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薬局にとって「困った人」でも、地域に暮らす人

在宅患者さんのお役に立ちたくて、在宅専門薬局を立ち上げたのが2009年11月。1人薬剤師 兼 ケアマネとして奔走し、在宅活動を通して地域のさまざまな人との繋がりを作ってきました。現在は「街角相談薬局」という立ち位置で頑張っています!

※在宅専門薬局としての活動記はコチラ【まだまだつぼみだけど・・・

つぼみ薬局 角山美穂

 

 悩みのある人を、早く的確に必要な支援につなぐ......うつ病患者などの自殺を防ぐ「ゲートキーパー」としての役割が、地域の連携が果たすべき役割として考えられるようになりました。その連携の輪の一環として、薬局が関わることはできるのでしょうか。

※誰もが安心して生きられる温かい社会づくりを目指して ~厚生労働省における自殺・うつ病等への対策~(厚生労働省)https://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/jisatsu/dl/torimatome_1.pdf

 厚生労働省が提示している、自殺リスクの高いグループは大きく分けて4つあります。1.無職者、2.離婚者など独居者、3.生活保護受給者、4.精神疾患患者。

 精神疾患というと、ザックリしすぎかもしれませんが、つぼみの患者さんにもおられます。「双極性障害」「強迫神経症」「鬱」「認知症」......。こういう患者さんにとって、面分業の薬局は暇そうに見えるのか、それとも24時間対応なのでいつでも連絡が付くからか、理由は分かりませんが、利用しやすいのかもしれません。

 また、処方箋を持ち込むわけではなく、医薬品を購入するのでもなく、ただ立ち寄り、一方的に話し込んでいく方や、時間外の転送電話で「それは今の時間でなくても良いこと」を延々と話される方もいらっしゃいます。

 

 当薬局ではエチゾラム、アルプラゾラムをはじめ、向精神薬に分類される薬剤も多く在庫しています。たまに「睡眠薬を何錠か分けてもらえないか?」と来局される方がいます。この際の決まり文句は「薬事法で、要処方せん薬を処方箋なしで譲ると、私が捕まってしまうんですよ~」

 一昔前には、病名を自ら申し出る患者さんはほとんどいなかったように思いますが、このごろは宣言する方が多い印象です。私自身の年齢やキャラからも『身の危険』はただの一度も感じたことはありませんが、こちらの都合はお構いなしでのグイグイくる感じには『線引き』が重要と、常々肝に銘じて服薬指導や相談を行っています。

 「離婚することになったが納得できない」「『死にたい』と言った妻が、措置入院になった」「夫の親である姑の介護は、私の役割ではないと思うがどうか」「子供が思い通りの進路選択をしない」...、当薬局は、街角相談薬局で「よろず相談所」ではないはずですが、皆さん、いろいろなことを吐き出しに来局されます。長らくケアマネジャーをしていたので、傾聴は得意なつもりですが、ときに「私って、何をやっているんだろう...」と考えこんでしまいます。

 気になる方は、本人の同意を得て最寄りの地域包括支援センターへつないだり、心療クリニックへの受診を勧めたりしますが、ほとんどの方は私の眉間のしわがどんどんと深まるほどの勢いで胸の内を吐き出すと、ご機嫌で帰路に付くのです。その後姿を見ると、「私にもこういうところがあったらいいな!」なんて思います。

 ゲートキーパー研修を受けたこともあるけれど、「薬局にとっては困った人かもしれないけれど、話を聞くだけでもその人の役にたてているのかも。地域の人の悩みやSOSに気付き、受け止め、過量服薬や自殺を防止していく......これも薬局薬剤師の地域での重要な役割なのかなあ」、そんな風に感じられるようになったのは、つぼみが10年目に突入し心に少し余裕ができたからかなあ~。

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【コラムコンセプト】

ケアマネとしても薬剤師としても在宅活動を長く続けてきた筆者が、地域包括ケアの中でどのように薬剤師として貢献していくか、日々のエピソードとともに綴っていきます。

【角山美穂 プロフィール】

2009年11月、「在宅専門薬局」と言う想いでつぼみ薬局を開局。当初は、併設した「つぼみ薬局居宅介護支援事業所」の介護支援専門員として居宅を訪問したり、「つぼみ薬局」の訪問薬剤師として活動。現在は「街角相談薬局」という立ち位置で活動中。

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