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超デリケートな患者さんに必ず伝えたいことは?

2018年11月30日 20:37

超デリケートな患者さんに必ず伝えたいことは?

協力 ◎ 福井繁雄

このシリーズは、

byouin ICON.png薬局での外来ケモ対応に関する病院とのやり取り
患者 アイコン.png薬局でのがん患者さんへの対応の2本立てでお届けします。
 

患者 アイコン.png
意外な指摘から薬情を見直すきっかけが

ちゃらららーん ららん♪ 薬局の電話がのんきに鳴った。

僕:はい、も...。

山田さん:ちょっと!ユーエフティ®が入ってないんだけど!間違ってるわよ!!

僕:大変申し訳ございません。失礼ですが、お名前伺えますか...?山田さんですね。確認しますので、少々お待ちください。

山田さんは、乳がんで抗がん剤治療を受けている60代の女性だ。薬歴を確認すると、ユーエフティ®は今日から休薬だ。何日か前に、カウンターで説明したはずなんだけどな...…。

僕:大変お待たせいたしました。ユーエフティ®は今日から14日間は飲まなくていいんですよ。お休みの期間なんです。次の診察で、また処方されると思います。

山田さん:あら、そうなの。ごめんなさいね。それじゃぁね。

山田さんの薬歴の上部、狭い空白を埋めるように「増量、減量、再開、休薬は必ず伝えること!」と書いてある。そう。山田さんは超デリケートな患者さんなのだ。ユーエフティ®が処方されるようになってから、休薬期間中に「薬が入ってない!」という怒りの電話がときどきかかってくる。そういえば、前回は娘さんから電話がかかってきたような。山田さんは電話で確認をとらないと安心できないらしい。ユーエフティ®が自分にとって重要な薬だと理解してのことなのだろう。

薬局長とも話し合いのうえ、次の処方から一包化を勧めることにして、山田さんがOKなら分包に太いマジックで服薬日を書くことにした。

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結局、一包化して太マジックで日付を書くようにしてから、山田さんから問い合わせがなくなった。山田さん、きっと安心して服薬できるようになったんじゃないかな。めでたし、めでたし。

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...と思った矢先。病院薬剤部の南さんとの打ち合わせで、山田さんの話題になった。

南さん:先日、山田さんが来ました。「薬局でもらう薬の説明書みたいな紙に『このお薬は術後、悪い細胞が増えすぎるのを抑えるために使います』って書いてあるのよ。私、手術なんかしてないのに」って言ってましたよ。薬情のことですよね?がん患者さん全員が手術を受けるわけではないので、薬局内で薬情の表記について話し合ってもらえませんか?

僕:確かに、おっしゃる通りですね。戻って抗がん剤の記載をチェックしてみます。

薬局に戻って薬情の抗がん剤の記載を見てみると、一様に『術後』が入っている。薬局長やスタッフに南さんからの要望を伝えて、薬情の内容を見直すことにした。

最近の山田さんはというと、僕やスタッフを信頼してくれるようになり、当たりが柔らかくなってきた。それでも、いつ何が起こるともわからない。念には念を入れて、薬歴の上部には常に「増量、減量、再開、休薬は必ず伝えること!」と書き続けている。山田さん、なかなかいいところに気がついてくれた。こういう指摘がないと見直す機会ってないもんだなぁと思いながら、手分けして薬情の表記をチェックしていった。

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【福井繁雄氏プロフィール】

薬学部卒業後、透析、CKD、ガン専門の薬局に13年勤務し、現在は在宅医療に関わっている。学生時代から行ってきた家族(特に祖母)のお薬管理を通じて、残薬管理に疑問を持ったことが、在宅医療に関わるようになった理由。これまでの経験を他の薬剤師にも生かしてもらいたいと、全国での研修会を月一回、行っている。自身は、生後3週間でアトピー性皮膚炎を発症し、リバウンドも経験。アトピー罹患者としての講演も行っている。

【研修会】

日本薬剤師研修センター認定の研修を月1回開催しています。
開催スケジュール:日本薬剤師研修センター受講シール2単位取得研修会(LIFE HAPPY WELL)


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