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その感染対策、本当に結果を出してる?

神戸大学微生物感染症学講座感染治療学分野教授 岩田健太郎

2019年01月09日 11:00

GettyImages-841163724.jpg© Getty Images ※画像はイメージです

◎この記事のポイント

  • 日本の感染対策加算は「専任スタッフを割り当てる」など、「形をつくる」ことを要件としている
  • しかし、感染対策の目的は、薬剤耐性菌が減り、院内感染が減り、患者の健康が守られること
  • 東京都立多摩総合医療センターでは、処方後フィードバックとレビューの効果を4年間かけて検証した
  • 抗菌薬適正使用プログラムの介入により、院内の合併症や感染症を増やさず、抗菌薬投与に変化が見られた
  • 結果を伴った感染対策のため、抗菌薬適正使用プログラムによるアウトカムを吟味し、公開すべきと岩田氏は主張する

研究の背景:日本の感染対策系加算は「形をつくる」だけ

 感染防止対策加算、抗菌薬適正使用支援加算など感染対策への金銭的誘導が生じたことで、今や、どの医療機関も一生懸命感染対策に勤んでいる・・・少なくとも頑張ろうという機運は生じつつある。

 しかし、感染対策は手段であって目的ではない。大切なのは薬剤耐性菌が減り、院内感染が減り、患者の健康が守られることである。

 ところが、日本の感染対策系の加算は、

・チームをつくる
・専従とか専任のスタッフを割り当てる
・マニュアルをつくる
・職員研修を行う
・会議を開く
・抗菌薬届出制、許可制を取る(効果があるか否かは、関係なく)

といった、「形をつくる」ことだけを要件としている。プロ野球チームに例えるならば、

・チームをつくる
・コーチや監督がいる
・マニュアルをつくる
・研修と練習を行う
・会議を開く
・ヒッティングやバントに対するサインと許可制を取る

みたいな感じである。これで強い、勝てる野球チームができるかというと、甚だ心もとない。大事なのは、

勝つ

ことではないのか。少なくともプロの世界においては。

 では、いかにしたら感染対策で

結果を出した

と言えるのだろうか。

 いろいろ対策やりました。各種パラメータ良くなりました。もいいでしょう。でも、それって前後関係? 因果関係? 単なるまぐれの可能性を無視し、ひたすら良くなりました、というのも問題である。

 まぐれ≒バイアスの排除にはランダム化と比較が便利だが、病院総出の感染対策できちんとした比較試験は難しいし、現実的でないことも多い。

 よって、因果関係の検証には一工夫が必要になるのだ。今回紹介するのは、そのような「比較群」なしで因果関係の追求を行った日本の研究である。

Honda H, Murakami S, Tagashira Y, Uenoyama Y, Goto K, Takamatsu A, et al. Efficacy of a Postprescription Review of Broad-Spectrum Antimicrobial Agents With Feedback: A 4-Year Experience of Antimicrobial Stewardship at a Tertiary Care Center. Open Forum Infect Dis [Internet]. 2018 Dec 1 [cited 2018 Nov 22];5(12). Available from: https://academic.oup.com/ofid/article/5/12/ofy314/5195957

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