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「この治療だけが望みなんです」

効果の望めない治療を薬剤師はどう判断すればよいか

2018年11月06日 09:52

「この治療だけが望みなんです」

シップヘルスケアファーマシー東日本株式会社
川村 和美

患者さんの望みに応えるか、医師の指示に従うべきか...。"倫理的判断"に迷う場面においては、直感に頼らずそのケースをさまざまな側面から幅広く検討し、より望ましい決定をするというプロセスが重要になります。

次のケースに遭遇した場合、あなたならどう考えますか?

「この治療だけが望みなんです」
またその話.png

 私は、勤務14年目の病院薬剤師(38歳)です。

 Fさん(36歳・女性)は、再発乳がんの治療のため、先週から再入院してきました。私はこれまでの入院でも彼女を担当しています。年齢も近く、お互いの子供が同じ年だったことから、お会いするたびに親しくなり、今では患者さんを越えて友人のような感覚すらあります。

 今回の検査結果で、現在投与中の抗がん薬に効果が見られないことが判明しました。これまで、効果が期待された抗がん薬はすべて試しており、検査結果から有効だと期待された抗がん薬は、既に繰り返し使用しています。今回の抗がん剤が効かないのであれば、他に手立てがありません。

 化学療法はFさんの希望そのものであり、「この治療は私の望みなんです。治療さえ続けていたら、生きることができるんだと思えますから」という話を何度も聞いて来ました。もしも、Fさんに化学療法の中止を伝えたなら、Fさんがふさぎ込むことは目に見えています。だからといって、Fさんにこの薬の効果が見られないことも事実です。

イラスト2.jpg

あなたならどうしますか?

a.jpg効果がない薬を継続しても、Fさんには副作用の負担ばかりを課すことになるため、主治医に抗がん薬の中止を提案する。
b.jpg薬に関することは薬剤師の責任なので、使用中の抗がん薬に効果が見られないことを、私から丁寧にFさんに伝える。
c.JPGいつか主治医が検討するときが来ると思うので、それまでは私から抗がん薬の中止を提案することはせず、Fさんを励まし続ける。
d.JPGこの薬がFさんの精神的な支えになっていることを主治医に伝え、効果がみられなくても、抗がん薬を中止しないようお願いする。
e.JPGFさんの抗がん薬に対する想いをカンファレンスで共有し、生きる望みとして用いる抗がん薬の意義を、皆が理解してFさんに接するよう取り計らう。

あなたは、何番を選択しましたか?あるいは、別の方法を考えたでしょうか。このケースを考える上で大切な、5つの視点から解説していきます。
※(関連記事)倫理的に判断するための5つの視点とは?

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