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困りごとを通して広がる多職種連携の輪

 在宅患者さんのお役に立ちたくて、在宅専門薬局を立ち上げたのが2009年11月。1人薬剤師 兼 ケアマネとして奔走し、在宅活動を通して地域のさまざまな人との繋がりを作ってきました。現在は「街角相談薬局」という立ち位置で頑張っています!

※在宅専門薬局としての活動記はコチラ【まだまだつぼみだけど・・・

つぼみ薬局 角山美穂

 

卸さんの力を借りて医師とつながる

 多職種連携という言葉から、一番に思い浮かぶのは、つぼみ薬局を開局した当初の2010年1月に対応した、脳腫瘍後に高次脳機能障害を患った患者さんです。往診が必要なほど認知機能が低下していたので、医師、ケアマネ兼薬剤師(私)、訪問看護師、脳腫瘍治療病院の相談員、ヘルパー、デイサービス職員との連携は必須でした。

 地域包括支援センターからケアマネとして依頼を受けてアセスメントをし、往診医の対応が必要と判断しました。しかし、適切な医師が思い浮かびません。どうしよう!!悩んだあげく、医薬品卸さんの力を借りて、往診をして下さる医師を見つけました。

 この患者さんへの対応は、強く印象に残っています。「1日4回の薬が出ているけれど、お薬カレンダーからは朝ばかりなくなっています。どうして!?」とヘルパーから電話。早速ご自宅へ向かって患者さんと話すと、お昼寝から起きたら朝が来たと思って、朝の薬を服用していたようです。医師にお願いして、服薬時点を1日2回に減らしてもらい、セット法を変更して対応しました。

「救急搬送になったから荷作りを手伝って」と訪問看護師からの電話を受け、駆けつけて一緒に準備したこともありました。患者さんがグループホームに入られるまで、関わらせていただきました。

今度は医師から「全盲の患者さんをお願い」

 初めての連携の後、今度は往診を依頼した医師から、「全盲の患者さんの薬剤管理をお願いできないか」という話が来ました。

 COPDの終末期の方でした。まずは百均へ走り、ひらがなのシールをゲットしました!が、1度目の訪問で意味がないと分かり、がっかり(泣)。

 それどころか、処方されていたアドエアを吸入できる状態ですらありませんでした。そこで、ネブライザーを用いたメプチン+パルミコート+インタールへの処方変更を医師に提案しました。そうした薬剤師としての気付きや、薬の取り扱い上の注意点を、患者宅に設置した『連携ノート』へ記入していきました。

 この患者さんは3年前に亡くなられのですが、当時の年齢は今の私くらいでした。訪問は、医療保険サービスとしての介入で、ケアマネはいません。要がいない中での連携の難しさを痛感した事例でした。

 家事ができない、ベッドから離れられない……沢山の葛藤を抱えながらも尊厳を持って生活しておられ、とても神々しく見えていました。この方から教えられたことはとても多かったと感じています。

困りごとを通してつながっていく

 そして、全盲の患者さんへのサービスを見ていた訪問看護師からは、「衛生材料を分けてもらえない?」との依頼がくるように。こうした経験を重ね、多職種連携は、困りごとを通してつながっていくのではないかと考えるようになりました。なお、卸さんに紹介してもらった医師とは、以降も患者さんの紹介や相談を通じて連携を重ねてきました。この出会いにより、今日のつぼみ薬局が存在しているといっても過言ではありません。

薬で困ったら顔を思い浮かべてもらえる薬剤師に

 ケアマネジャーからの相談を受けるようになったきっかけは、地域の介護支援専門員協議会でした。ケアマネとして協議会の役員を務めていた際に、薬剤師として在宅で何をしているのかをPRしたのです。それ以来、「○○な方がおられるんだけど、助けてもらえないかしら?」と、相談される関係になりました。ケアマネでなく薬剤師の私に、薬剤管理に入ってもらえないか、というわけです。連携の声をかけてもらうには、困難事例に遭遇した際に「薬のことならつぼみさん」と、顔を思い浮かべてもらえることが重要だと思います。

 顔をつなげるために、半年ごとに開催されている『地域連携ケア会議』にも参加します。そこへ行くと、『地域薬剤師会研修会』へ行くより多くの馴染みの顔に出会います。皆さん、私を見ると「かくやまさん」、「つぼみさん」と声をかけて下さいます。

 先日は、地域包括支援センターの相談員から「△△さん、生活に何も不便はないと言っていますが、何か気付きはありませんか?」と電話がありました。現在の服薬状況を具体的に伝え、心配な患者の一人なので気をつけてあげていただきたいとお話ししました。

 このようにして、それぞれの困りごとを共有し、相談し合いながら、多職種連携の輪を広げていく日々です。

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「庭で採れたよ」と患者さんが持ってきてくれたバラ
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【コラムコンセプト】

ケアマネとしても薬剤師としても在宅活動を長く続けてきた筆者が、地域包括ケアの中でどのように薬剤師として貢献していくか、日々のエピソードとともに綴っていきます。

【角山美穂 プロフィール】

2009年11月、「在宅専門薬局」と言う想いでつぼみ薬局を開局。当初は、併設した「つぼみ薬局居宅介護支援事業所」の介護支援専門員として居宅を訪問したり、「つぼみ薬局」の訪問薬剤師として活動。現在は「街角相談薬局」という立ち位置で活動中。

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