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使わせてもらえない薬と使われてしまう薬

2018年12月18日 11:30

横浜保土ヶ谷中央病院 小児科
小林佳子

 子供への副作用の危険性が発覚しても、それまで処方されていた薬が使われ続けているケースがあります。一方、効果は確認されているのに、なかなか承認されないという薬もあります。知らないから損をする、そんな親子が少しでもいなくなるように―。小児科医からのメッセージです。

shounika_1812-2.jpgIllustration:kazuto hashimoto

 前回のインフルエンザ流行期の最後の頃に、1回服用するだけで良い治療薬が現れた。今年の冬は、その薬の希望者が増えるのかしら。細粒の認可はまだだそうだから、服用できるのは年長児に限られる。

 この、「インフルエンザは薬で早く治してしまおう 」という風潮には、大きな危惧を持っている私ではあるけれど、どんな薬も、日本では子供が使えるようになるまでに、とても時間がかかるのは不満。

 遅いのは、子供の健康を考えて慎重になるためかと思いきや、全く逆の例がある。例えば コデイン。2017年に、12歳未満には使用禁忌となることが発表された。呼吸抑制の副作用の危険があるからだ。ただし、その実行は2019年から。これは酷い。子供の健康を考えて決定したとは思えない。禁忌になる薬を子供に飲ませたい親なんているはずがない。

 危険性をよく分かっている小児科医はもともと処方しないし、禁忌予定の薬をあえて処方する医者なんていないだろうと普通は思うが、残念ながら、子供の風邪に必ずコデイン類含有製剤を処方する医者がいる。

「今は許されている」

 そう、確かに、お国の決まりでは許されている。でも、その危険性を患者さんに知らせているの?禁忌になることを知らせているの?自分の子供でも、その薬を処方するの?

 一方で、表向きは大人にだけ使えて、子供には使ってはいけないとされている、よい薬もいろいろある。

 古くからの慣習には寛容で、新しいことには過度に懐疑的。さまざまな情報媒体のある現代にそれでは、日本の医療界は世界に置いていかれてしまうよ。

 処方している医者は、大義名分(国の方針)があると言い訳できてしまうけど、私は大事な情報を、患者さんに頑張って伝えていきます。

 運悪く、知らせてもらえない人だけが損をする。知識を得る機会のない親の犠牲者になるのは、子供達。そんな子供が1人でも少なくなるように。

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