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在宅専門薬局の活動を論文にまとめたら表彰されました!

2018年12月12日 15:53

在宅専門薬局の活動を論文にまとめたら表彰されました!

つぼみ薬局居宅介護支援事業所(広島市安佐南区) 
角山 美穂

在宅患者さんのお役に立ちたくて在宅専門薬局を立ち上げたのが2009年11月。1人薬剤師 兼 ケアマネとして、24時間体制で頑張っています!

【PharmaTribune2013年5月号掲載】

BIファーマシストアワード2013で3年間の振り返りを発表!

 2013年、大変な出来事がありました!!『BIファーマシストアワード2013』で審査員特別賞をいただいたんです!

※日本ベーリンガーインゲルハイム(株)が,薬剤師の日々の業務を通じて医薬品の適正使用に貢献する優れた日本国内外での取り組みを表彰するために2010年に創設。

 2012年11月、薬剤師向け雑誌を読んでいてたまたま目にした『BIファーマシストアワード2013』論文募集の記事。テーマは『さらなるチーム医療の実践』でした。

 11月はつぼみ薬局を開局して丸3年の節目に当たり、「論文か〜、卒論以来書いてないな〜。せっかくだから、これまで3年間の振り返りを記録に残そう!」と、まずは大学生の娘に相談しました。

 なぜ書こうと思うのか。これまで自分の行ってきたことの記録をしたいということ。そして、これから在宅への一歩を踏み出そうと考えておられる薬剤師の方々の、何かのお役に立てないかと思っているのだと娘に熱弁。すると、「'はじめに'でこれを書くといいよ」「次に目次を入れて...」と一般的な論文の書き方を教えてくれました。

 そうして書き上がった論文を提出し、忘れた頃に『最終選考会のご案内』が!45名中10名の中に選ばれていました。

 最終選考の発表は3月17日。前日にも発表用スライドの試写があるため、1泊2日で上京することに。開局以来、1度も地元を離れていない私は「どうしよう...」。投稿はしたものの、まさか選ばれるとは思わなかったため、嬉しさ以上に戸惑いが大きかったです。

 留守にすることを知らせるチラシを急いで作成し、在宅患者さんには、緊急時につぼみ薬局の代行をしてもらうサポート薬局の提案を行いました。お土産の準備も抜かりなく。「おめでとう,頑張ってきんさい!」とエールをくださった患者さんたちへ、東京土産の「かりんとう」100個を予めネットで注文しました。私にとっては、広島を離れるのはたった1日半。しかし、患者さんの中には不安な気持ちを抱える方が数多くおられます。この3年半の間に行ってきたことの重み、そしてつぼみ薬局の存在を再確認させていただく遠出でした。

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 発表前日の18時過ぎにデータの受付・試写がありました。新幹線に乗ってから名刺を忘れたことに気付き、だんだんと億劫に……。さらに会場へ足を踏み入れると、想像以上の厳粛な雰囲気に圧倒され「私の来るところではなかった」と凹みました。なぜ私が最終選考会に選ばれたのかもこの時点では理解できていませんでした。

 本番当日は発表者控室に通され、皆さんの「我こそは!」という熱気に中てられ、またブルーに。しかし待っている間に、これまで自分の行ってきたことをお話しできる機会をいただけたのだから、精一杯、私の言葉で在宅活動の内容を実践報告という形で胸を張ってお話しよう!と肝がすわりました。

 ところが、5番目の私の順番が来ると緊張はピークに。

 講演のタイトルは「在宅生活を支えるために〜身近にいる薬局薬剤師〜」。まずは、在宅専門薬局を始めようと想った経緯、薬局の概略を紹介しました。そして、実際の活動の手順を示し、これまでに行ってきた事例の中から高次脳機能障害、ALS、がん末期の患者さんを例に、どのようなケースで薬剤師が患者さんだけでなく他職種からも必要とされるかを話し、アセスメント・モニタリングの重要性などをお伝えしました。

 発表の途中でパワーポイントのスライドをめくり忘れていることに気付き、苦笑。会場からも笑いをとって、少し緊張が解けたように感じましたが、夢心地でした。しかし終盤、「"自宅で最期まで自分らしく"----そのお手伝いがしたくて始めましたが、当初は仕事の依頼がなく...」と話すうちに、感情がこみあげてきてしまい、鼻がツンツンしながらの発表終了。大きな拍手の後、審査委員長の先生が感激してくださり「素晴らしい、これからも是非続けて欲しい」「機会があればこれからもどんどん発表してください」とエールをくださいました。また休憩中には、ほかの審査員の先生に「自分が老後にやろうと想っていた薬局の形」とおっしゃっていただき、反響は大きかったように感じました。

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 唯一辛口だったのは、一緒に連れて行った娘で「他の方の発表は論文だけど、お母ちゃんのは読書感想文じゃ」でした。 

 確かに他の9名の皆さんの発表は、私とは違い、まさに論文。この中の1人に私が選ばれたのは、選考の対象というより、発表の機会を与えられたという意味合いが大きいのかな。そう想うと「なぜ私が...」が腑に落ちた気がします。

 辛口だった娘ですが、帰りの新幹線の中で燃え尽き放心状態の私に「うちは、お母ちゃんのプレゼン、イケとったと思うよ。発表中の会場の空気も『ほ〜』って感じじゃった。グランプリじゃなかったけど、あれよ、メンデルさんと一緒よ(笑)」「???」教養のない私には娘の精一杯の褒め言葉が理解できずにいると「『メンデルの法則』知らんの?メンデルさんは、生前この法則を発表したのに認められなくて、亡くなった後に他の学者が発表して脚光を浴びたんよ。これまでにお母ちゃんと同じことをしていた人が他にも居ってかも知れん。でも最初に論文として発表できて良かったね!」と慰めてくれました。

 それまでの3年間、不安からか前しか見ずに仕事をしてきましたが、このの一連の出来事で、自分の行ってきたことを初めて振り返ることができ、本当に良い機会をいただいたと改めて感謝しています。

 広島に帰ってから娘と、
「患者さんにとってお母ちゃんは頼みの綱で、生活を支える全てだと思ってた」
「何で?」
「だってあんなにしょっちゅう電話がかかったり訪問したり...」
人は1人では生きていけないもの。お母ちゃんの存在なんて社会資源の1つに過ぎんし、家族、近所、友人、介護サービス事業者...、沢山の人の支えがあっての在宅生活だと思う
という会話がありました。会場に医療関係者ではない娘の席をご用意くださった主催者の方にも感謝しています。

<著者紹介>
2002年,当時勤務していた薬局でケアマネの資格を習得。患者様のお宅を訪問するうちに,薬が家でどのように保管され,使用されているのかを知り,在宅での薬剤師の必要性を感じると同時に,24時間対応の在宅専門薬局をしたいと言う夢を持つ。
2009年11月,保険薬局兼居宅介護支援事業所として,つぼみ薬局を開局。
保健所への薬局の開局時間の届出は8時〜12時,12時以降は調剤した薬の配達・管理・指導やケアマネとして居宅を順に訪問。
近隣に特定の処方元の病医院はなく,2013年3月現在,6つの医療機関の医師より訪問指示書を受けている。
これまでに薬剤師として居宅療養管理指導の請求を行った患者数は約30名,ケアマネとして居宅介護支援を行った患者数は約40名,訪問依頼書をいだいた医師は9名。患者の内訳は,ALS,がん,認知症,COPD,老衰等。1人あたりの平均サービス提供期間は9.2か月,最短は4日というケースもある(終了理由は入所・入院・死亡)。

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