話を参照)。カナダでの薬剤師経験はまだ浅いため、患者との介入時には少し躊躇してしまいますし、医師にはいつもドキドキしながら電話をかけています。

 そんな私を横目に、ジョージは、積極的に患者と会話をして相手を笑顔にするような介入をしています。医師と電話する際には、自信を持って建設的なディスカッションをしています。私にできていないことを、いとも簡単に実施しているのです。

 どうしたら、ジョージのように、楽しみながら薬剤師の仕事をできるのでしょうか。彼の仕事ぶりから、何かヒントが得られそうな気がしました。

図1.pngFraser Lake入り口にあるモニュメント
Fraser Lakeは、ブリティッシュコロンビア州北部にある人口1,000人前後の小さな町です。
バンクーバーから車で10時間程度離れた、良く言えばカナダの大自然の中、悪く言えば過疎地に位置しています。

葉っぱのアイコン (1).pngそこにあるのは、仕事への情熱、そして薬剤師としての誇り

「どうやったらそんなに生き生きと仕事に取り組めるのだろう?」

 ある時、ジョージに聞いてみました。 

ジョージ: 薬物治療に一番詳しいのは薬剤師だし、うまくいかなかった時は薬剤師に責任があると思っている。やりがいを持っているから、仕事が楽しいんだよ!

 ジョージは、仕事を"やらなければいけないタスク"としてとらえてはいないようです。好きなことだからこそ好きなだけできるし、まるで薬剤師という職業を趣味であるかのように話しています。彼にとって薬剤師は、生きがいであり、情熱を傾ける対象であり、誇りなのです。

 

ジョージ:シンペイ、何が私達を薬剤師にしているか知っているか?それは薬剤師の免許証を持っているからではない。薬剤師の本当の仕事をしていること。それでやっと私達は薬剤師だと言うことができるのだよ。

 薬剤師の本当の仕事とは、薬を数えたりする技術的な業務ではなく、薬学的な知識を使う必要のある業務を指しています。確かに、薬剤師の業務には、薬剤師でなくても技術的には実施できるものも少なくありません。そういった業務の中で私達が常に心がけるべきなのは、一人一人の患者に最適な薬物療法を提供することです。そして、薬物療法をベストに近づけるためには、患者との対話や、医師とのディスカッションが重要になるはずです。

図2.jpgトラックが新鮮な果物や野菜を定期的に運んでくれる

葉っぱのアイコン (1).png患者の事を考えたら、自然にフットワークが軽くなる

 それでは、患者や医師との対話をどのように進めていけば良いのでしょうか。ジョージの対応を参考に考えてみます。

 患者が薬局に来ると、ジョージは笑顔で雑談を始め、そこから徐々に薬についての話に移ります。『What is your doctor going to do for you ?』、医師の処方意図について質問します。 その処方意図に基づいて処方薬の妥当性を評価し、必要があれば、すぐにドクターに電話し、ディスカッションを始めます。

 ジョージは医師への疑義紹介の電話を躊躇しません。私は薬剤師だし、その薬剤師が薬物療法について聞くという行為は正当なものに決まっているのだから」と。

 言われてみれば当たり前の話ですが、実施するのはなかなか難しいと思います。医師と対等に話をするためには、薬物療法についての知識が必要になり、ときには照会に値する疑義内容なのか、不安になることもあります。しかし、彼の言うように、『聞く』という行為そのものに価値があると考えられるなら、私達はもっと医師と対話する時間を持てるのではないでしょうか。

 ジョージは、新人である私の意見にも耳を傾けてくれます。学ぼうとする意欲が非常に強いのです。私よりも知識豊富で、各疾患の標準治療やそれらの保険適応の有無について熟知しながらも、常に謙虚な姿勢を貫いています。こういった姿勢は、私も見習いたいなと思っています。

 私達が薬剤師という仕事を楽しむためには、自信を持ち、まず自分からアクションを起こすことが重要です。そして、薬物療法に貢献するため、常に研鑽することも必要です。このような介入を続ける中で、薬剤師の価値を自己認識し、毎日の仕事が楽しくなるといいなと思います。

【コラムコンセプト】

薬剤師を取り巻く環境は日本と海外で違う。しかし、やっていることは本質的には同じ。患者のために薬を調剤し、鑑査し、投薬 (服薬指導) する。そして、その薬物療法を評価し、医師や他の医療従事者とより良い治療方法を再考していくこと。カナダの薬剤師事情を紹介しながら、日本での業務に取り入れられる方法を考えるコラム。

【プロフィール】プロフィール写真.jpg

1986年生まれ。名城大学薬学部卒。日本の病院薬剤師、調剤薬局、ドラッグストアで勤務した後、カナダへ留学。スプラットショーカレッジの薬剤師アシスタントプログラムを介し、Loblow pharmacyでインターン研修。2015年ブリティッシュコロンビア大学(UBC) CP3コース終了後、2016年カナダ薬剤師免許の取得。

blog: SHAWN'S WORLD
Twitter:@shinshinskysky

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