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薬剤師の僕が、残薬問題を身に染みて感じた日のこと

薬剤師必見!残薬管理この一手! Life happy well 福井繁雄

2018年11月16日 12:00

薬剤師の僕が、残薬問題を身に染みて感じた日のこと

19歳のある日、「薬飲んだら頭痛くなるんよ」という祖母の一言をきっかけに、残薬について考えるようになった僕。それから薬剤師になり、残薬解消のための活動を始めた。

このコラムでは、薬局薬剤師の僕が在宅や薬局での業務の中で行った、残薬に関する取り組みを紹介する。僕の奮闘記が全国の薬剤師の励みになるだろうかーー。

この記事のポイント

  • ●薬学生の頃、祖母が倒れた
  • ●祖母の残薬が大量にあり、医師はそのことを知らなかった
  • ●僕がチェックし医師が対応することで、祖母の残薬は減らせた

「薬飲んだら頭痛くなるんよ」

僕が、残薬について考えるようになったきっかけについて話そう。

19歳、まだ僕が薬学生だったとき、趣味で通っていた語学学校の授業の途中で、先生から「自宅へすぐ電話して帰りなさい」と声をかけられた。そのころ僕は祖母と二人暮らしをしていた。自宅にいるのは、祖母ひとりのはずだ。

なんだろ......。12歳のとき、祖父が亡くなった日の光景をふと思い出し、嫌な予感がした。

電話をかけると、祖母が息苦しそうに話している。

祖母:苦しい......でも、うごけないんよ。胸が苦しい

僕:すぐ帰るから

――ばあちゃん、元気やったのにどうしたんやろ。朝も普通やったのに。

受話器を置き、急いで家に帰った。

玄関を開けると、祖母は受話器を持ったまま、ドアのすぐ近くに倒れていた。意識はあって、普通に話せた。

僕:ばあちゃん、薬飲んだん?

祖母:薬飲んだら頭痛くなるんよ。気分も悪くなるし。

僕:そんな......先生に定期の診察で話してるん?

祖母:話してる......

ほんまかいな?と思った。薬を飲んだら体調が悪くなると伝えているのに、医師はなんで変更を検討をしないんだろう?と。

当時、祖母が飲んでいた薬は5種類。薬の判別はでき、飲むと頭痛がしたり気分が悪くなる薬がどれかは分かっているようだった。薬をもらってくると祖母は、ハサミで1錠ずつに切って、お菓子の空き箱に入れていた。その箱を見ると、たんまりと薬が詰まっていた。

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次の定期受診の日、祖母に同行した。ここ何日かの祖母の様子を先生に話した。

医師:そうなん?初めて聞いたよ。薬変えてみようか。今度もお孫さん、付いてこれるんかな。おばあちゃん、話してくれたらよかったのに。

祖母は、「先生に話してる」と言っていたが、それはどうも、嘘だったようだ。「もっと早く医師に話していたら、今、家にある残薬は、かなり少なかったんじゃないかな」と、このとき僕は思ったのだった。

この日、医師は薬を変更し、血圧はおちついた。そして、残薬は、この日を境に少なくなった。僕がチェックするようになったから。

飲み残した薬をチェックして医師に伝える。それだけでも残薬を減らしていくことができる。ただし、残薬は、残ることばかりが悪いわけではないのだった。急速に減っていく場合にも注意が必要なのだと、僕は後に知ることになるーーこれは、また今度、語ろう。

第1回図01.png

【福井繁雄氏プロフィール】

薬学部卒業後、透析、CKD、ガン専門の薬局に13年勤務し、現在は在宅医療に関わっている。学生時代から行ってきた家族(特に祖母)のお薬管理を通じて、残薬管理に疑問を持ったことが、在宅医療に関わるようになった理由。これまでの経験を他の薬剤師にも生かしてもらいたいと、全国での研修会を月一回、行っている。自身は、生後3週間でアトピー性皮膚炎を発症し、リバウンドも経験。アトピー罹患者としての講演も行っている。

福井氏が勤め先の薬局で外来ケモ対応に奮闘する様子はコチラ
【迷走奔走外来ケモ奮闘記】

【研修会】

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