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川田龍平氏インタビュー/患者が望むのは、連携が充実して相談しやすい医療

シリーズ ◆ 医薬分業は限界なのか? 川田龍平氏インタビュー【1】

2018年11月01日 10:15

 

 国政を左右する場で、医薬分業や薬剤師の意義についてその前提を理解しているとは思えない言説が横行している。そのような中、患者目線、市民目線で医薬品行政を問い続けている国会議員がいる。川田龍平氏である。同氏には、現在の医薬分業はどう映っているのか。現在の問題点はなんであり、解決の方向性はどこにあるか。議員として、患者として、さらには薬害の経験者として、今、どのような考えをお持ちなのか。忌憚のない意見を伺う。

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参議院議員 川田 龍平氏


【プロフィール】
立憲民主党所属。参議院農林水産委員会委員。東日本大震災復興特別委員会理事、国民生活・経済に関する調査会。岩手医科大学客員教授。
血友病治療の輸入血液製剤によりエイズウイルスに感染、10歳で告知を受け、薬害エイズ訴訟原告団に加わる。1995年未成年者HIV感染者として日本で初めて実名公表。1996年実質原告勝訴で国と和解。2003年東京経済大学卒業。2007年参議院議員に初当選、現在2期目。2011年、列国議会同盟HIVアドバイザー。


川田龍平氏に伺った5つの質問

  • ●現在の医薬分業制度における薬剤師の役割をどのように考えていますか?
  • ●薬剤師の役割を果たすために、薬局はどう機能すればよいですか?
  • ●川田先生にはかかりつけの薬剤師がいますか?
  • ●現在の医薬分業制度は患者本位に進んでいますか?
  • ●「患者本位の医薬分業」とはどのようなものですか

――川田先生は国会での質問主意書などで、医薬分業や薬剤師の業務に関する発言をされています。現在の医薬分業制度における薬剤師の役割をどのように考えていますか。

川田 まず、医薬分業がなぜ重要なのかということになりますが、医師・薬剤師による処方箋のダブルチェックは医療における必須の機能です。医師は患者の様子を診て薬の量を調整していますが、薬が本当に患者の体質に合っているのか、ちゃんと効いているのかと、薬物治療を全体的に見て判断するのは薬剤師の役割だと思います。中でも、高齢者や子供における処方薬の確認は慎重に行うべき。子供の飲み間違いによる被害はとりわけ多いので、処方箋をしっかりと確認してほしいです。

 また、服薬指導も重要な役割です。私の場合には、8時間置きとか12時間置きに服用する薬があります。そういう薬を忘れずに飲めるよう指導する。看護師が服薬指導を行うケースもありますが、やはり薬を渡す人(薬剤師)が現物を見せながら指導してくれると分かりやすいです。

 それから、目覚ましく進化する薬の専門家としての薬剤師の役割があります。医師も薬の教育を受けていますが、全ての薬の進化について十分に知識をアップデートできているとは限りません。医師がカバーできなくても、薬の知識や経験がある薬剤師が患者にじかに接することで、薬物治療の安全性が担保されるという機能があると思います。

 私が飲むHIVの薬は、薬物相互作用や服薬方法が複雑だといわれています。こうした薬に関して、飲み合わせも含めた知識を持って指導できる専門家がいないと困ります。中には劇薬もあるのですから。

 なお、医薬分業におけるこうした薬剤師の役割は、外来に限らず入院でも同様に求められると思います。

――そうした役割を果たすために、薬局はどうすればよいでしょうか。

川田 かかりつけになることが大事ですね。そうすれば、どのような持病があって、いつもとはどう症状が違うのかということも分かる。患者であれば誰でも来てくれればよいというのではなく、顔が見える医療を薬剤師がつくっていってはどうでしょうか

 インターネットやコンビニで、患者が自分で薬を選び、薬さえ手に入ればよいということになれば、薬剤師の存在意義がなくなります。診療所さえ必要なくなりますよね、診察しなくてよいわけですから。皆、本当にそれでよいのでしょうか。

――川田先生にはかかりつけの薬剤師がいますか。

川田 かかりつけ薬剤師はいませんが、いつも行っている薬局があります。病院のそばですが。今はだいたい3か月置きぐらいに、通院の帰りに寄っています。

 特殊な薬を飲んでいる私の場合は、かかりつけ薬局があると、とりわけ便利な理由があります。まず、何かあったときに連絡を取れることは大きなメリットです。「いつものあの薬ですけれど...」と言いやすい。

 それから、足りなくなっても出してもらえるという安心感があります。いつも通っていれば、常にストックを用意してもらえる。HIVの薬は高額なので、どこでも在庫を抱えているものではありません。他の薬局に処方箋を持っていったら、「面倒くさいから嫌だ」「うちでは扱っていません」と言われたこともあります。「全国の病院の処方箋受付」と、貼り紙がしてあるのに...と思いました。

 体調のチェックも一貫して行ってもらえますし、薬を変えたときでも、薬歴を見て「薬変えましたね」とチェックしてもらえます。

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他の国ではどのような取り組みを行っているのかを学んでみると、ヒントがあるかもしれません。
私もドイツに留学していましたが、薬局と病院の分業が進んでいたと記憶しています。

――厚生労働省は、地域包括ケアシステムの中で「患者本位の医薬分業」を推進すると展望を示しています。現在の医薬分業制度は、患者本位に進んでいるのでしょうか。

川田 政府が言う「患者本位」とは、患者の利便性を優先して、患者が門前薬局や門内薬局などを利用するような流れに象徴されます。門内に薬局をつくってよいのであれば、病院薬剤部と何が違うの?という疑問も生まれてきます。医薬分業をなくして、病院の中に薬局を作っていくという方向に向かっているようでもあります。果たして、それが本当に「患者本位」といえるのでしょうか。患者が利用しやすいように、という目的でやっているのかもしれませんが。それも、ごく短期的な利便性のために。

 それから、患者側からすれば、点数を稼げる治療を優先しているのかな、と思うことも。保険医療の限られた財源をどのように分配するかということで、医師、製薬会社、歯科と薬剤師などで争っていて、患者のことを本当に考えているのかな...と感じます。だから、適正な医療や処方を受けているのかを、相談料などを取って判断してもらえる仕組みもできたらいいですよね。医療って、必ず薬を出さなければいけないというものではないですから。ちゃんと必要な薬が出ているのか。そこを判断する。経済的な利益一辺倒でやっていくと、もうかるかどうかが全ての基準になっていく。それが危険です。何のために医療があるのか。患者のために医療があるということを、薬の必要性も含めて再考してもらいたい。患者本位と言いながら、医療が患者以外の方を向いてつくられているように思います。

――では、本来の「患者本位な医薬分業」とはどのようなものでしょうか。

川田 本当に患者が願っているのは、もっとチーム医療をしっかりとやってほしい、連携を充実させてほしいということです。今は医師が中心のシステムになっていますが、理想は、薬剤師やコメディカルが患者に対してもっとフラットに関わっていけるようになることですね。今後は、医療と介護の境界線が薄れていくでしょうから、医療者とケアスタッフの連携に基づいた患者サポート体制が、患者本位の医療をかなえると思います。

 それから、医療に関する疑問や相談を医療・介護スタッフに聞きやすい体制にしてほしい。医師の指導に対して、患者は質問ができないということが、往々にしてあります。セカンドオピニオンで別の医師に相談することはできますが、他の医師の診断に強く意見を言える医師はなかなかいない......。医者同士でかばい合うようなこともあります。ですから、患者の立場からすると、医師ではない医療職に相談をして専門的な解説をしてもらいたい。しかし、誰に聞けばよいのかが分からない。誰に聞けばよいかを、相談する相手もいないというのが現状です。

 今は、健康サポート薬局や24時間体制といったことが推進されていますが、何かあったときにそうやって相談できる場所が幾つもあると、患者は安心します。

次のページでは、「患者が医薬分業を理解していない」と言われる点を、川田先生がどのように考えるか、紹介します。

川田龍平氏に医薬分業を聞く!

患者が望むのは、連携が充実して相談しやすい医療

患者としてどう医薬分業を理解していくか

シリーズ◆医薬分業は限界なのか!?

医薬分業のこれからの在り方を識者にインタビューするシリーズ

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