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投薬したら即帰宅!!薬歴を書かないカナダのスタイル

2019年06月18日 08:00

カナダで働く薬剤師 青山慎平

 

 カナダ薬剤師の青山です。

 このコラムをお読みの日本の薬剤師のみなさん、薬局に出勤したのに「薬歴を書かなくてよい」という状況を、想像できるでしょうか?

 前回のコラムでも少し触れましたが、カナダの薬剤師は、投薬した後、基本的に薬歴を記録しません。処方を監査して、患者さんに説明して、終わりです(調剤はテクニシャンが行います)。

「え、薬歴なしで、業務は回るの?」

「次の投薬のとき、どうしたらよいの?」など、いろいろと疑問が浮かんでくるのではないでしょうか。

 私が日本で働いていたときは、確かに投薬を20件連続して行い、その後まとめてぱぱっと薬歴を入力していました。時には、たまってしまった薬歴を月末に100枚ほど片付けることもありました。指導内容をなんとか思い出しながら書いたのを覚えています。

 当たり前のように薬歴の記録を行っていた私です。大変ですが、残した記録が服薬指導に役立ったり、安全な投薬を支えていると思っていました。しかし、今では、全く逆で、薬歴記載はなくても大丈夫だと考えるようになりました。

 今回は、その理由を書いていきます。

map_canada2.png

葉っぱのアイコン (1).png指導歴を記入しないカナダの薬歴

 薬歴 は① 薬剤服用歴 ②患者情報 ③服薬指導の内容-という3つのパートに分かれると思います。

①薬剤服用歴

 薬剤服用歴については、日本と同じ仕組みで記録が残されます。テクニシャンが入力している処方せん記録の積み重ねが薬剤服用歴になります。ブリティッシュコロンビア州では、その情報をファーマケアというクラウドに上げるので、州のあらゆる薬局で調剤された薬剤情報を参照することができます。これが、カナダではおくすり手帳が不要だといわれる理由です。逆にいえば、薬剤師はあらゆる併用薬の情報を得られるわけですから、重複や相互作用については責任を持つことになります。

② アレルギーや副作用歴などの患者情報

 患者情報は、初回来局時にテクニシャンが聞き取りをします。日本のようにきっちりとした問診票は使わないので、必要な項目が抜けていることは多々あります。聞き取った情報は、各薬局のコンピュータシステムに入力します。日本でよく尋ねられている既往歴、妊娠、アルコールやタバコ使用歴などについては、テクニシャンは聴取しません。薬剤師が必要だと判断した場合に確認しながら服薬指導をしています。

③服薬指導の内容

 指導歴の記載は一切しません。つまり、薬剤師が患者と話した内容についての記録はないのです。

 ここまでをまとめると、カナダの薬歴 = 薬剤服用歴と少しの患者情報 (アレルギー・副作用歴、年齢のみ)といえます。

 バンクーバー港.jpg筆者が拠点としているバンクーバーは、都市と自然が調和した美しい町である。山と海に囲まれ、アウトドア好きにはたまらない環境である。中央に見えるのはサイエンス・ワールドであり、いわゆる科学館である。子供はもちろん大人も楽しめる場所である。

葉っぱのアイコン (1).png指導歴の記録がなくて、なぜ困らないのか?

 私も以前は、患者指導に役立つと考えていた指導歴の記録。なのに、カナダでは記録をしませんし、なくても困りません。なぜでしょうか。私は、3つの理由を考えています。

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