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薬剤師必読!最新論文解説/「ω-3は無効」を裏付ける結果か

ω-3は動脈硬化に有効か無効か ①ASCEND試験

2019年01月23日 11:00

北里研究所病院 糖尿病センター長 山田 悟

研究の背景:ガイドラインで推奨も最近の臨床試験では効果証明できず

◎この記事のポイント

  • 2017年度版の動脈硬化性疾患予防ガイドラインでは、「n-3 系(ω-3)多価不飽和脂肪酸の摂取を増やすことによって冠動脈疾患発症の抑制が期待できる」は推奨レベルA
  • しかし、2018年暮れから2019年初頭に報告された3件のω-3多価不飽和脂肪酸の投与による心血管イベント抑制試験の結果のうち、2件で効果を証明できず
  • 動脈硬化性疾患予防におけるω-3多価不飽和脂肪酸の立ち位置に影響するだろう上記試験のうち、まずはASCEND試験を解説

 保険診療において全ての患者にその時点でベストと考えられる治療を提供することが当たり前のわが国では、動脈硬化性疾患予防のための介入試験〔ランダム化比較試験(RCT)〕はあまり実施されていない。その中でわが国ではJELIS試験が実施され、イコサペント酸エチル(EPA)投与による心血管イベント抑制効果が報告されている(Lancet 2007;369:1090-1098)。

 それを受け、日本動脈硬化学会では『動脈硬化性疾患予防ガイドライン(2012年版)』において「EPAそのものの有効性が確認された」(p67)とし、推奨レベルⅡa(どちらかというと有効、効用あり)、エビデンスレベルA (多くのRCTやメタ解析に基づくデータ)としていた。しかし、2017年版では「n-3 系(ω-3)多価不飽和脂肪酸の摂取を増やすことによって冠動脈疾患発症の抑制が期待できる」をエビデンスレベル2(前向きコホート研究およびそれらのメタ解析やシステマチックレビュー、事前に定めたRCTサブ解析)、推奨レベルA(強い推奨)としているものの(p64)、Alpha Omega試験 (N Engl J Med2010;363:2015-2026)、ORGIN試験(N Engl J Med 2012;367:309-318)の2件の研究論文を引用して「最近の大規模臨床試験では、ω-3多価不飽和脂肪酸の投与による心血管イベント抑制効果は証明できなかった」としていた。

 昨年(2018年)暮れから今年初頭にかけて、3件のω-3多価不飽和脂肪酸の投与による心血管イベント抑制試験の結果が報告され、2件はその効果を証明できず、1件はその効果を示した。今後の動脈硬化性疾患予防におけるω-3多価不飽和脂肪酸の立ち位置に少なからず影響を与えるであろう3本の試験を順にご紹介したい。

 まずは、昨年10月18日に報告されたASCEND試験(N Engl J Med 2018;379:1540-1550)である。

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