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冷えの秘密兵器

2019年01月28日 15:20

北海道大学病院 婦人科
小林範子

 暦の上では春はもうすぐそこですが、まだまだ寒いですね。冷えに悩む方も多いのではないでしょうか。北国・北海道では、意外なものが使われています。効果抜群のあるものとは…!?

fujinka_1901.jpgIllustration:kazuo hashimoto

 大寒が過ぎ、立春が近いとはいえ、北海道ではこれからが冬本番。「寒いですね」「冷えますね」と、あいさつを交わす日々です。

 北海道では、秋風が吹き始めるのは9月後半ごろ。秋分の日が過ぎて次第に日が短くなると、「冷え」との戦いが始まります。カイロ、湯たんぽ、電気毛布といった三種の神器を駆使してもまだ足りず、レッグウオーマー、ヒートテック、生姜紅茶にホットゆず茶。「からだを温める」ことを特集した雑誌を見て、片っ端から試してみる心意気は、敢闘賞にでも相当しましょうか。

 しかし、いよいよ効果がないと「先生、どうにかならんかねえ…」とご相談いただくのであります。

 漢方医学的には、「冷え」は1つの病態と捉えます。「体質だから仕方ないですね」ではなく、少しでも治療し改善していくことを考えます。血流の問題か、自律神経の問題か、エネルギー代謝の問題か…。冷えの原因を特定することは難しい場合も多いため、なかなか特効薬はありません。

 そんな中で、冷えの秘密兵器といえば、知る人ぞ知る韓国ドラマ『チャングムの誓い』にも登場しましたアレ…そう、「トリカブト」です。

 トリカブトは、ドラマや小説の保険金殺人事件モノで使われるように、猛毒のイメージが強いかもしれませんが、外観は実に物憂げで美しい花をつけ、観賞用にも利用されます。そして、トリカブトの塊根は「附子(ブシ)」と称され、弱毒化するための修治処理を行った上で漢方の生薬として使用されています。日本では、加工ブシ末(散剤)や、アコニンサン®(錠剤)として処方できます。「毒薬変じて薬となる」「薬も過ぎれば毒となる」とでもいいましょうか。使い方によって毒にも薬にもなるのです。

 冬期には通常の漢方処方薬にさらに附子を追加することで、体を思いっ切り温めて冷えや痛みを解消します。特に、体力や新陳代謝が低下した高齢者の全身の冷えなどに効きが良いです。かなり効果的で、患者さんにも喜ばれていますよ。

 もちろん、真の「養生」とは薬に頼るのではなく、生活習慣を見直し改めることであるのをお忘れなきように。心も体も温かい冬をお過ごしくださいね。

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