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薬剤師が押さえておきたい健康トピックス(2018年11月前半)

Fizz-DI 児島悠史

2018年11月19日 16:00

11月1日~15日に各メディアで配信された健康情報のうち、「コレは押さえておきたい!」と考えたものを、独断と偏見でリストアップします。患者さんからの突然の質問に困らないよう、情報収集の一手として役立てていただけると幸いです。

映画『MMRワクチン告発』 公開中止のお知らせ

http://unitedpeople.jp/vaxxed/japan

【ユナイテッドピープル株式会社 11月7日】

イギリスの元医師Andrew Wakefield氏※1が監督する映画「MMRワクチン告発」の公開中止が決まりました。配給会社が、厚生労働省や国立感染症研究所などへの事実確認を行っても監督が主張するような事実は確認できず、劇場公開は適切ではないと判断したことが、中止の理由とされています。当初考えていた公開の意義と、中止の判断に至った経緯は、上記URLの中で細かく説明されています。


※1 Andrew Wakefield氏が1998年にLancet誌に投稿した論文(Lancet.351(9103):637-41,(1998) PMID:9500320)は、2010年に捏造による虚偽があるとして撤回され、医師免許剥奪の処分も受けています。

抗菌薬使い過ぎで年70万人が死亡 専門家団体が発足「国民が知る必要」

https://www.buzzfeed.com/jp/naokoiwanaga/amr-alliance-japan

【BuzzFeed News 11月9日】

2016年に掲げられた「薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン※2」には、国民に対する「普及啓発・教育」も含まれています。しかし、採択から2年たった現在でも、ウイルス性の感染症である「風邪」や「インフルエンザ」に対して抗菌薬が有効と考えている人が約50%「風邪」の際に抗菌薬を希望する人が約30%にのぼるとされています※3。薬剤師も、服薬指導に適正使用や譲受禁止の話題を盛り込むなど、できることから行動を起こすことが大切です。


※2 薬剤耐性AMR対策アクションプラン
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000120769.pdf

※3 AMR臨床リファレンスセンター「抗菌薬意識調査2018」
http://amr.ncgm.go.jp/infographics/008.html

リアップ特許切れ、発毛剤に参入相次ぐ 若年層に照準

https://www.asahi.com/articles/ASLC13SD5LC1PLFA003.html

【朝日新聞デジタル 11月4日】

ミノキシジルの外用は、壮年性脱毛症に対する効果が認められている医薬品です。1999年に登場したリアップ(大正製薬)の特許切れに際して、スカルプDメディカルミノキ5(アンファー)やリグロEX5(ロート製薬)といった競合商品が登場しています。いずれも成分や効果は同じですが、ミノキシジルは使用初期に一時的な脱毛(休止期脱毛※4)が起こること、効果が実感できるまでには4ヶ月程度かかること※55%製剤は女性には使えないこと※6などの注意点は知っておく必要があります。


※4 休止期脱毛:頭髪には、「成長期」・「退行期」・「休止期」を繰りかえすサイクルがある。「ミノキシジル」は、「休止期」にある毛包をから「成長期」へと促すため、一旦古い毛髪が抜け落ちることになる。

髪のサイクル.png(児島悠史氏提供)

※5 日本では1%と5%、2つの「ミノキシジル」製剤が販売されているが、男性の場合、5%製剤では16週で効果が得られている(J Dermatol.36(8):437-46,(2009) PMID:19691748

※6女性の壮年性脱毛症では「ミノキシジル」の濃度を高めても効果は変わらない(Cochrane Database Syst Rev. 2016 May 26;(5):CD007628. PMID:27225981

    

【コラムコンセプト】
TV・新聞・週刊誌・インターネット......毎日さまざまなメディアから大量の健康情報が配信されます。それを見た患者さんが「こんな情報を見たけれど、私の治療って大丈夫?」と聞いてきたらどうしますか?医療や薬に関する情報は、命に関わるもの。正確さ、専門性が求められます。薬剤師は薬の専門家として、患者さんの持ち込んだ情報が適切かどうかを判断し、対応しなければなりません。このコラムでは毎月、世間を賑わした健康情報をリストアップし、必要に応じて解説します。患者さんからの突然の質問に困らないよう、情報収集の一手として役立てて頂ければ幸いです。

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【児島 悠史氏 プロフィール】
京都薬科大学大学院修了後、薬局薬剤師として活動。「誤解や偏見によって生まれる悲劇を、正しい情報提供と教育によって防ぎたい」という理念のもと、日々の服薬指導のほか、Webサイト「お薬Q&A~Fizz Drug Information」を運営。医学論文などを情報源とした信頼性のある医療情報や、国民の情報リテラシー向上を目的とする記事を配信。近著は、「薬局ですぐに役立つ薬の比較と使い分け100」。

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