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動き出した"QI"試験運用 各薬局の受け止め方は?

シリーズ◆QIは薬剤師の味方になるか?① JP-QUESTキックオフミーティング

2018年11月29日 10:00

動き出した

 海外では、薬局業務の質を数値化して評価する”Quality Indicator(QI)”を用い、業務改善を図る動きがある。仕事の質をスコア化することで現状を把握し、患者にプラスになるよう業務内容を改善できる(関連記事:薬剤師提供の対人サービスの質と量を向上させる健康サポート薬局を評価する指標、QI)。

 日本ではまだまだ知名度が低いが、日豪の研究チーム(JP-QUEST)は、在宅業務や健康サポート薬局の質を評価するためのQIを開発、2018年10月から半年間の運用試験をスタートした。試験には2018年11月現在、約60薬局が参加を表明している。

 9月22日に行われたJP-QUESTおよび参加薬局のキックオフミーティングの様子、QIの意義、参加薬局の意気込みを紹介する。

◎この記事のポイント

  • 薬局業務の質を数値化して評価する”QI”の試験運用が、日本で始まった。
  • 今回は、在宅業務に関する評価を行う。
  • 6カ月の試験運用を通じ、QIの各評価項目の妥当性も検討する。
  • 参加薬局は現時点で約60あり、「自らのスキルアップにつなげたい」などのコメントが寄せられている。

◎JP-QUESTキックオフミーティング
日時:
2018年9月22日(土)
会場:昭和薬科大学第2講義棟
登壇者:山本恵子(昭和薬科大学学長)/Timothy F. Chen(シドニー大学教授)/串田一樹(昭和薬科大学特任教授)/岡田浩(アルバータ大学、京都大学、京都医療センター)/松本朋子(ネオプラスファーマ株式会社千里プラス薬局)/藤田健二(シドニー大学博士課程)

QIを用いてPDCAサイクルを回す 

 今回のQIの評価項目は「同一在宅患者に対して、可能な限り毎回同じ薬剤師が訪問すべきである」「服薬アドヒアランス向上に向けて、薬剤師は患者宅で服薬状況および残薬確認を実施すべきである」など、在宅業務に関する45個だ。在宅医療・介護従事者へのインタビューや、海外の既存のQI、国内のガイドラインなどを参考に、医師や看護師、薬剤師ら、松本氏を含む10人が適切性を評価して決定した。

 参加薬局は、1カ月ごとに薬歴などから各評価項目の数値を集計していく。しかし、該当患者がいなかったり、他に優先すべき業務があるなどで、集計できない項目もあると予想される。また、集計できても、6カ月間まったく値に変動が見られず、改善の余地がないものもあるだろう。今回の試験運用には、評価項目が実際の業務に生かせるものかどうかを測る側面もあり、集計できない薬局が多い項目や変動が見られない項目は、見直しの対象となる。

 松本氏は「加算を取るために在宅業務に関わる薬局も少なからずある。しかし、医療の質を底上げし、薬剤師のレベルの差を最小にして、患者に良い医療を安定して提供する必要がある」という。それにはQIが有効であり、患者や他職種にとってもメリットがあるとした(表1)。

表1. QIを用いた評価が現場で運用される効果

  • エビデンスが存在することから、薬剤師の仕事が正しく評価される
  • 仕事が可視化されて分かりやすくなり、薬剤師の仕事の質のばらつきを埋めやすくなる
  • 薬局間の質の差が小さくなり、一定以上のサービスを安定して提供できるようになる
  • 他職種(特に医師)とのコミュニケーションが取りやすくなり、信頼を得やすくなる
加工軽★IMG_2659.jpg参加者からの質問に答えるJP-QUEST関係者

QIをつくっていくのは参加薬局自身

 会場では、ディスカッションの時間が設けられ、参加薬局の試験運用に関する意見や、6カ月後の成果への期待、不安や疑問などが話し合われた。

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参加薬局の声一覧_.pdf

「通常業務を行いながら集計を続けられるか」「スタッフが評価項目を正しく理解できるか」といった不安を感じながらも、「患者の多い認知症やCOPDなどに関連する項目があった方がいいのではないか」という意欲的な意見も出た。

 ミーティングには参加できなかった薬局からも、「これまで、在宅患者の満足度という独自の指標を設け、訪問薬剤師の質を評価していた。今回、全国的な指標をつくる手伝いができることを楽しみにしている」「個人薬局で訪問数は少ないが、情味のある訪問をしたいと思っている。そういう姿勢がどう評価されるか」「自らのスキルアップにつなげたい」といった熱意あるコメント、「薬剤師の在宅業務の成果をどう表したらいいか、ずっと考えていた」と、QIの試験運用を歓迎する声が届いた。

 研究チームは、今後も参加薬局と定期的にオンラインでディスカッションし、QI項目のブラッシュアップをする予定である。藤田氏は、「数値を見るだけでなく、数値をもとに業務をどう改善するか、考えるきっかけにしてほしい。今回の研究では、参加薬局の方々が主役。実際に役立つものができる6カ月にしたい」と締めくくった。

加工軽★IMG_2712.jpg参加薬局のディスカッションには、藤田氏(左から2番目)らも加わった(写真はすべてJP-QUEST提供)

シリーズコンセプト
世界では活用する国があるものの、国内では認知度の低い“QI”。運用試験に参加する薬局や、不参加でも在宅業務に注力している薬局・薬剤師、QI集計システム開発者らを多角的に取材し、QIの効果の実態や、日本で浸透させるための課題に迫ります。

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