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医師が受け入れたくなる処方提案―薬剤師の力を生かす伝え方とは?

第3回日本調剤グループ学術大会全国大会

2018年10月17日 11:00

医師が受け入れたくなる処方提案―薬剤師の力を生かす伝え方とは?

「患者のための薬局ビジョン」や、今年(2018年の)診療報酬改定で認められた地域支援体制加算など、薬局はますます積極的に医療に参加することが求められている。特に、薬剤師ならではの知識を生かした高度薬学管理機能を高めることは、医師からも求められている。

 しかし、具体的にどうしたらいいか分からない、医師に薬の提案ができない、という薬剤師は少なくないのではないか。

 第3回日本調剤グループ学術大会全国大会(9月9日、東京)で、日本調剤藤が丘薬局(横浜市)店舗責任者の坂本健太氏が、簡単な処方提案から服用薬剤調整対策まで幅広く業務を行えるようになった事例を、実践的な方法を交えながら報告した。

◎この記事のポイント

  • "患者のための薬局"になるため、薬局は高度薬学管理機能などを高める必要がある

  • 日本調剤藤が丘薬局では、薬剤師が処方提案しやすい環境づくりや、服薬情報提供書を端的にまとめるといったことに取り組んだ

  • その結果、処方の削減・追加・変更につながった事例が複数あり、重複投与・相互作用等防止加算や服用薬剤調整支援料などの加算も増えた

職員が処方提案したくなる環境づくりから

 日本調剤藤が丘薬局(表1)では2017年12月から、処方提案と、医療機関に対する情報提供能力の向上に向けた取り組みを開始した。背景には、「患者のための薬局ビジョン」の実現、特に高度薬学管理機能を持つ薬局になるという目標があり、薬局薬剤師の提案力の強化と、医療機関に服薬情報提供書といった情報の受け入れ態勢を整えてもらうことを目指した。

表1. 日本調剤藤が丘薬局のプロフィール

■主な応需先:昭和大学藤が丘病院
■処方箋枚数:約150枚/日
■薬剤師:8人(うちパート社員4人)
■医療事務:4人

 方法としては、「通常の疑義照会」「処方提案ありの疑義照会」「服薬情報提供書による報告」「服薬情報提供書による処方提案」「服用薬剤調整支援(2種類以上の減薬)」があり、薬剤師が順を追って、医療機関への情報の伝え方のレベルを上げていけるように、上司がサポートを行った。

 経験の浅い社員でも対応できるように、まず「プロトンポンプ阻害薬(PPI)の削除」と「腎機能が低下した患者に対する減薬」に絞って提案するようにした。さらに、PPIの適応があるか、自覚症状はあるか、他に特定の薬剤を服用しているか、といったフローチャートを作成し、これに沿ってチェックしていけば、処方提案が必要な疑義照会かどうか判断できるようにした。

医師が注目するのは患者の減薬希望と薬学的妥当性

 減薬の処方提案の場合、疑義照会には①患者情報(特に減薬を希望しているのかどうか)、②薬学的な疑問(その薬剤を必要とした症状が安定しているのに処方が続いているのではないか)を記載することが重要とした(図1)。取り組みの初期段階としては、患者が減薬を希望しているか、症状が安定しているかを薬剤師が聞き取れていれば、あとは添付文書とガイドラインで十分と、坂本氏は述べた。

図1. 疑義照会での処方提案

180909_niccho_zu1+.jpg

 次に、服薬情報提供書による処方提案では、患者の減薬希望のほか、①疑義照会のときよりも具体的かつ端的に根拠をまとめる、②減薬内容(削除したい薬剤名など)をはっきり書く-ことがポイントとした(図2)。当初、病院からの応答はほぼなかったが、取り組みを始めて3カ月ほどたったころから、病院から連絡が入るようになった。薬剤師が患者について気になることは上司に伝えてもらい、どういった情報を医師に伝えるかを薬剤師同士で考え、服薬情報提供書にまとめるというサイクルを繰り返した結果、服薬情報提供書の内容がブラッシュアップされたためと考えられる。

図2. 服薬情報提供書での処方提案

180909_niccho_zu2+.jpg

 こうしたことをきっかけに、店舗の薬剤師の鑑査力が全体的に上がり、処方提案できる幅が広がっていった(表2)。また、取り組み前は月に13件程度だった重複投与・相互作用等防止加算の算定件数も、2018年7月には70件になったという。

表2. 日本調剤藤が丘薬局の処方提案の件数(2017年12月~18年7月)

180909_niccho_hyou1.jpg※薬を具体的に提案した場合のみ計上(指定できなかった場合、患者からの申し出、残薬調整、重複投薬は除く)
※数字は疑義照会とトレーシングレポートによる提案件数

(図1、2、表2すべて坂本健太氏提供)

 さらに、多剤処方されているため、服薬が難しい、副作用が出ているといった患者には、症状やバイタルサインを確認し、患者に薬を減らしたり変更する可能性があること、医師にも服薬に関する不満を遠慮なく言って構わないことを伝えた。同時に、医師が減薬などの判断をしやすいように、患者に自宅でも血圧を測ってもらうといった指導も行うなど、患者から医師に働きかけるよう後押しをし、服用薬剤調整支援料の加算につながった例も紹介した。

 同氏は「処方提案や服薬情報の提供は、"医師に怒られるのではないか"といった心理から行動に移せないことがある。まず、やってみる姿勢が大切であり、薬局のスタッフ一丸となって処方提案しやすい環境づくりを進めるのも1つの手段だ」と結んだ。

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