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高齢患者にロキソプロフェンの処方箋 薬剤師はどう考える?

ハロー薬局薬局長 町田和敏

2019年03月06日 10:00

 皆さんいかがお過ごしでしょうか。釜石の薬剤師、町田でございます。

 このコラムでは、プライマリ・ケア認定薬剤師として私が行っている活動を紹介します。

 さて、前回までは、ポリファーマシー状態のAさんに取った私自身の行動を、プライマリ・ケアの5つの理念に当てはめて解説しました。この5つの理念、私自身が行動する際に、常に頭に思い描いているわけではありません。私がいつも心がけているのは、『目の前の患者さんと向き合う』ということです。今回はプライマリ・ケアの5つの理念に関係なく、患者さんに対応したエピソードをお伝えします。

鎮痛薬の処方箋、あなたは何を考えますか?

 ある日、当薬局に処方箋を持ってきた80歳代の女性Bさんのお話です。

 処方内容は以下の通りです。

・ロキソプロフェンNa錠60mg 3錠 1日3回毎食後服用 14日分

・レバミピド錠100mg 3錠 1日3回毎食後服用 14日分

 よくある処方ですよね。門前の病院からの処方箋でした。 皆さんはこの処方箋を見て、どう考えますか?「どんな痛みなんだろうか?」――という感じでしょうか。痛みの評価によく使われる『LQQTSFA』あるいは『OPQRST』を使って確認しているかもしれません。私も、これらのツールを使って評価しますが、薬局の混雑状況によっては全ては確認できないこともあります。

 ご存知かとは思いますが、それぞれの項目を以下に記します。

『LQQTSFA』

  • L:Location 部位
    Q:Quality 性状
    Q:Quantity 程度
    T:Timing 時間と経過
    S:Setting 状況
    F:Factor 寛解・増悪因子
    A:Associated manifestation 随伴症状

『OPQRST』

  • O:Onset 発症様式
    P:Provocative / Palliative 増悪・寛解因子
    Q:Quantity / Quality 性質・程度
    R:Region / Radiation / Related symptoms 部位・放散痛・関連(随伴)症状
    S:Severity / vital Signs 重症度
    T:Time course / Treatment 経過・それまでに行った治療

 両者の項目は似ています。どちらを使用していただいても構わないかと思います。

薬剤師による臨床判断は必要か?

 OTC購入の際ならまだ知らず、処方箋が出ているのだから臨床判断は医師が行うことではないのか?という声が聞こえてきそうです。しかし、私は薬剤師による臨床判断は必要だと考えています。その理由は、薬物治療の評価に、服用前後における状態変化の確認は必須だからです。その変化を見て、薬の効果なのか、あるいは自然寛解したのか、もしも効果を感じられない場合には何を考えるのかなど、さまざまなQuestionが思い浮かびます。とりわけ忙しい時であっても、少しでもこうした意識を持てることが重要かと常々感じています。

 では、今回の症例を『LQQTSFA』で判断してみます。

L → 左顎に痛みあり
Q →ズキンと痛む
Q →1日中ではないので我慢出来ない程ではないが痛む
T →いつからかは覚えていない
S →顔の右半分は上下ともに歯がない
F →食事の際に噛むと痛む
A →未確認

 さて、この状況で皆さんならどうしますか?

 次のページでは、Bさんに対して私がどう行動したのか、行動を振り返っての成功面と失敗面を書いていきたいと思います。

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近代製鉄発祥の地と呼ばれる釜石の象徴である製鉄所。夜は幻想的な雰囲気を漂わせており、仕事帰りに見える景色は格別です

【連載コンセプト】
私たち薬剤師は、その存在意義について、多くの国民から懐疑的な目で見られています。薬剤師の存在価値とは何なのか、そんなことを考えながら、日々実践している活動の数々を紹介していきます。

また、実際に私自身が経験した事例を紹介し、そのときに考えたことも述べていきます。そして、なるべく読者の皆さんと一緒に考える場所にしたいとの思いから、『皆さんならこの場面でどう考えますか?』と投げかけた上で、次の回に私の行動を紹介するという構成で展開するつもりです。

と、ここまでコンセプトを書きながら、とても陳腐な文章になってしまいそうな予感がしますが、「へぇ、こんなことを考えている薬剤師がいるんだ」くらいの軽い気持ちで読んでいただければ幸いです。そして、読者の皆さんに何か少しでも感じていただければと思っています。

【プロフィール】

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大学入試4浪、国家試験1浪、と落ちこぼれ街道まっしぐら。昭和薬科大学へ入学し、サッカー部で自称監督として、七面鳥フォークソング部ではVocal&Bassとして、大学生活を謳歌する。卒業後、縁もゆかりもない釜石へ。浪人時代に思い描いた、ドイツに留学し、サッカーの指導者になる夢を叶えるため、保険薬局で働いて留学資金を貯めようと試み、有限会社中田薬局へ就職する。

東日本大震災を経験し、釜石でのさまざまな人々との出会いを経て、「この地域のために薬剤師として、人として、何ができるのか」と考え始めて今に至る。中田薬局・地域包括ケア担当者。ハロー薬局薬局長。ケアカフェかまいし支配人。有志の勉強会・釜石コンテント代表。

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