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薬剤師が押さえておきたい健康トピックス(2018年10月前半)

Fizz-DI 児島悠史

2018年10月18日 16:00

10月1日~15日に各メディアで配信された健康情報のうち、「コレは押さえておきたい!」と考えたものを、独断と偏見でリストアップします。患者さんからの突然の質問に困らないよう、情報収集の一手として役立てていただけると幸いです。

オプジーボ誤解しないで がん研究者に聞く免疫療法

https://www.asahi.com/articles/ASLB55W7VLB5ULZU016.html

【朝日新聞デジタル 10月8日】

京都大学の本庶佑氏がノーベル医学・生理学賞を受賞したことによって、オプジーボ(一般名:ニボルマブ)などの免疫チェックポイント阻害薬に注目が集まっています。しかし、オプジーボは全てのがん患者が対象となるものではなく、使用したとしても全症例に劇的な効果があるわけでもありません。また、重篤な副作用も無いわけではありません。テレビや雑誌などで取り沙汰されることが増えた「免疫療法」について、一般の方々の間違った認識や過剰な期待が起こらないよう、薬剤師は正確な情報提供をしていくことが大切です。


※現在、「免疫療法」でGoogle検索をすると、検索上位には高額な自由診療を謳う医療施設のWebサイトが多数ヒットする状態になっています。こうした情報を調べ、親切心から患者やその家族に効果が不確かな治療を勧めてしまう事例が多数起こっている可能性が考えられます。「免疫療法」について知りたいという患者さんには、下記の国立がん研究センターのページをまず基本として提示することをお勧めします。

◆国立がん研究センター がん情報サービス「一般の方向けサイト:免疫療法 まず知っておきたいこと」
https://ganjoho.jp/public/dia_tre/treatment/immunotherapy/immu01.html

今後50年で10万人が子宮頸がんに 今のHPVワクチン接種率が続いたら...

https://www.buzzfeed.com/jp/naokoiwanaga/hpvv-cervixmodel

【BuzzFeed News 10月14日】

この5年間の実質的なワクチン中断により、防げるはずの子宮頚がん罹患者が2万6,780人、それによる死亡者が7,008人にのぼるという推計が、日本医師会・日本医学会の合同公開フォーラムで発表されました。どんな薬にも副作用のリスクは付きものですが、薬と関係のないものまで副作用であると決めつけ、有益性を無視して拒否し続けることは問題です。日本だけ接種が進んでいない状況は、変えていく必要があります。


(参考)

◆学校接種を導入したオーストラリアでは、18~27歳女性でのHPV感染率が激減した(※2005年:22.7%→2015年:1.5%)との報告
http://www.zervita.de/share/Paper/jiy075.pdf

  

【コラムコンセプト】
TV・新聞・週刊誌・インターネット......毎日さまざまなメディアから大量の健康情報が配信されます。それを見た患者さんが「こんな情報を見たけれど、私の治療って大丈夫?」と聞いてきたらどうしますか?医療や薬に関する情報は、命に関わるもの。正確さ、専門性が求められます。薬剤師は薬の専門家として、患者さんの持ち込んだ情報が適切かどうかを判断し、対応しなければなりません。このコラムでは毎月、世間を賑わした健康情報をリストアップし、必要に応じて解説します。患者さんからの突然の質問に困らないよう、情報収集の一手として役立てて頂ければ幸いです。

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【児島 悠史氏 プロフィール】
京都薬科大学大学院修了後、薬局薬剤師として活動。「誤解や偏見によって生まれる悲劇を、正しい情報提供と教育によって防ぎたい」という理念のもと、日々の服薬指導のほか、Webサイト「お薬Q&A~Fizz Drug Information」を運営。医学論文などを情報源とした信頼性のある医療情報や、国民の情報リテラシー向上を目的とする記事を配信。近著は、「薬局ですぐに役立つ薬の比較と使い分け100」。

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