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北海道大学病院 婦人科
小林範子

 北海道胆振東部地震から2カ月がたとうとしています。深夜の大きな揺れや余震を体験したことから、今も体に不調を感じる方がいます。北海道出身の婦人科医・小林範子先生から、道民の皆さんにお見舞いのメッセージです。

fujinka_1810.jpgIllustration:kazuto hashimoto

 9月6日の深夜3時7分。病院当直だった私は、医局で仕事をしていた。ガタガタガタッ・・・!! 周りが大きく横に揺れている。長い。これは地震!? ザーッ・・・ドドド・・・。本棚は傾き、キャビネットは倒れ、デスク周囲の本は床に崩れ落ちた。食器棚の戸が開き、床に散乱した本と食器でまさに足の踏み場もない状態。そして、混乱の中訪れたブラックアウト。幸い、医局とは別棟の病院では非常用電源が作動し、揺れも少なく入院患者さんは無事だった。

 生まれも育ちも札幌の私にとっては、これまでに経験したことがない、異次元のレベルの地震だ。1カ月以上たった今も、小さな余震が続いている。震源地に近い地域に住む知人からは「今日もモーニング地震がありました」と連絡が来る。

 2011年の東日本大震災の後は、繰り返し放映される津波の画像の影響で、うつやパニック障害になる患者が増えた。今回の北海道胆振東部地震後は、「めまい」と「不眠」である。夜中目が覚めると、揺れているのではないかと不安になって寝付けない。地震で亀裂が入った部屋の壁を見ると、不安でドキドキしてくる。いつも揺れている感じがして、そわそわと落ち着かない。日常的にしばしば揺れを感じていることもあり、自分が揺れているのか実際に周りが揺れているのかが分からなくなる。地震に対する恐怖と不安も、症状を助長する。

 今、外来では古典的ながら酔い止めとして知られているトラベルミン®(一般名:ジフェンヒドラミン塩酸塩)が人気の処方薬だ。お守り代わりとして、安定剤のデパス® (一般名:エチゾラム)。漢方では、苓桂朮甘湯(リョウケイジュツカントウ)や半夏白朮天麻湯(ハンゲビャクジュツテンマトウ)。超短時間型睡眠薬のマイスリー®(一般名:ゾルピデム酒石酸塩)も多く使用されている。

「地震酔い」の余波はまだしばらく続きそうだ。北海道民が1日も早く平穏な気持ちを取り戻し、心も体も元気な日常へ回復しますように。

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