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アトピー治療薬の"うれしい"副作用?

2018年10月31日 11:30

 アトピー性皮膚炎の治療目的で、全頭型円形脱毛症の13歳の女児に生物学的製剤のデュピルマブを使用したところ、頭皮に発毛が認められた―。同薬の予想外の"副作用"に関する報告が JAMA Dermatol(2018年10月10日オンライン版)に掲載された。報告した米・Massachusetts General HospitalのMaryanne M. Senna氏らは「デュピルマブによる円形脱毛症患者の発毛に関する報告はこれが初めて」と説明している。

この記事のポイント

  • ・治療開始から6週間後に産毛!
  • ・両疾患に共通した特徴か

治療開始から6週間後に産毛!

 この女児は2歳以降、毛髪が生えることがなく、anthralin軟膏の局所投与などさまざまな治療を試みたものの効果が得られなかった。また、女児は生後7カ月で治療抵抗性のアトピー性皮膚炎を発症し、Senna氏らの施設を受診する2カ月前には全頭型円形脱毛症とアトピー性皮膚炎の治療を目的としたステロイドパルス療法とメトトレキサートによる治療を受けていた。しかし、これらの治療はアトピー性皮膚炎には一定の効果があったが脱毛症の改善は認められなかったため中止された。

 そこで、同氏らはこの女児に対して2017年7月にデュピルマブ300mgを隔週で注射する治療を開始。その6週間後にはアトピー性皮膚炎の症状が著明に改善したが、さらにこのころ、女児が頭皮に産毛が生えてきたことに気付いたという。

 デュピルマブによる治療開始9カ月後には相当量の毛髪が認められ、その髪質は通常の毛髪と同様の色素性のものだった。その後、医療保険に変更が生じたためデュピルマブによる治療を2カ月間中止したところ毛髪が抜け始めたが、同薬の使用を再開すると再び毛髪が増え、使用開始11カ月後には頭皮のほぼ全体で発毛が認められたとしている(写真)。

写真. デュピルマブ投与開始6カ月後(上)と11カ月後(下)の女児の頭部

写真1a産毛.jpg写真1b発毛.jpg

(プレスリリースより)

両疾患に共通した特徴か

 今回、デュピルマブによってアトピー性皮膚炎だけでなく円形脱毛症も改善したことについて、Senna氏らは「両疾患に共通した免疫学的な特徴があるからではないか」との見方を示している。

 アトピー性皮膚炎の炎症反応には2型ヘルパーT(Th2)細胞が関与していることが知られているが、デュピルマブにはTh2細胞から放出されるインターロイキン(IL)-4やIL-13のシグナル伝達を阻害する作用がある。

 一方、同氏らによると、円形脱毛症の病因は完全には解明されていないが、最近の研究から円形脱毛症でもTh2細胞が重要な役割を果たしていることが示唆されているという。

 なお、同氏は「他の脱毛症患者にデュピルマブが有効か否かについては現時点では不明」とした上で、「疾患活動性が高い円形脱毛症患者の発毛を促す可能性はあるのではないか」と推測。「そのような患者群を対象とした大規模臨床試験でデュピルマブの有効性を検証する必要がある」と主張している。

(Medical Tribune Webより転載)

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