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パブリックコメント急募!「オンライン診療の適切な実施に関する指針」の見直し

フロム teamPT (PharmaTribune編集部)

2019年06月14日 15:00

パブリックコメント急募!「オンライン診療の適切な実施に関する指針」の見直し

 厚生労働省では、適切なオンライン診療の普及のため指針の見直しが予定されており、パブリックコメントを募集している

 2019年1月から毎月6回の検討会において、指針における「初診」の定義や、病診連携、訪問看護師との連携におけるオンライン診療、セキュリティ対策などが議論されてきた。中でも注目を集めているトピックスを紹介したい。

「オンライン診療の適切な実施に関する指針」の見直しに関する意見の募集についてー厚生労働省医政局医事課

意見募集期間:2019年6月13〜24日(必着)。

WEB:電子政府の総合窓口(e-Gov)パブリックコメント:意見提出フォーム

郵送: 〒100-8916 東京都千代田区霞が関1-2-2 厚生労働省医政局医事課企画法令係

FAX:03-3591-9072 厚生労働省医政局医事課企画法令係あて

個人の場合は氏名・年齢・住所・職業。法人(団体)の場合は法人名(団体名)・所在地を記載

1人で地域診療に当たる医師が診療不能に陥った場合

 医療機関が少ないへき地において、1人しかいない常勤医が急病により診療できなくなった場合の対応だ。これは秋田県の診療所において1人で診療に当たっていた医師がインフルエンザに罹患し、4日間休診せざるをえなかった際に、定期処方の慢性疾患患者に無診察で処方箋を交付した行為が医師法に反するとして問題化したケースがきっかけとなった。

 今回の見直し案には、Ⅴ.指針の具体的適用1.オンライン診療の提供に関する事項(2)適用対象②最低限遵守する事項の1つに、「医療機関が少なく常勤医1人などで地域の診療に当たる医師が急病などのため診療不能で、代診を立てられず診療の継続が困難となる場合に、既に対面診療を受けた患者に対して二次医療圏内の他の医療機関が初診からオンライン診療可能」との文言が盛り込まれている。

禁煙外来は対面診療を組み合わせなくてもオンライン診療可能

  オンライン診療は、初診は直接の対面診療を行い、対面診療との組み合わせが原則。しかし、「禁煙外来」と「緊急避妊診療」は例外的な対応とされている。

 「禁煙外来」は対面診療をなくオンライン診療が可能だ。定期的に健康診断などを受けている患者では病気を見落とすリスクが低いことなどから、許容されうるとしている。

緊急避妊薬処方は直接の対面診療が原則

 一方、「緊急避妊に係る診療」については少し複雑だ。

 「緊急避妊を要するが対面診療が可能な医療機関などにかかる適切な情報を有さない女性」に対し、「女性の健康に関する相談窓口等(女性健康支援センター、婦人相談所、性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターを含む)」において、対面診療が可能な医療機関のリスト等を用いて「受診可能な医療機関を紹介」することとし、その上で「直接の対面診療を受診すること」とする。――つまり、「対面受診が原則」だ。地理的要因がある場合と、相談窓口と連携している医師が対面診療困難であると判断した場合のみが対面受診原則の例外とされている。

3週間後の受診まで確実なフォローアップ、薬剤師の面前で内服

 初診からオンライン診療を実施できるのは産婦人科医または厚生労働省が指定する「研修を受けた医師」とされる。オンライン診療時には医療機関で対面診療を受けられないかを再度確認すること、性被害を受けた可能性がある場合は警察への相談を促すこと(性被害が児童虐待に当たる場合は児童相談所へ通告すること)、性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップセンターを紹介するなど適切な支援につなげること、さらに、事前に研修などを通じて、直接の対面診療による検体採取の必要性を含め、適切な対応方法を習得しておくことが注意事項として記載されている。

 さらに、妊娠を避けられたか否か、産婦人科医による「直接の対面診療を約3週間後に受診する」ことを「確実に担保」するという厳格なフォローアップが求められている。

 オンライン診療を実施した医師は処方箋を発行(院外処方)、処方箋を応需し緊急避妊薬を調剤する薬局では1錠のみ交付、女性は「研修を受けた薬剤師の面前」で内服することとされている。

 厚労省は、研修を受講した医師、薬剤師のリストを同省ホームページに掲載、初診からのオンライン診療による緊急避妊薬の処方の実態調査を適宜行うとしている。

 読者のみなさんは、この指針についてどのような意見を持つのだろうか?

 今回の見直し案新旧対照表には「薬剤師」という文言が5回登場する。そのうち3回は「緊急避妊に係る診療」に関する記載だ。私は薬の専門家たる薬剤師の声を聞きたい。ぜひパブリックコメントとして意見をぶつけていただきたい。

「なぜ選べないのか?」と「なぜ頼れないのか?」

 ここからは、全くの個人的意見を書かせていただく。今回の指針における「緊急避妊に係る診療」、何をどこまで解決できるものなのだろうか。私は、緊急避妊薬へのアクセスを促進するとは言い難いと感じる。

 平成29(2017)年度の人工妊娠中絶件数は16万4,621件。20歳未満は1万4,128件だ。人工妊娠中絶実施率は6.2/1,000人にも及ぶ。特に20〜24歳では13.0人、25〜29歳では10.5人など、いわゆる妊娠適齢期の女性のおよそ100人中1人が中絶手術を受けていると推計される。

 望まない妊娠を避ける選択肢があることが女性にとって福音であるのは間違いない。産婦人科医にとっても人工妊娠中絶は望まない処置だろう。妊娠・出産は女性のライフステージに大きく影響を及ぼすものであり、ましてや未成年者が望まない妊娠によって苦しむのを防がねばならない。そこに異議を唱える人はかなり少ないのではないだろうか。

 緊急避妊薬という手段があるなら普及させてしかるべきだ。それについても、多くの人が合意できると思われる。

 「緊急避妊薬はOTCにすべきだ。海外ではすでにOTCで入手可能なのだから」ーーもっともな意見だと思うし、緊急避妊薬については2017年のパブリックコメントでもOTC化を求める声が大勢を占めた。しかし、OTC化に至っていない。そこに苛立ちを抱く人は多い。

 今回の検討会では「若い女性は知識に乏しい」といった失言めいたことばが、web上で槍玉に上がっている。若い女性は知識に乏しい??では、おじさんたちは知識が豊富なのか?避妊は女性だけの問題ではない!妊娠させているのは誰か?ーー全くの正論だ。

 緊急避妊薬をめぐる問題は、誰の意見にも賛同する面がある一方で、疑問を拭い去れない面がある。緊急避妊薬が入手しやすくなることで望まない妊娠は減るかもしれないが、なぜ望まない妊娠が起きるのかの解決にはならないし、性感染症やDV、児童虐待、性暴力といった問題をマスキングする可能性が否めないからだ。

 産婦人科受診のハードルの高さ、未成年者に対する性教育の不備と大人の不作為など、解決すべき課題が山積しているのは事実だが、毎年16万件にも及ぶ人工妊娠中絶という女性の心身への負担は無視できない。毎年16万人もの女性が苦しんでいると考えれば、かなり重大な社会問題ではないだろうか。

 緊急避妊薬の問題は、もしかしたら「なぜ女性が避妊の手段を自らの意思で主体的に選べないのか?」であると同時に、「なぜ頼れるところがないのか?」なのかもしれない。

薬剤師には、利用者と関わり自己決定を支援すべき責務がある

 あおば調剤薬局の高橋秀和氏らは、緊急避妊薬の分類を『処方箋医薬品以外の医薬品』に変更し、薬剤師が提供できるよう署名活動を展開中だ。同氏らは次のように呼びかけている。

緊急避妊薬は、全ての女性に提供され、また女性自身が主体的に取り組むべき「包括的な健康管理・支援」の一部分に過ぎません。「単に薬が手に入ればよい」とするのではなく、緊急避妊薬を必要とした女性に寄り添い、他の避妊方法に関する情報、必要な場合の受診勧奨など、「信頼をともなう関係性」が提供される必要があります。

私たち薬剤師には、地域の生活者が必要とする医薬品を提供するとともに、的確な医療・健康に関する知識を伴って利用者と関わり、自己決定を支援すべき責務があります。

 保険証を持参しなくとも相談に応じる薬局は、ハードルの低い相談先だ。利用者の徒歩圏内には適切な医療・健康知識を持つ、われわれ薬剤師がいる。薬剤師に任せてほしいーーそう呼びかけているのだ。

 私は「女性の体や生き方について悩みを相談できる相手」が、必ずしも薬剤師でなければならないと思っているわけではないが、緊急避妊薬は薬剤師の手を介して利用者に届く。それは処方箋医薬品であろうが処方箋以外の医薬品であろうが同様だ。そして、薬局で購入できるとなれば、女性にとってアクセスのしやすさが高まるのは確かだと思う。ただ、薬局や薬剤師にかかりつけるのが当たり前という認識を持つ利用者はかなりレアだろう。「緊急避妊薬がほしい」がファーストコンタクトである可能性が高く、そこからどう関係性を構築していけるのかが鍵になる。一見さんで終わる可能性が高い利用者に相談相手だと認識させるのは難しいかもしれないが、そこを乗り越えられたら医療のカタチが変わる気がする。

 いずれにせよ、利用者ときちんとコミュニケーションを取り、その課題解決や自己決定を促すなどの役割を「私たち薬剤師が担います」と社会に呼びかけたことは、とても大きい。「私たち薬剤師が責任をもって関わります」ーーその言葉が広く伝われば、緊急避妊薬の問題は解決に向けて一歩前進するのではないだろうか。私はそこに期待を寄せたい。

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