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栄養ドリンク剤~どれを飲んだらイイですか?- 前編

医療法人社団徳仁会中野病院 青島周一

2018年12月21日 10:00

患者さんに自信を持ってOTCをおすすめしたい!論文情報や患者さん対応など、薬剤師による薬剤師のためのOTC解説です。

薬の無料アイコン9.png今回のお話「どの栄養ドリンクを選べばいい?」

  • 栄養ドリンクの分類
  • 栄養ドリンクに含まれる成分
  • 栄養ドリンクの効果はカフェインによる!?
  • では、カフェインにはどんな効果が?
  • 栄養ドリンクは危険なのか?
  • 相談されたらどう対応する?
  • 相談してこない人への情報提供は?

今回出てくるOTCは・・・薬の無料アイコン9.png

チオビタドリンク(大鵬薬品)、チオビタドリンクアイビタス(大鵬薬品)、チオビタゴールド(大鵬薬品)、リゲイン(第一三共ヘルスケア)、リポビタンD(大正製薬)、リポビタンファイン(大正製薬)、リポビタンフィール(大正製薬)、リポビタンゴールドV(大正製薬)、エスカップ(エスエス製薬)、エスカップNEXT(エスエス製薬)、新グロモントA(ライオン株式会社)、グロンサン(ライオン株式会社)、アリナミン(武田コンシューマーヘルスケア株式会社)、アリナミンRオフ(武田コンシューマーヘルスケア株式会社)、ユンケル(佐藤製薬)、プラセントップ(スノーデン株式会社)、ゼナF-Ⅱ(大正製薬)、オロナミンC(大塚製薬)、リアルゴールド(コカ・コーラ)、モンスターエナジー(アサヒ飲料)、レッドブル(レッドブル・ジャパン)、ライフガードX(チェリオ)

※記事内では、清涼飲料水、医薬品、指定医薬部外品に含まれる飲料全てを指して「栄養ドリンク」、特に医薬品、指定医薬部外品に分類されるものを示す時は「栄養ドリンク剤」としている。


 品出し作業もほぼ完了し、冷蔵ショーケースの栄養ドリンクを整理していた薬剤師のあなた。そこに、会社帰りとおぼしきスーツ姿の男性客が現れました。

「最近、疲れがたまっている気がして、朝起きると体が重いんです。明日は会社で大切なプレゼンがあるので、栄養ドリンクを飲もうと思って……。やっぱり、値段が高い栄養ドリンクの方が、効果があるんですかねぇ」

 目の前に並んださまざまな種類の栄養ドリンクを前に、「タウリン1,000mgって、なんだか効き目がありそうだよねぇ」と考えつつも、結局のところ、値段が高い分効果が期待できるものなのか……。思い悩んでしましました。

薬の無料アイコン9 (1).png栄養ドリンクの分類

 多忙な日常生活の中で、なんとなく体が重い、昨日の疲れが抜けないと感じることは多々ありますよね。そんなとき、“シャキッ” と集中力を高めるために栄養ドリンクを飲みたくなることもあるでしょう。ドラックストアだけでなくコンビニエンスストアでも一部の製品が購入できる栄養ドリンク。近年ではおしゃれなデザインや嗜好に特化した製品も発売され、消費者のニーズに合わせて多様化しています。

 栄養ドリンクについて、さまざまな分類方法が可能と思われますが、本稿では【表1】のように整理したいと思います。指定医薬部外品や医薬品に該当する栄養ドリンク剤に加え、タフマン®(ヤクルト本社)、リアルゴールド®(日本コカ・コーラ)といった非医薬品系(清涼飲料水)の栄養ドリンク、その中でも、2006年に発売が開始されたレッドブル®(レッドブル)や、2012年に販売が開始されたモンスターエナジー®(アサヒ飲料)など、いわゆる“エナジードリンク”と呼ばれるカテゴリーの市場が世界的にも拡大しているようです1)

表1 栄養ドリンクの分類

1.医薬品・指定医薬部外品

 ■低価格タイプ

  • ・従来型:リポビタンD、チオビタ、アリナミンなど
  • ・ノンカフェイン:アリナミンRオフ、リポビタンフィールなど
  • ・低カロリー型:リポビタンファイン、リポビタンフィールなど


 ■高価格タイプ

  • ・ユンケル、プラセントップ、ゼナF-Ⅱなど


2.清涼飲料水

  • ・従来型:オロナミンC、リアルゴールド
  • ・エナジードリンク(高カフェイン):モンスターエナジー、レッドブル、ライフガード X

 

薬の無料アイコン9 (1).png栄養ドリンクに含まれる成分

 市販されている医薬部外品、医薬品の栄養ドリンクの基本成分はほぼ共通しており、ビタミンB1、B2、B6、ニコチン酸アミドなどのビタミン成分に加え、イノシトール、カフェイン、タウリン、製品によってはニンジンエキスなどの生薬成分を含有しています。製品1本当たりのカフェイン含有量は、医薬品もしくは指定医薬部外品として販売されている栄養ドリンク剤では50mg程度です。他方、清涼飲料水として販売されているエナジードリンクでは、レッドブルで80mg、モンスターエナジーで142mg、ライフガード Xで75mgと、カフェイン含有量が多いのが特徴です。主な栄養ドリンクを【表2~4】にまとめます。

【表2】主な栄養ドリンク剤-1

図1.png

【表3】主な栄養ドリンク剤-2

表3.png

【表4】主な栄養ドリンク剤-3

表4.png

 

薬の無料アイコン9 (1).png栄養ドリンクの効果はカフェインによる!?

 栄養ドリンクには、ビタミンや生薬成分などのさまざまな成分が配合されていますが、その効果は端的にはカフェインによるものと考えてよいでしょう。栄養ドリンクの有効性に関するレビュー論文2)によれば、カフェイン以外の成分が身体的または認知的能力の向上に寄与するという実証的な根拠は、圧倒的に欠如していると結論しています。

 さらに、一般的な栄養ドリンクに含まれるタウリンやニンジンエキスなどは、治療上の有益性や安全性のいずれの観点においても、人に影響を与えうる量より、はるかに少量しか含まれていないという指摘もあります3)

 実際、タウリンの臨床試験で報告されている血圧降下や心機能改善、血清脂質に及ぼす作用を発揮する用量は、1日当たり3000~6000mgと、一般的な栄養ドリンク剤に含まれる量の3~6倍となっています【表5】4)

【表5】タウリンの臨床効果

青島氏栄養ドリンク表5sashikae.png(参考文献4より筆者作成)

 つまり、エナジードリンクにしろ、医薬品や指定医薬部外品に該当する栄養ドリンクにしろ、その実際的な効果はカフェインが含有されているか否かの違いだけであり、カフェインが含まれている製品であれば、どれでも得られる効果に大差はないと考えられます。値段の差は効き目の差ではなく、原材料の価格の差にすぎません。したがって、場合によっては缶コーヒーでも栄養ドリンクとほぼ同等の効果が得られるはずです。むしろ、医薬品や医薬部外品に分類される高額な栄養ドリンク剤よりも、カフェイン含有量の多いエナジードリンクの方が優れた効果を実感できるかもしれません。

薬の無料アイコン9 (1).pngでは、カフェインにはどんな効果が?

 栄養ドリンクの効果は多くの場合でカフェインによるもの、という話をしましたが、カフェインには覚醒作用、認知機能の向上や疲労回復効果があるなどといわれます。例えば疲労状態にある35例の健常者を対象とした小規模の二重盲検ランダム化比較試験では、プラセボと比べてカフェインサプリメント(カフェイン200 mg含有)の摂取は、主観的な症状や認知機能レベルを改善したと報告されています5)

 また、運転シミュレータを使用してドライビングパフォーマンスを検討した研究(クロスオーバーランダム化比較試験)6)においても、カフェイン80mg含有コーヒーの摂取は、ノンカフェインコーヒーと比べて運転能力が向上し、主観的な眠気が軽減したと報告されています。この効果はエナジードリンクであるレッドブルでも同様に示されています7)。さらに、200km以上の長距離運転を行う商用車(車体重量12トン以上のセミトレーラーなど)ドライバーを対象に、カフェイン摂取と交通事故の関連を検討した研究(症例対照研究)8)によれば、カフェインの摂取により交通事故を起こす可能性が63%、有意に低下しました(オッズ比0.37[95%CI 0.27~0.50])。

 カフェイン摂取は認知機能の向上だけでなく、運動能力の向上にも影響を及ぼすことが示唆されています。二重盲検試験40研究の統合解析9)では、プラセボと比べてカフェインは、運動テストによる結果を12.3%有意に改善することが示されています。他方で、エナジードリンクを摂取しても女性バレーボール選手の身体能力は向上しないという報告もあります10)。ちなみに、カフェインはドーピング禁止薬物に指定されていませんが、監視プログラムには該当しており、その使用状況がモニターされています11,12)。今後、禁止薬物へ移行する可能性もあり、スポーツ選手にとっては注意が必要です。

栄養ドリンクの過剰摂取は危険!?次のページでは「栄養ドリンクの有害事象」や「販売者としての望ましい対応」を解説。

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