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保険薬局の日常業務は"ネタ"の宝庫!

第37回日本社会薬学会 これからを担う若手薬剤師からの発信

2018年12月13日 08:15

保険薬局の日常業務は

有限会社イトーヤク 岩出 健太郎氏

 患者や他職種、厚生労働省などから薬剤師の業務や役割の”見える化”が求められている。薬剤師業務を示す方法の1つに学会発表があるが、忙しい薬局薬剤師にとってはハードルが高いという声もある。有限会社イトーヤクの岩出賢太郎氏は、第37回日本社会薬学会のシンポジウム「これからを担う若手薬剤師からの発信」に登壇。学会発表は決して敷居の高いものではないとし、日常の業務改善などを”ネタ”に、積極的に発表していこうと聴衆に呼びかけた。

この記事のポイント

  • 日常の業務改善を学会発表のネタに!
  • 岩出氏の発表経験ー薬剤師の介入で特別養護老人ホームでの坐薬、下剤の使用をゼロに!

日常の業務改善を学会発表のネタに!

 医薬分業の在り方が問われる中、他職種や国民に薬剤師の職能を分かり易く伝える必要性が指摘されている。また、厚生労働省は2020年の報酬改定に向けて、薬剤師の介入が医療の質向上につながるというエビデンス構築を求めている。

 薬剤師の業務や役割の“見える化”を行う――その方法の1つが、学会発表だ。城西国際大学の調査によると、薬剤師の約6割が実務と直結した臨床研究を通じて学会発表をしたいと考えている。一方、尻込みする薬剤師も少なくなく、その実施を阻む理由として、

  • (1)時間が十分に取れない
  • (2)研究を指導する人がいない
  • (3)何を発表していいか分からない

などが上げられた※1

 これに対し岩出氏は、薬剤師は文献や他の薬剤師の取り組みなどを学ぶ機会を作ることが必要であると指摘。さらに、薬局業務の見える化には薬局薬剤師が自ら発信することが望ましい。研究の題材は難しく考えず、日々の業務改善をそのまま発表につなげていけばよいと主張する。

 一例として、自身が2017年の社会薬学会で発表した取り組みを紹介した。

※1 澤田康裕ほか. 城西国際大学大学院紀要.2016; 03: 65-77

薬剤師の介入で特別養護老人ホームでの坐薬、下剤の使用をゼロに!

 岩出氏が勤務していた薬局では、介護施設への薬剤師配置に対応している。

 介護施設では入所者の生活記録が残され、服薬や食事・排泄状況の確認ができるので、より綿密な服薬指導が可能になる。それらの記録から、一部の入居者の排便コントロールが坐薬や浣腸により行われていることに気がついた同僚はより自然な排便を促せないかと、介入を試みた(表1)

 食事や嚥下の状態を見ながら内服薬に切り替えていくと、4ヵ月後には6割の患者で坐薬・浣腸の使用を中止でき、使用回数の減少を含めると8割以上の患者で排便コントロールが改善したという結果が得られた(表2)

 研究を目的として始めた取り組みではないが、PDCAサイクルを回しながら記録を取っていった。取り組みが終了し、記録を振り返ると、介護施設での薬剤師による服薬管理が患者の健康状態に貢献するという考察が得られた。

(表1)介護施設で薬剤師が排便コントロールに介入した試み(方法)

22465_PT_fig1.png

(表2)介護施設で薬剤師が排便コントロールに介入した試み(結果)

22465_PT_fig2.png

(岩出賢太郎氏提供、第36回社会薬学会発表資料)

 「臨床研究というと、ハードルが高いように感じられるかもしれない。しかし、薬局で日々行っている業務改善はエビデンスにつながる。学会発表などを通じて薬剤師の業務を発信していきたい」と岩出氏は意気込みを示す。さらに、「研究を深めたければ、大学の研究者などに相談すればよい」「学会に訪れたら、ポスターの発表者にも質問をし、声をかけてほしい。そうして薬剤師の発表の場を盛り上げていきましょう」と、聴衆に呼びかけた。

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