新規登録

爪白癬治療薬、選択基準の見直し必要

2018年11月27日 15:00

爪白癬の新たな治療薬として2014年、2016年に外用薬が2剤発売され、今年(2018年)には内服薬が1剤加わり、選択肢が豊富になった。埼玉医科大学総合医療センター皮膚科教授の福田知雄氏は第62回日本医真菌学会総会(9月8~9日)のシンポジウム「爪白癬治療の標準化に向けて」で、これまで臨床を支えてきた内服薬2剤の特徴をあらためて振り返り、今後の薬剤選択の在り方について言及。「外用薬が使えるようになった今、爪白癬治療の第一選択は必ずしも内服薬とはいえず、内服、外用の選択基準を見直す時期に来ていると考える」と述べ、治療の標準化の必要性を強調した

21957_face[1].jpg

この記事のポイント

  • ◆イトラコナゾール(ITCZ)、テルビナフィン(TBF)は、発売以来爪白癬治療の中心を担ってきた。
  • ◆ITCZの方が静菌的であり、TBFの方が殺菌力のある薬剤
  • ◆ITCZは幅広い抗真菌スペクトラムを持っており、カンジダや癜風などにも効果が期待できるが、併用禁忌・注意薬が多い
  • ◆TBFは肝障害や血液障害が禁忌
  • ◆両剤とも完全治癒率はそれほど高くなく、長期経過観察でも再発がある。外用薬が選択できるようになった今、患者により使い分けをするべき

「両剤とも完全治癒率は決して高くはない」

 爪白癬治療薬として内服薬のイトラコナゾール(ITCZ)が1993年に発売され、また内服薬のテルビナフィン(TBF)が1997年に登場した。それまで治療の主軸であったグリセオフルビンは2008年に原材料の輸入中止により製造中止となったため、以降はITCZとTBFが治療の中心となった。

 福田氏によると「両剤の導入によって爪白癬は治癒に導きうる疾患となったと当時はいわれた」。その有効率は、ITCZのパルス療法(1週間連日投与し3週間休薬)3コースで84.6%、TBFの6カ月連日投与で84.4%という報告がある(皮膚臨床 2010; 52: 1623-1628)。

 ITCZの爪中薬剤濃度を見たデータでは、パルス療法(400mg×3コース)では9カ月以上にわたり最小発育阻止濃度(MIC)90が維持されていた(日皮会誌 2004; 114: 55-72)。一方、TBFの爪中薬剤濃度は、125mg×24週投与で9カ月以上にわたり最小殺真菌濃度(MFC)が維持されていた。同氏は「ITCZの方が静菌的であり、TBFの方が殺菌力のある薬剤といえる」と説明した。

 また、「効能・効果の面ではかなり違いがある」と同氏は指摘。TBFは白癬菌以外にはあまり適応を持たず、白癬菌に特化した薬剤という位置付けだが、ITCZは幅広い抗真菌スペクトラムを持っており、カンジダや癜風などにも効果が期待できる。

 ITCZの難点として併用禁忌・注意薬が多いことを同氏は挙げ、「覚えきれないほどあり、他剤を服用している患者には使いにくい」と臨床実感を述べた。一方、TBFは肝障害や血液障害が禁忌とされている。これらの安全性も含めた両剤の選択基準が示されており、臨床に普及している()。

表. ITCZとTBFの薬剤選択基準

21957_tab[1].png

(日皮会誌 2004; 114: 2098-2102、真菌誌 2008; 49: 1-3)

 両剤を比較した臨床試験L.I.O.N studyでは、72週時点での完全治癒率はITCZが26%、TBFが55%だった(BMJ 1999; 318: 1031-1035)。さらに5年間の長期経過観察した結果では、臨床的再発・再感染率はITCZが48%、TBFが21%だった(Arch Dermatol 2002; 138; 353-357)。

 これらの成績に関して、同氏は「両剤とも完全治癒率はそれほど高くなく、長期経過観察でも多くの再発がある」と総括。その上で、「外用薬が選択できるようになった今、患者により使い分けをする時代に入った」とまとめた。

(Medical Tribune Webより転載)

トップに戻る