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健康につながることなら何でもあり!医療介護・行政・地域住民が集う『健高カフェ』

田舎の薬剤師 地域医療への貢献を模索中!〜故郷を薬剤師として支えたい〜#6

2018年11月21日 08:00

 私の住む福井県高浜町では、自治体・大学・地域住民が一体となった地域包括ケア構築に向けた取り組みがいくつも行われております。ちなみに、プラチナ構想ネットワークという民間団体が過疎化や高齢化など地域の課題解決に向けた先進的な取り組みを表彰する「プラチナ大賞」というものがあるそうで、高浜町が部門賞「全員参加の地域づくり賞」に選ばれたとのこと。

 今回はそんな高浜町における取り組みの1つで、私も参加している「けっこう健康!高浜☆わいわいカフェ」(通称:健高カフェ)について紹介します。

「けっこう健康!高浜☆わいわいカフェ」Facecookページ

fugu_icon_purple.jpgざっくばらんにおしゃべりして、幸せな町を自分たちでつくる

 健高カフェとは、行政・教育・医療・介護・住民などのあらゆる立場のものが自由参加で集まり、自ら設定したテーマに関してざっくばらんにおしゃべりをし、可能なものを実現に向けて協議していく場です。この名前の由来ですが、けっこう(決行)、わい(高浜での自分を指す男性の一人称で、一般的な「俺」「わし」とかのこと。「わい」とか「わえ」と高浜ではいいます)ということも加えて、「出た意見を自分たちで決行していく」という意味が込められています。

 毎月第3火曜日の19時30分から開催されています。平成27年11月から始まりましたので、もう丸3年になりますね。参加者はさまざまで、専門職では医師、看護師、保健師、ケアマネ、介護職、行政関係者としては街の健康福祉課、総合政策課、産業振興課の方々、また各種住民団体の方々や一般住民の方々が参加されています。参加は強制ではなく無理のない範囲で、との方針で進めており、毎回20人前後が集まっています。

 その内容は、まず前回の開催から今回までの1カ月間、これまでのおしゃべりで協議されたものの進行状況を参加者と共有します。その後、テーマに沿った話題をゲストの方から話していただきます。それが終わると、ワールドカフェ形式で数人ずつに分かれてテーマに沿ったおしゃべりをしていきます。最後に、話した内容を全体でシェアします。

 テーマは健康につながることであれば何でもありで、今までテーマになったものには「認知症」「フレイル」「栄養」「笑い」「ボランティア」「孤食」などがありました。

 健康カフェの目的は、健康やまちづくりに関心のある/かかわっている人・団体が集まっておしゃべりすることで「人と人」や「団体と団体」を結び付け、地域の連帯感やきずなを深めること、まちづくり活動の効率や効果を高めることが挙げられます。町全体の一体感や将来性をつくることにより、「住んでいるだけで健康になる町」「健康で安心で幸福な自慢の町」「次世代へ持続可能な町」を目指すという大きなテーマがあります。

takahama6_kenko.jpg
みんなでおしゃべりしながら出た意見を自分たちで決行していく、それが健高カフェの目的であり目標です。

kani_icon_redpurple.jpg医療介護、行政、地域団体・住民と横のつながりができ、情報が得られる

 私が継続して参加しているのは、これに参加していてよかったなと思えることがいくつかあるからです。そのうちの1つは、町内のたくさんの医療介護関係者、行政関係者、地域団体や地域住民と知り合いになれ、横のつながりができたことです。

 例えば医療介護関係者で言えば、隣の診療所の医師や看護師、またケアマネージャーやその他介護職の方々。こういった機会がなければ、地域の研修会や退院前カンファレンスくらいでしか顔を合わせなかったかもしれません。何回も顔を合わせていると、知らないうちに打ち解けていろんな話をするようになっておりました。その場で仕事の話になり、薬剤師として意見を聞かれることもときどきありますし、仕事の場でお会いしてもすごく気軽に話せるようになりました。

 次は行政関係者。普段、病院内で仕事をしていると、彼らとお会いすることはほとんどありません。話題提供やおしゃべりの場で、県や町の現状や施策を教えていただき、たいへん勉強させていただいているとともに、ときどきは意見させてもらっております。こういった機会がなければ知ることができなかったかもしれませんし、とても感謝しています。

 最後に地域団体や地域住民の方々。テーマが健康に関連することですので、住民の方々の健康や医療に対する思いをお聞きすることがあります。なかなかざっくばらんにそういった話をする機会はないですし、とても貴重な機会となっております。また、おしゃべりの中で知らなかった地域の一面を教えていただけることもあります。

 さらに、新たな知識を得ることができるのも、よかったことの1つです。毎回のゲストからの話には「そんなことが健康と関係あるんだ!」と思うことがたびたびあり、仕事上で役立つ知識も多いです。

takahama6_lecture.jpg「歯の健康」をテーマにした7月の模様です。ゲストとして町内の歯科医に来ていただき、話題提供をしてもらった後に、参加者でおしゃべりをしました。そこで出た意見や話した内容が「シェア」に記載されております。「シェア」の内容は、メーリングリストに登録しておけば、後日、メールで共有されますので、参加できなくてもその内容を知ることができます。

tai_icon_red.jpgそこに顔の見える薬剤師はいますか? あなたは顔の見える薬剤師ですか?

 基本的に、参加している薬剤師は私だけですが、こういった医療・介護関係者が集まる場所に薬剤師がいなければどうでしょうか。関係者の中で影の薄い存在になってしまうかもしれません。出席することで、そこに薬剤師がいることを認識してもらえ、医療介護を支えている存在だと認めてもらえることになるのかもしれません。

「薬剤師の存在が地域の中で見えない」ということはよく耳にしますし、「何をしているか分からない、何をしてくれるのか分からない」と言われることもよくあるとお聞きしています。こういった「場」に積極的に出席することで、医療者間でも、地域住民間でも、その存在感を少しでも高めることができるのではないでしょうか? みんながみんなそうである必要はないとは思いますが、そういった薬剤師も必要なのではないかと思います。

 今回はこの辺で。次回も引き続き、健高カフェについて、健高カフェから生まれた施策や、私の心に残っている回について紹介したいと思います。

takahama6_kenko_kickoff.jpgキックオフの時の写真です。多くの参加者が集まりました。高浜町のマスコットキャラクター赤ふん坊やの特製ケーキで発足を祝いました。

【コラムコンセプト】

たくさんある薬剤師としての働き方の中から選んだ、地域に根ざして働く病院薬剤師。地域に対して何ができるのだろうかと日々考えながら業務をしています。田舎はたいへんなことも多いけど、田舎ならではのおもしろいこともすごく多いです。何か目立つことをするわけではなく、地味に細々と活動している薬剤師がたくさんいることを知っていただき、同じような境遇で働く薬剤師を少しでも勇気づけることができれば幸いです。

【野田学氏プロフィール】

NodaManabu.jpgJCHO若狭高浜病院薬剤科所属。薬学部卒業後、7年間の山口県でのチェーン調剤薬局勤務を経て、地元である福井県の病院に勤めだして5年目。生まれ育った人口1万人ほどの自然豊かな小さな町にある唯一の病院で、のほほーんと勤めながら、薬剤師・医療者・地域住民として自分に何ができるのかを日々模索中。ブログで地域での活動の様子や日々の業務で考えたことなどを書いています。

ブログ:リンコ's diary 田舎の地域医療を志す薬剤師

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