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調剤薬局で苦しそうに待つ患者さん、薬剤師はどう対応できる?

2018年10月19日 19:07

調剤薬局で苦しそうに待つ患者さん、薬剤師はどう対応できる?

協力 ◎ 福井繁雄

このシリーズは、

byouin ICON.png薬局での外来ケモ対応に関する病院とのやり取り
患者 アイコン.png薬局でのがん患者さんへの対応の2本立てでお届けします。

患者 アイコン.png
やってみるしかない!

外来ケモ患者からの要望は多岐にわたる。

「気持ちが悪くて耐えられない。先に吐き気止めだけもらえないか?ついでにビニール袋も...」と。青ざめた顔で弱々しく話す患者さん。痛みに顔をゆがませ、待ち合いの椅子で横になる患者さんもいる。どちらも我慢して調剤を待っている。

外来ケモの対応が本格的に始まってから、こういった患者さんへの対応策はないか考えていた。患者さんにしてあげられることは、できるだけ速やかにつらい症状を和らげること。そこで、制吐薬と鎮痛薬は、鑑査が終わる前に服薬できるように必要数だけ渡すことが可能かをスタッフミーティングで話し合った。その結果、薬歴をチェックして慎重に調剤し、必要な分だけをすぐに渡して服用してもらうことにした。

 

しかし...。

肥後さん:どれだけ時間がかかってるんだ!こっちは痛いの我慢して待ってるんだぞ!

僕:すっ、すみません...。大変お待たせしました。こちらのお薬ですね。

肥後さん:もう説明はしなくていいっ!

がんによる痛みを我慢して調剤を待っていたのだろう。イライラをぶつけて帰っていった患者さんがいた。

気になったのは、処方内容。痛いと訴えているのに、NSAIDsや麻薬が出ていない。大丈夫か心配になって、翌日の病院薬剤部の南さんとのミーティングで報告した。

僕:昨日、肥後さんがいらしたんですが、「痛いのを我慢してる」とおっしゃって調剤の遅さに怒って帰ってしまったんです。NSAIDsも麻薬も出ていなかったんですが、大丈夫か気になって...。

南さん:肥後さんですね。確かに、疼痛への薬は出ていないですね。

南さんはパソコン上の薬歴を確認しながら言った。

僕:調剤を待っているときも顔をゆがめて痛そうにしていたので、気にはなっていたんです。お薬を渡す時には非常に怒っていて、僕、どう対応したらよいかわからなくて...。

南さん:怒っているのは仕方ないとしても、非常に痛がっているようなら疼痛への薬を出すか、まず私に連絡いただいた方がいいかもしれないですね。肥後さんの件も含めて、今後もそういったケースがあるかもしれないから、私が主治医に確認をとって追加処方してもらえるか、院内で調整してみます。

こうして、非常に痛みが強い場合や、吐き気がひどいのに制吐薬が出ていない場合は、病院薬剤部に問い合わせたらすぐに対応してもらえるようになった。

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実は、これまでも薬を処方してもらいたいと思ったことはあった。しかし、医師の処方権に抵触するのではないか、患者負担をむやみに増やすことになるんじゃないかなど、いろいろとネガティブなことを考え、南さんに相談するのを躊躇していた。

しかし、実際に目の前にいる患者さんは苦しんでいて、なんらかの対応を求めている。なんとかしてあげたいという思いがこういう形になった。問題が生じたら方針を変更すればいい。まずはやってみるしかない。

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もうひとつ課題がある。今回、肥後さんは痛みを我慢して調剤を待っていた。痛みやつらさを言ってくれないというのは僕らの力不足の至りだと思う。患者さんとのコミュニケーションがもっと円滑になれば、訴えてくれるはずだし、そうすれば対応の幅も広がる。もっともっと患者さんとコミュニケーションを取れるようにならなければいけないな...。

【福井繁雄氏プロフィール】

薬学部卒業後、透析、CKD、ガン専門の薬局に13年勤務し、現在は在宅医療に関わっている。学生時代から行ってきた家族(特に祖母)のお薬管理を通じて、残薬管理に疑問を持ったことが、在宅医療に関わるようになった理由。これまでの経験を他の薬剤師にも生かしてもらいたいと、全国での研修会を月一回、行っている。自身は、生後3週間でアトピー性皮膚炎を発症し、リバウンドも経験。アトピー罹患者としての講演も行っている。

【研修会】

日本薬剤師研修センター認定の研修を月1回開催しています。
開催スケジュール:日本薬剤師研修センター受講シール2単位取得研修会(LIFE HAPPY WELL)


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